森での初任務
ギルドでの手続きを終え、俺──レオン・アークライト──は、初めての森での任務に向かった。
「……やっぱり外に出ると緊張するな」
ミリアは相変わらず涼しい顔で横にいる。
「心配しすぎじゃない?ちゃんと狩りのルール通りにやれば大丈夫よ」
だが森に入ってすぐ、俺の心配は現実になった。
木々の間から、野生のオークが三匹現れた。
でかい、筋肉モリモリ、しかも険しい顔つき……。
「うわ……どうする?」
ミリアが横で冷静に言う。
「……それ、去勢魔法使うしかないんじゃない?」
「え、野生のオークって男なの?女なの?モンスターにも効くのかな?」
「オークは雄だけよ!対象はモンスターでも構わないのよ!……多分」
オークは他種族のメスをさらい子供を増やすらしい。生まれてくるのはオーク(雄)だけみたいだ。
俺は深呼吸して魔法陣を描く。手が光り、森の空気がピリッと張りつめる。
「発動——!」
光がオークたちに届くと、三匹は一瞬固まり、ガクンと崩れ落ち、地面に倒れ込んだ。
「な、なに……?」
「……気絶してる?」
ミリアが驚きながら呟く。
オークたちは意識を失い、ぐったりしている。怪我はしていないが、完全に動けない状態だ。
「え、野生のモンスターにも効くのかよ……」
俺は遠い目で呟いた。
森の奥から見ていた他の冒険者たちは、ざわつきながら後ずさる。
「……あれが、去勢魔法のレオン……?」
「近づくな!近づくな!」
「マジで動かない……なんだあれ……」
ミリアが肩を叩く。
「でも、無駄に殺さないで済むのは平和的でしょ?」
「平和的……すぎて怖いよ……」
俺は森の中でため息をつく。
こうして俺は、冒険者としての初任務で、去勢魔法の“気絶能力”(痛みによる失神)を存分に発揮することとなった。
森の奥には今日も、俺の知らない試練が待っている。
そして去勢魔法は今日も、静かにその威力を示すのだった。




