豪華温泉旅行クエスト!
冬の寒さが牙を剥く季節。ドラキチはギルドの掲示板の片隅に貼られている特大ポスターに目を留めた。
「癒しの秘湯!温泉旅行クエスト」
報酬には「宿泊費無料」「温泉地特製の薬草セット付き」など、ドラキチ好みの特典が並んでいる。さらに、消費者契約魔法で詳細を調べると、「早期申し込みで豪華ディナー追加」という特典まで表示されていた。
「温泉とごちそう……これは行くしかない!」
「このクエスト、温泉地までの道は危険なモンスターが出ることで有名ですよ」
受付のマクラが警告するも、ドラキチは意に介さない。
「消費者契約魔法でお得に乗り切るから!」
ドラキチは早速、温泉旅行に向けた準備を開始。市場で購入したアイテムに消費者契約魔法を使い、特典を最大限活用する。
・魔法焚き火セット:温泉地は夜になると冷え込むと聞き、これを購入。契約特典として「燃料追加無料」と「初回起動でヒーター機能開放」をゲット。
・癒しの湯モンスターよけタオル:温泉好きのモンスター「ホットスプリングベア」を避ける効果があるという便利アイテム。契約時に「ミニサイズの追加タオル付き」特典をもらう。
・豪華お弁当セット:温泉地での食事まで待てない場合を想定して購入。特典で「飲み物無料」をつけてもらう。
●準備万端、いざ冒険へ!
準備万端のドラキチは、同じクエストに参加する冒険者達と合流する。屈強な戦士オニイと魔法使いのテフコである。彼らの目標はモンスター退治や秘湯探しだが、ドラキチの目的は一つ。
「温泉に浸かり、のんびりすること」
「よし、全員揃ったな。出発するぞ!」
オニイが号令をかける。
「今回の敵はホットスプリングベアだ。温泉を守っているらしいから気を抜くなよ!」
「はいはーい、了解でーす」
ドラキチはのんびりした返事をしながら、懐から一枚のタオルを取り出した。その名も「モンスターよけタオル」。
「おいおい、そんなタオルで熊が避けられるかよ」
オニイが呆れたように言うが、ドラキチはニヤリと笑う。
「いや、これ、消費者契約魔法に基づいた効果なんですよ」
●戦わずして勝利? いや、ただのお得術
一行は温泉郷へ続く山道を進む。鬱蒼とした森の中、不気味な獣道が続く。すると、突然目の前に巨大な影が現れた。体長3メートルはあろうかという「ホットスプリングベア」だ! 毛並みは温泉成分でツヤツヤ、目はぎらついている。
オニイとテフコは慌てて武器や杖を構える。
「来やがれ、熊!」
だが、二人が攻撃を繰り出す間もなく、ドラキチがサッと例の「モンスターよけタオル」を掲げた。
「消費者契約魔法発動!特典効果に基づき、モンスターは忌避行動を取るべし!」
タオルからふわっと芳香剤のような香りが漂う。すると、凶暴だった熊は鼻をヒクヒクさせて後ずさり、そのままトコトコと森の中へ去っていった。まるで、強い虫除けスプレーをかけられた蚊のように。
オニイが目を見張る。
「おいおい、ドラキチ、やるじゃねぇか。戦わずして勝利か!」
ドラキチは肩をすくめる。
「いや、ただお得に済ませただけだよ」
「そういう問題か?」
テフコがツッコむ。
●消費者契約魔法はトラブル解決の切り札
その後も、ドラキチの消費者契約魔法が炸裂する。道中、巨石が道を塞いでいた。オニイが力任せに押そうとするがビクともしない。テフコは魔法で破壊しようと呪文を詠唱し始めた。
「ちょっと待った」
ドラキチが声をかけた。ドラキチはリュックから「魔法焚き火セット」を取り出す。
「このセットの特典機能に『障害物溶解』ってのがあってさ。正規の契約を結んでるから威力は保証されている」
ドラキチが焚き火セットを設置し、消費者契約の呪文を唱えると、セットから高熱の青い炎が噴き出し、みるみるうちに巨石を溶かしてしまった。道が開ける。
さらにゴブリンの集団が襲ってきた際も、オニイたちが準備する前に「忌避スプレー」で一掃。
「ぐえーっ、目に染みるー!」
ゴブリンたちは叫びながら逃げ去っていった。
オニイとテフコは驚きを隠せない。消費者契約魔法と特典アイテムで次々とトラブルを解決していくドラキチの姿は、まさに新時代の冒険者像だった。
「ドラキチ……お前、何者なんだ?」
オニイが尋ねる。
ドラキチはニッコリ笑った。
「ただの、賢い消費者ですよ」
ドラキチの目的は温泉。トラブルはサクッと「契約」で解決し、お得にのんびり温泉ライフを満喫するため、一行は秘境の温泉郷へと急ぐのであった。




