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まだまだ襲われます



とりあえずゴブリンにトドメを刺し、討伐証明の右耳と心臓の近くにある小さな魔石を取っていた。


ゴブリンの体からナイフを抜きながら、俺はため息をつく。


「ゴブリンってさ」


「お小遣い程度の報酬と小さな魔石だけしか手に入らないから、労力に対して対価安すぎない?」


ミリアが肩をすくめる。


「初心者用モンスターだからね」


アリスは慣れた手つきで袋に耳を入れていた。


「数を狩るタイプの仕事だね」


さらに面倒なのがその後だ。


俺は袋から小瓶を取り出す。


中には黒っぽい液体が入っている。


「これがまた臭いんだよな……」


「防臭液ね」


アリスが言う。


モンスターを解体した後の残骸は、土に埋めるだけじゃダメだ。

辛い草を煮詰めた汁をかけないといけない。


これをかけないと――


ウルフが掘り起こしてしまう。


それが餌になり、その周辺はモンスターの生活圏になってしまうのだ。


俺は残骸に液体をかける。


ジュワッ。


「うわっ臭っ!」


ミリアが鼻をつまむ。


「我慢して」


「これやらないともっと面倒なことになるから」


アリスが説明する。


「森の奥なら埋めなくてもいいんだけどね」


「餌が減るとモンスターが浅い所まで降りてくるから」


「なるほど」


俺は土をかけながら頷く。


「……ん?」


そのとき。


森の奥から足音が聞こえた。


ザッ。


ザッ。


ミリアがすぐに顔を上げる。


「来る」


茂みから現れたのは――


灰色の狼。


「ウルフ!」


ミリアが叫ぶ。


ウルフは五匹。


牙を剥いてこちらを睨んでいる。


「浅い森なのに?」


俺は眉をひそめた。


普通、ウルフはもう少し奥にいるはずだ。


「考えてる暇ない!」


ミリアが言う。


前にいた二匹のウルフが飛びかかってくる。


俺は反射的に魔法を発動した。


「発動!」


光が広がる。


次の瞬間。


「ギャン!?」


ウルフが空中で硬直した。


そして――


ドサッ。


三匹同時に倒れる。


飛びかかってきた二匹と、後ろにいた一匹。


残りの二匹は、仲間が一瞬で倒されたのを見て逃げ出した。


アリスがぽつりと言う。


「……やっぱり効くんだ」


ミリアが遠い目になる。


「もう何に効かないのか気になってきた」


俺は頭をかいた。


「実はさ」


「五匹全部を対象にしたんだけど……後ろの二匹はいけないって感じがしたんだ」


「発動したら三匹だけ倒せた」


ミリアが言う。


「もしかして後ろの二匹、メスだったんじゃない?」


俺は目を見開いた。


「そっか……玉なかったから発動しなかったのか!」


ミリアはオブラートに包まず言った。


「それって結構やばくない?」


俺は冷や汗が出た。


とりあえず今回は、二匹が逃げたので危険は回避できた。


だけど。


安心する暇はなかった。


そのとき。


ドドドドドッ!!


地面が揺れた。


「……え?」


森の奥から突進してきたのは――


巨大なイノシシ。


「クレイボア!?」


ミリアが叫ぶ。


しかも一匹じゃない。


二匹。


「ちょっと待て!」


俺は叫んだ。


「浅い森だよなここ!?」


ボアが突進してくる。


ドガァ!!


木にぶつかりながら一直線だ。


「発動!!」


光。


ボアが硬直。


そして。


ズドォン!


二匹同時に倒れた。


俺は息をつく。


「……良かった。オスだった」


ミリアは真剣な顔だった。


「おかしい」


「何が?」


「中層モンスターばっかり」


そのとき。


森の奥から――


ドン。


ドン。


ドン。


重い足音。


三人ともゆっくり振り向く。


そして。


木の影から現れた。


巨大な影。


茶色の毛皮。


人より大きな体。


「……ワイルドベア」


ミリアが呟く。


森の熊。


中層モンスター。


俺は遠い目になった。


「今日」


「めちゃくちゃ襲われるな」


アリスがぽつりと言う。


「これ」


「浅い森じゃないよね」


ワイルドベアが咆哮した。


「グォオオオ!!」


ミリアが構える。


「レオン」


「うん」


俺は魔法陣を展開した。


「よし!オスだ!発動――!!」


光が森を包んだ。


そして。


ドォォン!!


ワイルドベアが地面に倒れた。


完全沈黙。


俺は首筋に嫌な汗を感じた。


「……なんか変だ」


「今日はもう帰るぞ」


ミリアが眉をひそめる。


「帰る?」


「ああ」


俺は森の奥を見た。


「この森、危ない気がする」


「一度ギルドに報告しよう」


二人は頷き、ルール違反だが倒した獲物は討伐証明部位だけ取り、残骸は放置することにした。


処理している暇はない。

早く立ち去るべきだ。


「……今日」


「帰れるよな?」


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