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精霊と歩む少女 ―古の名を継ぐ者―【主人公視点での物語】  作者: アインス
第1歩 ~出逢い~

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コードの武勇伝『前線指揮官と故郷の新妻』

いやぁ~お前さん。

目の付け所がいいやな。

俺様の活躍についてだったな?


さっき話した通りだ。

オロディア軍が攻めてきた。

指揮官はムタレンっていう腐った匂いの狼の皮を被った脂ぎったブタ。笑いながら他人の血で酒を飲むクズだ。


あん?知ってんのか?

じゃあソイツで間違いねぇ。

さっきも言ったがこの国には軍隊なんか無ぇ。だが()()()がある。ハンターは依頼が無いと動かない。だからギルドから依頼が出たのさ。


【防衛戦の依頼】ってな。

攻めてきたのはムタレン率いるオロディア軍約5000人。

指揮官の名を聞いて、ギルドの連中は負けるわけにはいかないってのは理解した。


ん?そうだぜ。まさにここでその話をしてたんだ。仕切ってたのはほれ。そこの受付に立ってる()()()だ。い~い女だろ?あそこに立ってる時は隙なんかねぇから諦めな。


話を戻すぜ。作戦はこうだ。

オロディア軍約5000人の内、前線に配備される()()()()2000人の中に潜入して、裏切りを扇動。

こっちに引き込んだ後はこの国の開拓地に住居の確保と仕事を回す事で生活基盤を提供するって条件でな。

この大役を仰せつかったのが俺様だよ。


やっかいな仕事押し付けられたもんだが、俺様にとっちゃあ楽な仕事だ。軽く引き受けてそのままギルドを後にした。


オロディア軍への潜入は簡単だったぜ。

首尾よく忍び込んだら前線部隊に集合がかかりやがった。


話を聞くに、部隊の指揮官様が決まっただの、手柄を立てれば恩赦があるだの中身のねぇ精神論聞かされながら朝メシどうするか考えてたら指揮官様のご挨拶が始まりやがった。


勘弁してくれよ…こっちゃあ忙しいってのによ?


ただその指揮官様がよ、若くて身なりもいいクセに暗すぎたんだ。


どうせ話なんか誰も聞いちゃいねぇが、心ここにあらずで何言ってるか本人もわかってねぇって顔してやがった。


ピンときたねぇ。俺のカンがよ。

ウラがあるんじゃねぇかってな。


そのまま本陣で情報収集よ。


軍紀の乱れた陣中ってのは俺たちみてぇのには天国だぜ?


飲みながらバカ騒ぎしてる連中のところで、宴会芸で盛り上げてやりゃあ、あっちこっちに引っ張りだこさ。

小一時間もすりゃ、お偉いさんの取り巻きからこっちで芸をやれってお呼びがかかる。

ここまで来りゃあ後はやりたい放題さ。こっから先どうしたかは言えねぇが、知りたいことは大体分かった。


前線の指揮官様の名前はピエール。


本国から目付の為に本陣に入ったはいいが、優秀だったんだなあ、将軍の目的に気付いちまった。


ただ真面目過ぎたんだなあ。ちゃちゃっと本国に報告すりゃあいいのに、将軍を問い詰めやがった。


“バレちゃあしょうがねぇ。こっちもてめぇの動きが怪しいと探ってたんだ。”

汚ねぇ将軍に新妻をタテにされちまって、前線に飛ばされてきたらしい。


そこまで分かりゃあもう十分だ。


前線の指揮官様のテントに潜り込むなり言ってやったのさ


『あんたの嫁さん、

 俺が助けてやろうか?』


どう見てもヒーローのご登場だろ?

なのにピエールは聞かなかった。

当たり前と言えば当たり前だわな。

どこの馬の骨とも知れねぇヤツがいきなり目の前に現れてそんな事言ってもよ。


だがヤツには他に手段がないことも分かってたんだ。


渋々こう言ったのさ。

“俺に何をさせようというんだ?”

ここから先はトントン拍子よ。


先陣には手を出さねぇ手筈になってるから、あんたたちはそのまま砦を通過してくれりゃあ、後はウチのギルドに任せろってな。


細けぇ部分は省くがそれで解決さ。

俺はこのままアンタの嫁さんを連れてきてやるから、後は頼むぜって言い残してオロディアに残してきたお姫様を助けに行ってきたのさ。


あん?話が長ぇって?


何言ってやがる。こっから残された指揮官様の新妻をどうやって…

何しやがる!それは俺の最後の手羽先……!


あ?やっぱり続きが聞きてぇだと?

どっからだ?あぁ…ピエールの嫁さんがどうなったか知りてぇんだな?


センスのいい家だったねぇ。


ハッピーエンドのストーリーじゃあ主人公が故郷の恋人の元へ帰るだろ?

なぜかヒロインが外にいるタイミングで、主人公が返ってくるんだよなぁ


ヒロインが顔向けた先には思い人が立ってやがるんだ。んで抱きあってめでたしめでたしってな。


そん時の背景にある家だよ…。うらやましいなチクショウめ。


でよ、約束通り“指揮官様のお姫様”を見つけたわけだ。


当然聞いてた通りの場所に、聞いてた通りのお姫様。

想像通りの監視どもってな具合よ。


どうやらお姫様は監視に気付いてないらしい。


監視は監視で命令あるまで手は出さねぇって感じだ。


初日は様子見といきたいところだが状況が動いてからじゃ遅ぇからな。

買い出しがてら周辺の観察してその晩に決行よ。


兵は拙速を貴ぶってな。


暗くなるのを待って愛の巣へお邪魔したのさ。


麗しのお姫様には悪いが俺にとっちゃあナイスタイミングだったねぇ


…おい、ちょっと耳貸せよ。

お姫様はよ、白磁みてぇなお上品な肩先はいかにも華奢なんだ。


だがよ!そんな体からは不釣り合いな隆起が…

そりゃあ牛の角に似た大胆なカーブでよ!

雪白の柔肉…だが張りつめて豊満…


どうよ?生ツバもんだろう?これ以上は言えねえがな。


”偶々””偶然””運悪く”着替えの最中だったんだよ。

もちろん気付かれねぇように

”しっかり観察して”背後から忍び寄る。


これは大事なことなんだ。

声を上げられるわけにはいかねぇからな。


もちろん与えられたご褒美はしっかり目に収めてきたがな。

そっと背後から口を塞いで捕獲完了だ。


あとはピエールが首にぶら下げてやがった指輪を見せて一言。


「ピエールの遣いだ。あんたは今監視されてる。逃がしてやるように依頼を受けてる。この指輪を証拠に見せれば分かってくれると聞いてるが…いいか?」ってな。


こういうのは勢いと冷静さを装うのが“コツ”だぜ?


低い声で有無を言わせずってやつだな。


お姫様からすりゃあ軽いパニックだろうが、見間違えようもねぇ“ブツ”は目の前にある。

大人しく言う事聞いてくれたもんよ。


脱出は簡単さ。

そりゃあ入れたんだから出れるだろうよ。素人の監視なんざぁ、監視の内に入らねぇ。


愛しの旦那様が遣わしたキューピットとともに逃避行の始まり、俺たちは夜の闇に溶け込むように、姫を連れ脱出を果たしたのさ。


あ?鼻がどうしたって?


こりゃあお前あれだよ。

拝観料ってやつだな…

あら、お帰りなさい!

今回も無事帰って来てくれたのね?


報告は忘れずに。

そう。ブックマークよ。


感想は忘れていないか確認した?


ありがとう。

いつでもちゃんと帰ってきてね。


次回 私たちの紹介。

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