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冒険者ギルド


 学院で3カ月の基礎魔法訓練を終え、ついに冒険者ギルドに登録できる許可が出た。


 俺、レオン・アークライトは重い足取りでギルドの扉を押し開ける。


 ここが、数多の冒険者が集まる場所―。


 ……なのだが、空気が妙に冷たい。


 男性冒険者の目が、俺を見るや否やピクッと動く。


「……な、なんだあの……」


 小声で誰かが言うのが聞こえた。


 聞き耳を立てると、どうやら噂は広まっていたらしい。


「去勢魔法のレオン……来たぞ……」

「距離を取れ、絶対近づくな」


 ……いや、待て。ギルドだぞ? ここは。


 受付の女性が微笑む。


「初めての登録ですね。お名前は?」


「レオン・アークライトです」


 彼女は少し眉をひそめ、でも笑顔を保つ。


「……なるほど。書類にサインをお願いします」


 書類にペンを走らせる俺。ふと、周囲の男性たちの目が再びこちらに集まる。


「……誰も近づかねぇ……」


 そして、冒険者ギルドのベテランと思われる男性が小声で俺に耳打ちする。


「おい、君……その噂……本当か?」


 俺は正直に答える。


「……たぶんね」


 その瞬間、男性の顔色が変わった。


「近づくな!!絶対近づくな!!」


 背後の男性たちも同じく距離を取り、まるで透明なバリアに触れるかのようにギルドの一角に空間ができていく。


 俺はため息をつく。


「……学内と同じ状況か」


 その横で、ミリアがにこやかに言った。


「さすが噂どおりの人気者だね」


「不名誉な人気だ!!」


 受付女性が書類を受け取り、微笑む。


「登録完了です。あなたの評価は“特化型魔導士”で、Sランク魔法保持者として記録されました」


「はい……ありがとうございます」


 周囲の男性たちは安全距離を保ったまま、あからさまにこちらを警戒している。


 ミリアが肩を叩く。


「行こう、レオン。まずは冒険者として活動してみよう」


「……この距離感、慣れるのかな……」


 俺たちがギルドを出ると、遠くから男性冒険者が小声でつぶやく。


「……去勢魔法……実在するのか……」


 その声に応えるように、風がサラリと吹き抜ける。


 俺は背筋に変な冷たいものを感じながらも、ふと心の中でつぶやいた。


「……ま、これが俺の戦い方なんだな」


 こうして、学院を出た“去勢魔法のレオン”の冒険者生活が、静かに、しかし恐怖と尊敬の視線の中で始まった。


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