トロちゃん潜入作戦(失敗)
森の出口。
レオン達は立ち止まっていた。
その後ろには――
ドン。
トロちゃん。
「……」
「……」
「……」
「無理だろ」
レオンが即答した。
「このサイズで街に入るとか絶対無理」
トロちゃんはレオンを見つめている。
完全に「ボスの命令待ち」の顔だ。
「帰れ」
レオンは森を指差した。
トロちゃんは首を横に振った。
「帰れ!」
首を横に振る。
「帰れって!」
首を横に振る。
「……」
「……」
ミリアが言った。
「懐かれてるね」
「嬉しくない」
レオンは真顔だった。
その時ミリアが言った。
「作戦考えよう」
「作戦?」
「トロちゃんを街に入れる作戦」
レオンは遠い目をした。
「そんなのあるのか?」
ミリアは指を一本立てた。
「第一案」
「聞くだけ聞く」
「馬車で隠す」
沈黙。
「サイズ見て言ってる?」
トロちゃんは三メートルある。
馬車よりデカい。
「却下」
「第二案」
ミリアは布を取り出した。
トロちゃんにかぶせる。
巨大な布の塊が出来た。
ドン。
アリスが言った。
「余計怪しい」
「却下」
ミリアは腕を組む。
「じゃあ第三案」
「聞くだけ聞く」
「人間だと言い張る」
レオンは真顔で言った。
「通ると思う?」
ミリアも真顔だった。
「思わない」
「却下!」
その時だった。
アリスがポンと手を叩いた。
「そうだ」
「?」
「旧水道」
「旧水道?」
「昔の排水トンネル」
アリスは説明する。
「街の裏に出られるよ」
レオンの目が光った。
「……それだ」
数分後。
旧水道入口。
暗くてジメジメしたトンネル。
「くっさ」
ミリアが鼻をつまむ。
トロちゃんは平気そうだ。
「静かに行こう」
レオンが言った。
トロちゃんは頷く。
ドスン。
ドスン。
ドスン。
「全然静かじゃない!」
ミリアが突っ込む。
数分後。
出口が見えた。
レオンはそっと顔を出す。
裏路地だ。
「よし」
「成功」
三人は外に出た。
そして振り返る。
トロちゃんも出てきた。
ドン。
その瞬間。
近くのおばちゃんと目が合った。
沈黙。
数秒後――
「ぎゃあああああ!!」
「モンスター!!」
ミリアが叫ぶ。
「作戦失敗!!」
レオンも叫ぶ。
「知ってた!!」
遠くから声が聞こえる。
「騎士団です!!」
「モンスターだと!?」
レオンの顔が青くなる。
トロちゃんは嬉しそうにレオンを見る。
(ボス、戦いますか?)
そんな顔だ。
「戦わない!!」




