温泉の危機を救え!
妖精の案内で、ドラキチたち冒険者一行は泉源へ向かうことになった。温泉地の奥に広がる洞窟は、湯気で満ちており、薄暗く湿気が肌にまとわりつくようだ。だがドラキチの足取りはどこか軽い。
ドラキチは背中の荷物から「洞窟探検ランプ」を取り出す。契約魔法で「明るさ2倍強化」「バッテリー永続化」という特典を追加した優れものだ。
「これ、泉源を調べたら特典とかあるのかな?」
「おい、ドラキチ。お前、こんな場所にも、お得とか考えているのか?」
オニイがからかうように言うと、ドラキチは真顔で答えた。
「もちろんさ。洞窟で使えそうな特典アイテム、ちゃんと持ってきたからね」
「お前の消費者契約魔法の話ばかり聞いていると、冒険が全部お得探しに思えてくるよ」
「だってそうでしょ?苦労するならお得じゃないと損だよ」
ドラキチは契約魔法を発動し、クエストの特典を調べる。すると「成功時、温泉永久無料利用権プレゼント」と書かれた光る文字が浮かび上がった。
「おお、これは本気出さないと。」
「お前、やっぱり変わっているな……。」
呆れるオニイをよそに、ドラキチは一行を先導して洞窟を進んでいった。
道中、洞窟の奥から低い唸り声が聞こえてきた。一行が身構えると、姿を現したのは温泉地特有のモンスター「バブルドラゴン」。見た目は愛嬌のある丸い体だが、口から吹き出す高温の蒸気が厄介だ。
「うわっ、強そうじゃねぇか!」
「戦わないといけないのか……。」
オニイが剣、テフコが杖を構える中、ドラキチは冷静だった。
「戦いは最後の手段だよ。まずは交渉してみよう」
ドラキチは契約魔法を発動し、「バブルドラゴンとの契約可能性」を確認。どうやら、彼らは温泉の泉源に含まれる特定のミネラルが減っていることで怒っているらしい。
ドラキチは荷物から「ミネラル補給用の粉末」(契約特典でついてきたおまけ)を取り出し、バブルドラゴンに差し出した。ドラゴンは一瞬警戒したが、粉末を舐めると満足げにゴロリと横になり、攻撃をやめた。
「これでひとまず解決だね」
「お前、本当に戦わないな……」
オニイは感心するやら呆れるやらだった。
バブルドラゴンを鎮めた一行は、泉源にたどり着いた。ところが、湯気がほとんど出ておらず、温泉の命とも言える魔力の流れが途絶えているように見えた。さらに、泉源のそばには異様に大きな足跡が続いていた。
「……どうやら原因はモンスターのようだな」
オニイが言った。その瞬間、大地が揺れ、湯気の向こうから巨大なモンスターが姿を現した。
「グオォォォォ……!」
それはマグマスチームドラゴンと呼ばれる温泉地特有の巨大モンスターだった。体中から熱い蒸気を吹き出し、泉源の魔力を吸収しているらしい。冒険者たちは武器を構え、戦闘準備を始める。
しかし、ドラキチは戦闘に加わる様子はない。代わりに消費者契約魔法を発動し、モンスターの弱点を暴くのに役立つアイテムを調べ始めた。市場で購入していた「温泉地限定モンスター対応グッズ」が目に入る。
「これだな、『マグマスチーム専用除湿クリスタル』!契約時の特典で“有効範囲2倍”付き!」
ドラキチはクリスタルを取り出し、モンスターの足元に放り投げた。瞬時にクリスタルが発動し、モンスターの体から放たれていた蒸気を吸収し始める。
「グオオォォッ……!」
マグマスチームドラゴンは体が冷やされて力を失い、その場で倒れ込んだ。冒険者たちは驚きながらも歓声を上げる。
「す、すげえ!お前、そんな道具どこで手に入れたんだ?」
「いや、普通に市場で買ったよ。消費者契約魔法でお得になったし」
モンスターが力を失ったことで、泉源の魔力が再び流れ始めた。しかし、泉源は復活しなかった。よく見ると黒いヘドロ状の物体が溜まっていた。妖精が悲しげに説明する。
「これは魔力吸収ヘドロという厄介な存在で、泉源の魔力を奪ってしまうの……」
オニイとテフコは早速ヘドロを取り除こうと試みるが、触れるだけで魔力が吸収されてしまうため、近づくのも一苦労だった。
その時、ドラキチがポケットから「汚染除去用のスプレー」を取り出した。これは市場で契約した際に「モンスター忌避スプレー」とセットでついてきたもので、ヘドロ状の物質を浄化する効果があるらしい。
「これ、試してみよう」
ドラキチがスプレーをシュッと吹きかけると、黒いヘドロはたちまち溶け、泉源が元の美しい湯気を取り戻した。妖精は目を輝かせて感謝する。
「ありがとう、ドラキチさん!これで温泉が元通りになるわ!」
ギルドに戻ったドラキチたちは、温泉地の村からたっぷりの感謝状と報酬を受け取った。ドラキチはお土産の薬草セットや特製温泉まんじゅうを眺めながら満足げに笑う。
「いやぁ、温泉も満喫できたし、報酬ももらえたし、完璧だね」
もちろん、温泉永久無料利用権も手に入れた。
「これで好きなときに温泉に入り放題だな」
さらに、温泉の精霊が感謝の印として特別なアイテム「湯けむりポーション」をプレゼントしてくれた。このポーションはどこにでも温泉を作り出すことができるという代物だ。
「これで自宅でも冒険先でも温泉三昧か。いいね!」
オニイが苦笑しながら言った。
「お前、本当に冒険者って感じじゃないけど、妙に頼りになるんだよな」
「冒険しないのが俺の冒険スタイルだから」
「冒険者ってより生活の達人だよな」
マクラも受付でドラキチを迎えながら、呆れつつ微笑んだ。
「またお得なクエストを見つけてきそうですね」
「もちろん。次は何があるかな~。異世界グルメツアーとかがいいかな」
ドラキチのほのぼの異世界ライフは、まだまだ続く。戦いよりも「お得と快適」を追求する。




