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盗賊団のその後

盗賊団が倒されたあと。


 学院の中庭には、縛られた盗賊たちがずらりと並んでいた。


 その中心で、リーダーが青い顔をして震えている。


「……なあ」


 リーダーが仲間に小声で言った。


「お前ら……無事か?」


「……」


「……」


 全員、静かに首を横に振った。


 ひとりが涙目で言う。


「ボス……俺、なんか……世界が静かです」


「やめろ」


 別の男がうずくまる。


「兄貴……俺もう結婚できないんじゃ……」


「やめろって言ってるだろ!!」


 そこへ学院の教師がやってくる。


「君たち、暴れないでくださいね」


 盗賊たちは同時に叫んだ。


「暴れられるわけねえだろ!!」


 リーダーが必死に訴える。


「おい先生!!」


「はい?」


「さっきの魔法!!」


「はい」


「元に戻るのか!?」


 教師は少し考えてから答えた。


「戻りません」


「はっきり言うな!!」


 盗賊たちは絶望の表情になる。


 そこへ、俺——レオンが恐る恐る近づいた。


「……あの」


 リーダーがゆっくり顔を上げる。


 目が合った。


 ものすごい感情が込められている。


 怒り。


 悲しみ。


 そして——


 恐怖。


「来るな」


「いやもう魔法使わないから!」


「来るなあああ!!」


 全員が一斉に後ずさった。


 縄で縛られているのに、芋虫みたいに下がっていく。


「落ち着いて!もう去勢するものないから安心して!」


「安心できるか!」


 ミリアが横でぼそっと言う。


「完全にトラウマになってるね」


「俺だってトラウマだよ!!」


 すると盗賊団の一人が泣きながら言った。


「ボス……」


「なんだ」


「俺……盗賊やめます」


「……」


「畑やります」


 別の男も手を挙げた。


「俺も……」


「俺は実家帰る」


「俺は料理人になる」


 リーダーが頭を抱えた。


「お前ら……」


 そしてレオンを見る。


「お前……」


「は、はい」


「……ある意味、勇者より怖い」


「そんな評価いらない!!」


 そのとき、教師が満足そうに頷いた。


「見なさい」


「何をですか」


「更生率100%」


「こんな更生のさせ方ある!?」


 盗賊たちは完全におとなしくなっていた。


 誰一人、もう悪事を働こうとは思っていない顔だ。


 ミリアがぽつりと呟く。


「……やっぱり最強の治安維持魔法じゃない?」


 俺は遠い目をした。


「英雄の称号、返上したい……」


 こうして——


 魔法学院史上もっとも平和的で、もっとも恐れられる魔導士が誕生したのだった。


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