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精霊と歩む少女 ―古の名を継ぐ者―【主人公視点での物語】  作者: アインス
第2歩 仲間を求めて

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運び屋⑤ 報酬

「あら?ソファちゃんまだここにいたの?」


声を掛けられて顔を上げると、多分応接間を片付けに来たアリアだった。


「ごめんなさい。すぐに出るから」

邪魔になるよね。ちょっと外にでも出ようか?


「どうしたの?誰に何を言われたの?」


「いや…、ちょっと、ね」


「そういえばちゃんと2人っきりで話すのは初めてね?座っていい?」


そう言いながらもう座っちゃったよ。


「ね?こんな話知ってる?」


え?いきなり何を??



◇◇◇◇



ある所に少女がいました。

彼女は優しい両親に大切に育てられて

とても幸せでした。


ある時彼女はお手伝いで水汲みに出かけ

そこで何かの卵を見つけました。


食べられる卵かも分からないので

持って帰って孵してみることにしました


それから彼女は服の中で大切に温め

1月もしない内に雛が孵りました。

両親に報告するととても褒めてくれて

教えられるまま大事に育てました。


雛が大きくなる頃、

その鳥の種類が分かりました。

とても貴重でとても美味しい鳥。


父は言いました。

大きくなったら皆で食べような。


母が言いました。

市に出せば好きなものが買えるわよ。


少女は鳥を見つめ考えました。

食べるという事はこの子を殺すこと。

売ってしまえば一緒にはいられない。

どちらも正しいようで

どちらも怖かったのです。


少女はどちらも選ぶことが出来ず

そのまま飼う事にしました。

両親は何も言わず娘の好きにさせました


それから1月もしないうちに

大きくなった鳥と遊んでいると

急に羽ばたき、大空へ飛んで

二度と戻ってきませんでした。



◇◇◇◇



少女の話はそこで終わった。

何だろう…

誰が悪い訳でもない。

両親の提案も間違ってないと思う。

ただ何かが妙に引っかかる…。



「ねぇ、このお話、

 少女はどうすれば良かったと思う?」


――?


「売れば良かった?」


それだと少女とは離れ離れになる。


「食べちゃうべきだった?」


大事に育てた鳥を食べられる?


「逃げないよう檻を作るべきだった?」


それも少し違う気がする。


「自然に還ったのを喜ぶべき?」


でもその鳥がその後どうなるかは――


「正解なんてないよね?」


…確かにそう。

でもこの話が一体?


「でも彼女は間違ってる」


――何を?


「彼女は()()()()()()()()()

 だから()()()()()()()()()


「――それは厳しすぎなんじゃ…」


「あら、そうかな?何か得た?」


「…鳥と過ごした時間…とか?」


「ただの少女ならそれでいいわね。

 でも()()()()()じゃないわ。

 ただ流れに身を任せただけね」


――?


「少女をあなたに置き換えてみて。

 あなたは()()()()()()()()()()()


――!!

言い返そうとして、言葉が出なかった。

これまで何度、()()()()()()()()

運や周囲のせいにしてきただろう。

()()()()()()()()()()

後悔してきただろう。


「間違う事もあるでしょうね。

 でも選ばないっていうのは

 何もしなかったって事。

 ハンターっていうのは

 自分で選んで進まなきゃ、

 この仕事をやる意味がないわ。

 私はただのギルドの受付よ。

 ()()()()()()()()はたった一つ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 ねぇ、ソファ?

 あなたこの仕事を()()()んでしょ?」


どこまでも優しい口調が逆に刺さる。

ハンターになると決めたのは私。

そこから先は――。


「強くなりたくて、力が欲しくて。

 ヤクモちゃんに出会えたのよね?

 ソファは強くなったの?」


「まだ…」


「皆の所へ行ってみなさい。

 強くなる手助けをしてくれるはずよ」


私はただ頷くしかなかった。


「まだハンターになったばかりでしょ?

 まだ助けてもらって全然いいのよ。

 思いっきり甘えて、強くなってね」


今度はアリアをちゃんと見て頷いた。

――やってみよう。

今までだって、聞けば教えてくれた。

――ぶつかってやる。

あの人たちなら受け止めてくれる。


「ありがとうね、アリア」

この人、なんて顔して笑うんだろ…


「私、早く一人前になるね。

 強くなる、で、ちゃんと帰って来る」


「良くできました。いってらっしゃい」



◇◇◇◇




「お待たせしました。」

皆のいる別室に入って、そう言って席に着いた。


「落ち着いたか?」とイツカ。


「さっきは取り乱してごめんなさい。少し冷静に考えてみたら、確かに皆の言う通りでした。まだ引っ掛かる部分もあるにはあるんですけど、もう大丈夫です」


何だろう?

皆アリアと同じで優しい表情。


「今よ、報酬の話してたんだ。

 嬢ちゃんは何かあるか?」


「みんなは…もう済んだみたいね」


そう言って皆を見回してみたら

まずは食べなさいと料理を薦められた。


卓の上。

木製の大皿には湯気を立てる野菜のシチューと黒パンにチーズ。

隣には香辛料を利かせた魚のグリルが置かれ、焦げの香ばしい匂い。

さらに柑橘系の果実を搾って爽やかな風味の山菜の炒め物。

果実酒が食卓を彩り、体に力を満たす香りが立ち込めていた。


食事を始めながら私は少し考えて、

答えを決めた。


「じゃあ…武器がいいです。

 何かありますか?」

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