表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/25

ガレスの希望



レオンたちが地下牢の部屋から出ていった。


トロちゃんは向かいの檻にいる人間とオークたちを見る。


オークたちを見回して、あることに気づいた。


玉がない。


オークのそれは普段かなり目立つ。だからすぐに分かった。


(自分と同じようにボスにやられたんだ)


トロちゃんは唸る。


「グォー」

(お前らもボスにやられたみたいだな! 再生できないからそのままじゃねーか!)


トロちゃんは、再生能力があるせいで拷問を受けた記憶をすっかり忘れ、完全に調子に乗っていた。


ガレスが眉をひそめる。


「なんか唸ってやがるな」


オークが唸る。


「ブモ〜」


するとトロちゃんは腰布をめくり、ガレスとオークに見せつけた。


「グァ〜」

(どうだ、羨ましいか?)


ガレスはトロールの意図を理解した。


「くそっ、馬鹿にしてやがる!」


オークが怒る。


「ブモッブモッ!」

(あいつは仲間じゃない!)


オークはガレスをぎゅっと抱きしめた。


「ぐぇっ」


その様子を見て、声が響く。


「おや、楽しそうですね」


アーヴィンが戻ってきていた。


そしてガレスに言う。


「ガレスさん。あなたの失った物が戻るかもしれませんよ」


ガレスは目を見開いた。


「あのトロールはレオン君に何度も魔法を受けていたんです。再生するたびに」


ガレスはトロちゃんを見る。


「……あいつ楽しそうにマウント取ってたけど、あいつの方が悲惨じゃねぇか」


アーヴィンは続ける。


「再生できたなら、高位の回復魔法で戻る可能性があります」


「まじか!」


しかしアーヴィンは肩をすくめた。


「ただ、そんな高位の回復魔法を使える人は教会か国に囲われています」


「実験だから犯罪奴隷に使ってくれ、とは簡単に頼めません」


ガレスは睨んだ。


「だったらなんで教えた」


アーヴィンは微笑む。


「なんとなく期待させてみたかった……からですかね」


ガレスは呆れる。


「性格悪いぞ」


アーヴィンは嬉しそうに言った。


「ありがとうございます」


そして続ける。


「でも実験してみたいのは本心ですよ」


「それに可能性がないわけではありません」


「レオン君と一緒にいたミリアさん。彼女、回復適性Sなんですよ」


「成長すれば、不可能ではないということです」


ガレスは少し黙った。


そして言う。


「……その時は頼む。成功したら俺の部下たちにも」


「ええ」


そのころ。


レオンたちは廊下を歩いていた。


レオンがふと思い出す。


「そういえばミリアって回復Sじゃん。卒業したら教会に行くの?」


回復魔法は、適性が高くても使い続けなければ伸びない。


魔法ランクはあくまで成長の上限。


努力が必要だ。


回復魔法の使い手は、卒業後に教会へ入るのが一般的だった。


ミリアは即答する。


「行かないよ」


そしてレオンを見る。


「私はレオンから離れない!」


レオン「えっ!」


ドキッとする。


アリス(えっ!?)


ミリアは続けた。


「レオンのトラブルはリアタイで見たいの! 人づてに聞くなんて嫌!」

(レオンは私がいないとダメダメだから心配なのよ)


レオンは呆れた。


「お前、本音と建前が逆だぞ」


アリス(ホッ……)


――近い未来、聖女と崇められるはずだった少女。

その運命は、この瞬間に道を外した。

そして。

ガレスの希望も、静かに消えたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ