妖精の森の再開発
ドラキチの元には、毎日のように「だまし売り」被害に遭った人々が相談に訪れていた。そんなある日、彼の前に一人の美しいエルフの女性が現れた。透き通るような緑色の瞳には、深い悲しみが宿っている。
「ドラキチ様、どうか私の村をお救いくださいまし」
彼女は深々と頭を下げた。
「悪徳不動産魔術師集団が、私たちの妖精の森を『再開発』と称してだまし取ろうとしているのです」
ドラキチは前世で因縁のあった名前を聞き、目つきが変わった。
「詳細を聞かせていただけますか」
エルフの話によると、悪徳不動産は「再開発すれば、森はもっと豊かになり、あなた方の生活も保証されます」と甘言を弄し、村長から一方的な契約書にサインさせたという。しかし、彼らの真の目的は、森の魔力を吸い取って「闇の魔力発電所」を建設することだった。
「これは完全に『不当勧誘』と『説明義務違反』、そして『契約内容の不適切表示』ですね」
ドラキチは悪徳不動産の本拠地へと向かった。そこは禍々しいオーラを放つ巨大な黒いビルディングだった。
「お待ちしておりましたよ、消費者契約魔法使い殿」
ビルの最上階から現れたのは、冷酷な笑みを浮かべた男だった。彼はドラキチの前世の裁判相手を彷彿とさせる風貌だった。
「消費者契約魔法は確かに厄介だ。しかし、この『絶対契約領域』の中では、いかなる契約魔法も無効化される!」
男が杖を振るうと、空間が歪み、ドラキチは無数の契約書に囲まれた。そこには「いかなる理由があろうと解約不可」「当社に一切の責任はない」といった、悪魔のような文言が踊っている。
「ふん、子供だましの領域だ」
ドラキチは冷静だった。「消費者契約法は、契約当事者間の公平な情報格差を是正するための法です。この領域は、その大原則を無視している。無効です!」
ドラキチは懐からクリスタルを取り出した。
「喰らえ! 『消費者契約魔法・確定判決』!」
クリスタルから放たれた光は「絶対契約領域」を容易く貫き、無数の契約書を粉砕した。男の顔が驚愕に歪む。
「ば、馬鹿な! この領域は絶対のはず!」
「契約とは、信頼の上に成り立つもの。それを踏みにじるあなた方のビジネスモデルこそ、この世界から『無効』とされるべきだ!」
ドラキチは叫んだ。
「これで終わりです! 『消費者契約魔法・契約解除』!」
強大な法の力により、悪徳不動産が村長と交わした契約書は完全に消滅した。男は魔力を失い、崩れ落ちる。
「くっ…覚えておれ、消費者契約魔法使い…」
悪徳不動産の本拠地は崩壊し、妖精の森には平和が戻った。
「ドラキチさん。本当にありがとうございました。あなたがいなければ、私たちは森を失うところでした」
エルフたちは深く感謝する。
「いえ、当然のことをしたまでです」
ドラキチは清々しい笑顔で答えた。
「だまし売りがある限り、私の戦いは終わりません。この異世界を、契約トラブルゼロの世界にしてみせます!」




