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約束

作者: オ氏茸挟

20分待つのだ


 取引先に納期が一日遅れるミスをやらかしてしまった。

取引先とは大層な名前だが、お客様は一般のサラリーマンの方だ。

大企業相手とかそんなんじゃない中小零細企業。

一日遅れるから会社に損害もでなければ、納品書の期日が一日遅れて書かれるくらいだろう。

問題はない。

いや問題がある。あるから頭を抱え泣き出したいくらい、逃げ出したいくらい、悩んでいる、震えている、脅えている。


今まだ仕事中なので後20分程してから電話をください。


 と言われ、気が動転していた私は、はい、しか言うことができなかった。

お客様が怒るのが怖い。

ただそれだけ。臆病者と思うだろう。その通り極度の臆病者だ。だが、それだけ大事な約束だったのだ、

それが裏切る形になった

それで喜ばれなくなった

それが無駄な労力となった

それから信用もなくなった

それは尾を引くことになるだろう

それは後悔をするに値する失敗だ

それは取り返しがつかないのだ

それで握り拳をいつの間にかつくる

ああ、空が広い、



プルルルルル…



怒られた。ひどくひどくひどくひどくひどくくどくくどくくどくくどくくどく

一生にも思えた通話時間は、携帯が切れると3分も話してなかった。

…………

嘘だ

ちゃんと謝りに行くと、出てきたご主人様は全然まったくこれっぽっちも怒られなかった。

笑顔で許してくれた。深々と下げる頭をやめるように言ってくれた。

視界が万華鏡になる。

鼻まで垂れてくれば笑える、口に入ればしょっぱい、謝罪の声が震える。

動悸が激しく高鳴る。


気がつけばいつもの営業車に乗り込み会社に着いていた。社長からありがたい、もうそれは嫌みではなく本当にありがたい30分の摂関があった。

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