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精霊と歩む少女 ―古の名を継ぐ者―【主人公視点での物語】  作者: アインス
第2歩 仲間を求めて

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私の武器

イツカから報酬は何がいい?と聞かれたので、私は武器が欲しいと答えた。


「武器、か。いいんじゃねぇか?

 メシ食ったら武器庫に行くか」

「いいじゃん、それ。アタシも付き合うよ。皆も行くでしょ?」

ノエルの問いかけに皆は興味深そうに頷いた。

私は料理を食べながら皆がどうしたのか知りたくなって聞いてみた。


「皆は何を報酬にしたの?」


「あ、言っとかなきゃ!アタシはね、ソファも含めて3人ウチに貰うことにした。あとピエールたちの住むとこと、ファニーの仕事場」


いきなり話について行けなくなった。

私も入れて3人?

ウチってスプライトクインテット?


「ちゃんと説明しなきゃ駄目でしょ。3人っていうのは、私とソファ、それにピエールの事。顔ぶれは何も変わらないわ。私たちが外に出ている間、ファニーの事はアリアに任せて、彼女は当分ここの離れの一つに住むことになったの」


うん。セレナの説明で理解はできた。


「でもそれだとクインテットには1人足らなくない?」


「そうなの!とりあえずエルクを頭数に入れて無理矢理クインテットで手を打とうかなって」


――??

なんでノエルはこうやって混乱させるの?


「移動手段として、私があのゴルドホーンエルクを貰ったの。乗り物付きでね。足は遅いけど輸送能力は最高だわ」


「え?あのまま?派手過ぎない?」

「それは趣味が悪いから却下。

 アリアが見繕ってくれるそうよ」


それなら安心していいかな?


「あれ?ピエールはどうしたの?」


「俺は貰えないだろう。何よりファニーとまた会えた。俺が外に出ても彼女のいる場所は王の館の離れかギルドの中だ。これ以上など望む必要がないほどの好待遇だ」


「じゃあ、後は私の武器だけだね」


「食い終わったみてぇだな。

 じゃあ皆で武器庫へ行くか」


そう言って席を立ったイツカに従い、皆で後を追う。


「ねぇイツカ。どっちの武器庫?」

後を追いながらセレナが尋ねた。

どっちってどういう意味だろ?


「そりゃあ嬢ちゃんの報酬だろ?()()()()()だな」

「王の個人的な武器庫?」とピエール。


「やったねソファ。使えそうになかったら売っちゃえば良い値がつくよ?あ、ねぇ!アタシにもなんかちょうだいよ!」

「お前は3人も持ってくんだからそれで十分だろうが!」

「ぶ~、ケチくさいよね~」


そう言って私に話を振るのはやめてよね。乾いた笑いしか出ないよ。


そんな話をしながらたどり着いた館の1室を開けてイツカが言った。

「ここの武器なら好きなの持ってっていいぜ?」


「なんでも…ですか?」

「嬢ちゃんはどれがいい?杖使ってたが…あれどうした?」

「ノエルに、この杖なら無い方がマシって言われて取り上げられちゃいました」


「核もついてないホントただの杖じゃん。あんなのいらないよ!」

「魔法使うのに杖は無くても大丈夫。どうしても杖がいいなら、ここで選ぶ方がマシよ?」

既に中に入って武器を選びながらノエルとセレナが返す。


私も物色しながら室内を見回してみた。

直剣、大剣、短剣、細剣、戦斧、大斧、槍、メイス、ハンマー、棍棒、数種の弓、鎌、鞭……。

「何この武器屋さん…」

思わず声に出して驚いた。

「ソファ、こんな希少な素材を使った武器ばかりを揃えた武器屋なんかないぞ」

一緒になって武器を見ていたピエールが引き攣った顔で呟く。

それもそうか。

ピエールが驚くくらいどれもそんなに珍しい素材を使ってるんだ…。


ふと見慣れない武器に足が止まった。


「おっ?それにしてみるか?」

「これ魔道具じゃん!核付きだし、これにしなよ!」

「杖としても使えそうね。…フレイルかしら?」


「魔道具って?」


そう言いながら私は武器を手に取った。


棒の両側に握りがあり、どちらも先端には魔物の核。

違いは片側には棒と核の間に編み込まれた糸のような物…。


目を奪われたのは両端の核の色。

紅蓮ぐれんに輝く光の中に翡翠ひすいの輝きが見え隠れする。


「…試しに外で振ってみるか?」

イツカの問いかけに無言で頷いて外に出て驚いた。


「これ…色が…変わってる!」

「そうだっけ?」

私の声に首を傾げるノエル。


紅蓮のあかは消え、森羅の光のようなみどりの輝き。

片手、両手で2度3度と振ってみる。


不思議と手に馴染む感触。持ち手を変えて同じく素振りを繰り返した。


「この糸…伸びるかも」

試しに少し魔力を流してみたら糸は魔力に呼応するかのように伸び、核がコトンと地に落ちた。


「この糸、アラネスの糸だね」

「アラネス?」

ノエルの言葉に咄嗟に聞き返す。


「蜘蛛よ。ほぼ幻とされるSランク相当の巨大蜘蛛」

「魔力で伸び縮みすると思うよ。核も見たことないし、相当レアな武器だね。気になるんなら、これにしとけば?」


武器に対してあれやこれやと4人で言い合っている足元で、いつの間に出てきたのか興味津々で核でじゃれているヤクモ。


「ヤクモ!やめ…」


突如核が眩い輝きを放ち、ヤクモが姿を消す。


「なに?ヤクモ!」


『ここだよ~。…入れちゃった…』


「!???」

驚いて私たちは核をマジマジと見る。


核は心臓が鼓動するように淡い光が揺らぎ、静寂を照らす茜焔あかねほむら、森のようなみどりあかが溶け合いながら動いてる。


「入ったって…大丈夫なのヤクモ?」


『ユラユラきもちいいよ!』

そう言うと核は、ヤクモをかたどるように姿を変える。


『どう?かっこいい?』

「いや…かわいい…かな?」

「どうなってんだろうね、これ?」


それまで黙って見ていたイツカが声をかけた。

「振ってみろよ~。どこまで伸びるかやってみな」


軽い調子で声を掛けられ、動揺しながらも私は体制を整えた。


「ヤクモ、振ってみていい?」

『ぜんぜんいいよー』


魔力を抑え恐る恐る前方に武器を振るった途端に聞こえるヤクモの大きな笑い声。


『ヒュ~ン!』


「大丈夫なのね?」

『たのしぃ~!』


「…分かった。ちょっとストップ」

『まだだいじょうぶ~。つぎあっち~』


「ちょっ!ヤクモ!…駄目!」


「ありゃ、だめだな」

「あれ散歩なの?」

「振り回されてないか?」

「振り回されてるわね」

離れて見ていた4人の目にはフレイル(ヤクモ)に振り回されるソファの姿。


「駄目だったら!」

『さいご、あっち~!』


「「「あっ!!」」」


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