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ガレスとオークの出会い


ガレスは学院へ連れて来られていた。


元盗賊の犯罪奴隷。


これからどんな扱いを受けるのか——


正直、不安しかなかった。


だが予想は、いきなり裏切られる。


「まずは風呂に入ってください」


ガレスは風呂へ案内された。


しっかり湯に浸かり、汚れを落とす。


その後渡されたのは、豪華ではないが清潔な服だった。


さらに食堂へ案内される。


出されたのは普通の食事。


パン、スープ、肉。


奴隷の食事とは思えない。


ガレスは思った。


(……あれ?)


(思ったよりまともじゃね?)


少し気が緩む。


(アーヴィンの噂……)


(誇張されてたんじゃないか?)


盗賊の間では有名だった。


この学院の研究者――アーヴィン。


「人を平気で実験に使う」


そんな噂が広がっていた。


だが今のところ、普通に待遇はいい。


するとアーヴィンが言った。


「今日はゆっくり休んでください」


「部屋に案内します」


ガレスは頷いた。


(今日は寝れるな……)


そう思っていた。


しかし。


案内された場所は地下だった。


ガレスは首を傾げる。


「……なんで地下なんだ?」


アーヴィンに聞いてみた。


するとアーヴィンは普通に答えた。


「一応犯罪奴隷ですから」


「奴隷として働かせる時以外は、檻付きに入れるというのが購入条件に入ってるんです」


「逃げ出したら責任問題になりますからね」


なるほど。


ガレスは納得した。


(まぁ……そうだよな)


(犯罪奴隷だし)


鉱山よりはマシだ。


アーヴィンが鉄の扉を開ける。


ギィィィ……


重い音が地下に響いた。


中は通路になっていた。


左右には六つの檻。


牢屋だ。


その一つに、三匹のオークが入っていた。


巨大な体。


樽のような筋肉。


牙。


完全にモンスターだ。


ガレスはそれを見て言った。


「モンスターと一緒かよ……」


だがすぐ考え直す。


(まぁ……)


(鉱山よりマシか)


するとアーヴィンが言った。


「ここが君の部屋です」


ガレスは指差された檻を見る。


そこはオークのいる檻だった。


ガレスの思考が止まる。


「……!」


次の瞬間。


「イヤイヤイヤ!!」


ガレスは叫んだ。


「モンスター入ってるぞ!!」


こんな所に入ったらどうなる?


決まっている。


襲われる。


犯されて。


食われる。


絶対嫌だ。


ーーーーーーーー


【教えて!アリス先生!】


ミリアが手を挙げた。


「アリス先生!」


「オークってどんな生態なの?」


「食べる事はあるけど」


アリスは頷いた。


「じゃあ早速教えるね」


オークの特性


・身長 約2メートル

・樽のような筋肉質


ミリアが頷く。


「でかいよね」


アリスは続ける。


「オークはね」


「他種族を捕まえて繁殖するんだ」


ミリアが顔をしかめる。


「うぇ……」


「だからあんなにすぐ襲って来るんだ」


アリスは頷いた。


「だから見つけたら討伐対象だね」


そして続ける。


「ちなみに」


「繁殖は出来ないけど」


「オスでも襲うよ」


「これは繁殖じゃなくて性欲処理」


「そのあと食べる」


ミリアが即答した。


「バルガスじゃん」


アリスは沈黙した。


「……」


少し考えてから言う。


「フォローしたくないけど」


「バルガスは人は食べないよ」


ミリア

「そこフォロー?」


アリスは続ける。


「ちなみに人族はオークを食用にしてる」


「ウルフより脂は多いけど肉は硬い」


「煮込めばそれなりに食べられる」


ミリアが頷く。


「確かに」


「煮込みしか食べたことない」


アリスはさらに言う。


「皮下脂肪は獣油として使われる」


「明かり用の油だね」


ミリアが思い出した。


「あ!」


「学院のランプは臭くないよね!」

「家で使ってるのは臭かった」


アリスは頷く。


「学院のランプは魔道具だよ。」

「魔道具のランプは高級品だからね」


「貴族か大商人くらいしか持てない」


「だから普通はオーク油」


ミリアが納得する。


「オークっていっぱい居るもんね」


アリス

「冒険者の稼ぎ口だからね」


「動物を飼育するより」


「森でオークを狩る方が安い」


ミリア

「飼育された動物って牛とか豚だよね」


「食べてみたいなぁ」


アリスは言った。


「今日はここまで!」


ミリア

「じゃまたね!」


ーーーーーーーー


ガレスは首を傾げた。


「ん?」


「何いまの?」


アーヴィンが聞く。


「どうしました?」


ガレスは叫んだ。


「どうしたじゃねぇ!」


「とりあえず部屋分けてくれ!!」


ガレスは後悔していた。


さっき飯を食べて安心した自分が馬鹿だった。


(やっぱり)


(サイコパス野郎だこいつ)


アーヴィンは困った顔をする。


「刑期が終わるまで無事じゃないと」


「僕が責任取らされるんですよ」


「危険はありません」


ガレスは即答した。


「あるわ!!」


「死ぬわ!!」


檻は他にも空いている。


ガレスは指差した。


「別の檻空いてるだろ!」


「そっちにしてくれ!」


アーヴィンは言った。


「大丈夫ですって」


そして。


ガレスを無理やり押し込んだ。


ガシャン。


鉄格子が閉まる。


ガレスは怯える。


オークを見る。


オークもガレスを見る。


沈黙。


オークは――


見つめているだけだった。


襲ってこない。


ガレス

「……??」


アーヴィンが言う。


「だから大丈夫って言ったでしょ」


そして続ける。


「そのオーク」


「君と同じなんですよ」


ガレス

「??」


アーヴィン

「君も受けたでしょ」


「去勢魔法」


ガレスの背筋が凍る。


アーヴィンは笑った。


「あのオークも受けてるんですよ」


ガレス

「……え?」


ガレスはゆっくり


オークを見る。


オークも


ガレスを見ていた。


---



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