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精霊と歩む少女 ―古の名を継ぐ者―【主人公視点での物語】  作者: アインス
第2歩 仲間を求めて

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新たな旅路③ ゴブリン討伐

翌朝、村で目覚めた私たちは酒場兼宿屋の女主人カンナに挨拶を済ませゴブリンとオーガが目撃されたという森に足を踏み入れていた。


「森が騒ぎ出したわね。

 ソファ?準備はいい?」

「魔法使っていいからね?

 ゴブリンとオーガ討伐頑張って!

 ピエールもこっち」


セレナとノエルはそう言うと、振り返りもせずに高台の丘へ向かった。


「ホントに行っちゃったよ…」

「おいてかれちゃったね」

溜息まじりの一言に足元からヤクモが返す。


「ヤクモ?どうしよっか?」

「てつだう?いいよ!」


「嬉しいけど…だめ。自分でなんとかしなきゃ」


「ソファ。ボクそれに入る?」

「えっ?また?」


そう言って短い足を伸ばして腰のフレイルに飛びつきながらタッチするヤクモ。


「またこの核に入るの?

 …この間みたいに引っ張らない?」

「だいじょうぶ!」


「…ほんと~…に、引っ張らない?」

「だいじょうぶ!」

疑いの眼差しを向けると尻尾をパタパタさせるヤクモ。


「……」「……」


「…分かった。でもルールを決めましょ」

かがんでヤクモを見つめると嬉しそうに尻尾をパタパタ…。


「ハウス!って言ったら、こっちの糸の付いてる方に入ってね。で、デュオ!って言ったら、こっちに入る」

指差して指示を出してる間も尻尾をパタパタ。


「待て!って言ったら絶対戻ってくる。分かった?」

舌を出し鼻を舐め頷くヤクモ。


「…やってみよっか、デュオ!」

輝きとともにフレイルの核がヤクモをかたどった。


「『できた~』」


「ヤクモ、このまま魔法って使えるの?」

『できるよ。イメージしてみて』


「とりあえず索敵かな。この辺りにいるみたいだし…できる?」


『ん~、≪アルゴス≫って言ってみて』


「えっ?それだけ?…≪アルゴス≫」


詠唱とともにフレイルのヤクモの目が白銀に輝く。


瞬間、視界が自分を中心に全方位に開けた。


「何これ…」


『“見る”時はこう言うんだよ。なれるともっとよく見えるようになるよ』


視界に戸惑いながらも周囲を確認する。


少し向こうの丘では、振り返りこちらを見下ろすところの3人の姿を見付けた。

そのままぐるりと辺りを見回すと、こっちを挟んで3人とは反対側に…


「…いた。ゴブリン」

『みんなもこっち見てるね~』


「そうね。凄い。あそこにゴブリンがいるのが分かってて、あの丘に行ったんだ」


『セレナはエルフ。森がおうち!』

「フフッ。そうね。見つけたけど、どうしようか?…ゴブリンが20ちょっと…固まってる」


『ほのお!』

「…このままでできるのかな?」


『ん~、まだむりかな。

 ちゃんと見えるところに行ってみて』


ヤクモに言われるまま、ゴブリンを見渡せる位置へと移動する。


「ここならちゃんと目で見えるよ。どうするの?」

『つぎ、よく見て、≪ケルベロス≫って言ってみて』


――物語で良く聞く名前、地獄の番犬。

その言葉の意味が分かった。

フレイルをゴブリンに向けて唱える。


「いくよ、≪ケルベロス≫!」



――地を割るような咆哮が、森を貫いた。


轟音とともに赤黒い炎が渦を巻き、そこから現れたのは、三つの頭を持つ漆黒の獣。


左の首は青白い業火を、右の首は紅蓮を、中央の首は黒炎を纏い、三つの咆哮が重なると、大地が震え炎の奔流が四方へと迸った。


――何これ?

確かにケルベロスだとは思うけど…


逃げ惑うゴブリンたちの影が、光と熱に焼かれながら弾け飛んだ。


森の木々は燃えず、ただ“目標”のみを蹂躙して、残ったのは―沈黙と、熱。


ゴブリンの残骸の灰だけが風に流れた。



「……やっちゃった、よね?」


目にした光景を信じられないままフレイルをそっと下ろした。


あたりには焦げた草の匂い。

ゴブリンのいた辺りの木々が、まるで「勘弁して」と言わんばかりに傾いている。


――やっちゃった。


『すごかったでしょ!

 全部いなくなったよ!』

フレイルの核――ヤクモが、楽しそうにぴかぴかと光る。


「うん……うん、いなくなったのは分かるけど…」

眉をひそめて地面を見た。


……ゴブリンどこ?


周囲には、もはや“討伐した証拠”すら残っていなかった。

地面は黒く、空気が熱い。


――そしてなにより、静かすぎる。


『えへへーっ、もえた!』

「燃えたっていうか、

 消し飛ばしたんじゃ……」


溜め息しか出ない。

焦げた土を靴先でつついてみた。


「…報告、どうすればいいの?

 ()()()()()()()()()()()とか?」


ぽつりと呟いてから、フレイル(ヤクモ)を見つめた。


フレイル(ヤクモ)はまだうきうきと輝いている。


「ねえ……次は、もうちょっと抑えめにお願いできる?」

『“おさえめ”ってどうやるの?』


「燃やしちゃうから、炎は駄目!」


『とばしちゃう?』

「…風かな?それも駄目」


『バラバラ?』

「…多分木の事よね。それも駄目」


『カチコチ?』

「――それよ!凍らせることもできるの?」


『だいじょうぶ。≪フェンリル≫ね』



――それも物語で見た覚えがある。

けど犬じゃなく狼だったような…。


「…分かった。次はそうしよ?

 ヤクモ。一つ決めていい?」


『なに~?』


「≪待て≫って言ったら、

 すぐ止まること!」


引き攣った笑顔を浮かべながら言い切るとフレイル(ヤクモ)の輝きは青みを帯びた深緑に落ち着いた。


なんだ今のは?赤い炎に青い炎に黒い炎?

伝説上の生き物じゃないか!

確か応援しなければ地獄の業火で焼き払うとかいう…

急ぎコメントかレビューを!!こっちも全力で対処する!

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