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二つ名つきました

翌朝。


 俺はいつも通り学院の門をくぐった。


 ……のだが。


 なぜか周囲の空気がおかしい。


 男子生徒がこっちを見た瞬間、友達の肩を叩く。


「おい……あれ」


「え?」


「昨日の……」


「……マジだ」


 二人は目が合った瞬間、すっと距離を取った。


 スッ……。


「……?」


 俺が一歩進む。


 男子生徒たちが二歩下がる。


 俺がまた歩く。


 また下がる。


「待て」


 俺は思わず叫んだ。


「なんで後退するんだ!」


 男子生徒Bが震えながら言う。


「いや……その……」


「大丈夫だって!」


「大丈夫じゃない!!」


 別の男子が叫んだ。


「近づくと魔法撃たれるんだろ!?」


「撃たねえよ!」


「昨日盗賊団に撃ったじゃねえか!」


「状況が違うだろ!」


 するとさらに遠くから声がする。


「距離取れ!!」


「半径五メートル以内入るな!」


「去勢圏内だぞ!!」


「そんな範囲魔法じゃない!」


 俺の周りだけ、きれいに人の輪ができていた。


 ぽっかりと空いた空間。


 まるで疫病扱いである。


 そこへ。


「おはよー」


 ミリアが普通に歩いてきた。


 男子生徒たちが驚く。


「おい!」


「ミリア!」


「近づくな!」


「危険だ!」


 ミリアは首を傾げた。


「なにが?」


「レオンだぞ!」


「知ってるよ」


 そして俺の横に立つ。


 男子たちがざわめく。


「ミリア正気か……」


「命知らず……」


 ミリアは俺の顔を見る。


「有名人だね」


「不名誉すぎる」


 すると後ろから声がした。


「道を開けなさい」


 教師だった。


 男子生徒たちが一斉に道を空ける。


 教師は満足そうに言った。


「素晴らしいですね」


「何がですか」


「治安効果です」


「学院内で発動してませんけど!?」


 教師は黒板を指す。


 そこには張り紙があった。


【注意】


去勢魔法のレオンに不用意に近づかないこと

男子生徒は安全距離を保つこと


学院安全委員会


「誰だこんなの作ったの!!」


 男子生徒たちが口々に言う。


「俺じゃない!」


「俺も!」


「安全のためだ!」


「俺の社会的立場の安全は!?」


盗賊に魔法を使った距離が3〜5m位だったから皆安全距離がその位だと思っているみたいだが、実のところ自分でもよく分かってない。そう簡単に実験できないし。


 そのとき。


 ひとりの男子生徒が恐る恐る近づいてきた。


「レオン……」


「お、おう?」


「お願いがある」


「なに?」


 彼は真剣な顔で言った。


「今度ナンパしてくる上級生に撃ってくれ」


「俺を何だと思ってるんだ!!」


 ミリアが笑う。


「用途が広がってきたね」


「広がらなくていい!」


 すると廊下の奥からまた声がする。


「いたぞ!」


「去勢のレオンだ!」


「逃げろ!!」


 男子生徒たちが一斉に散っていった。


 まるで猛獣でも来たかのような逃げ方だった。


 静まり返る廊下。


「そんな、二つ名欲しくない…」


 俺は呆然と立ち尽くす。


「……なあ」


「なに?」


 ミリアが聞く。


「俺、転校した方がいいかな」


 ミリアは少し考えてから言った。


「無理じゃない?」


「なんで」


「どこの国でも有名になると思う」


「最悪だよ!!」


 そのとき教師が言った。


「レオン君」


「はい」


「午後の授業ですが」


「はい」


「実戦訓練です」


「嫌な予感しかしない」


 教師は微笑んだ。


「安心してください」


「何がですか」


「相手は全員男子です」


「帰ります!!」


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