運び屋② 小休止
私たちは帰り道の途中、見晴らしのいい水場で休息を取っていた。
「帰る前に2つ決めておきたいことがあるんだけど、いい?」
ノエルがそう切り出すと、私たちは向き直り話を聞く体勢をとった。
「1つ目からね。ピエール、アンタ帰ったらどうすんの?」
「そういえば湯殿での話は途中だったな。先延ばしにして申し訳ない。ファニーとも話し合ったんだが、是非お願いできないだろうか?」
「私からも、主人をよろしくお願いします」
ピエールとファニーが揃って頭を下げた。
「良かったぁ。こっちも話してたんだぁ。
運転手兼、荷物持ち兼、素材剥ぎ取り係兼、見張り兼、ソファの戦闘教育係ね」
「…1つ増えた気がするが?」
うん。私の戦闘教育係が増えた。
「単純な護身術程度よ?固いこと言わないの~」
「ピエールさん!お願いします!」
勢いよく頭を下げて私からもお願いしてみた。
「そう言う意味じゃない。…俺でいいなら協力させてくれ」
ピエールは謙遜するけど、私は忘れていない。彼は一瞬、たった一突きでオークを倒したんだ。他の2人がおかしいだけで、十分に実力がある歴とした軍人だ。
「じゃあ決まりね。…1つ目はオッケーかな」
「…あの」
次に移ろうとしたノエルにファニーが手を上げた。
「どうしたの?」
「申し訳ないんですけど…住むところとかは、あるんでしょうか?」
「とりあえずアテはあるから安心して。そっから先はピエール次第ね」
「なんで俺次第なんだ?」
「ハンターやるんだから、稼がなきゃ。捨てられちゃうよ~?」
「確かに」
「とりあえず住むところと、当面の生活費だけは気にしなくていいからね」
手を下ろしながら、とりあえずは納得した様子のファニー。
「もう1つは、私からね」とセレナ。
「荷物なんだけど、見るか見ないかってことで、ノエルが騒いじゃってて」
「だって気になるじゃ~ん」
「ノエル。黙ってるって約束でしょ?」
打ち合わせと違うので私はノエルを窘めた。
ピエールたち夫婦はなんだそんなことかと拍子抜けした様子。
「私たち2人は、見たくないと、どっちでもいいって意見が一つずつなの。2人はどう?」
問いかけられた2人は顔を見合わせ、
「俺は…気にはなるが見なくていいと思う」
「私は、何もわからないので、見ない方が…助かります」
見たいが1。
どっちでもいいが1。
見たくないが3。
「決まり。この話はおしまいね。見ないって事で、素直に持ち帰って片づけちゃいましょ」
「え~?やっぱ気になる~」
そんなやり取りを交わしながら、暫しの休憩を終えて帰路についた。
◇◇◇◇
ギルドにて コードの武勇伝
前線指揮官と故郷の新妻“最終話”
なんだよなんだよ?男どもばっかり集まりやがってよ。
あん?あの金髪の色男を知ってるかだと?
この間話したじゃねえか。聞いてなかったのか?
そうだよ。監視されてたお姫様をこの俺様が救ってやった話だよ。
それとなんの関係がって…鈍いヤツだねぇ。そのお姫様の旦那様があの色男だってんだよ。
そうだよ。あの話の指揮官様のピエールだよ。
何そんな大騒ぎしてんだ?
ノエル?あぁいたよ。あとはルーキーの嬢ちゃんとセレナもいたな。
…おっ?悪いな。気が利くじゃねぇか。
何ぃ?奢りだと?
分かった分かった。話してやるよ。何が知りたいんだ?
どこで会ったって、色男とお姫様を引き合わせて、感動の再会からこっちに連れて来たのもプロデュースは俺様だからな。
レイブの旦那のトコだよ。そうだ。あの城跡だな。色男と今言った3人で迎えに来たぜぇ?
ひょっとして…なんだよ?
あぁ…読めたぜ。皆まで言うな。
煙の向こう側の話をしろってんだな。
誰から聞きたい?
あぁ、もちろんだ。俺の得意分野じゃねぇか。
他のヤツじゃあまず無理だな。知ってるか?
あそこにノエルかセレナがいるときは、人が空を飛ぶんだぜぇ?
いやぁ~俺はそんなヘマはしねぇ。
じゃあ嬢ちゃんからだな。
お前も好きだねぇ。
期待しろよ?なんせあの3人が着いたのは朝だったからな。
おぉ…ぅ。近過ぎんだよ。
暑苦しいぜ。
あの滝の裏側に隙間あるの知ってるか?
来るのは間違いなかったからな。すぐに回り込んださ。
湯殿の手前の間から声が聞こえたんだよ。もちろん3人ともだ。
でよ……!!
…お姫様じゃあねぇか?
アリアに言われてここで働いてる…?
待て待て待て待て…。そのデカい鍋はなんだよ。おい!やめ……
おいおいおいおい…俺たちゃあまだ何も聞いてねぇよ。まずその鍋をだな、下ろしてくれ。
そうだ…。下ろして…、
そうだ。できたじゃねぇか。
アレだよな?アリアの横についてるギルドの新人さんだよな?
赤い髪が似合ってるよ。なぁ?そう思うよな?
「「ちげぇねぇ」」
分からないことがあるなら、何でも聞いてくれ。
こう見えて俺たちゃあ中々のモンなんだぜ。
お?聞きたい事?
いいぜ。言ってみな。なぁ?
「「何でも答えるぜ」」
感想ってなんだ?…おぉ!感想な。
作品のトップに飛ぶだろ?
別の所によ、あんだろ?
それに感想をちょちょ~いと書きゃあいいんだよ。…そうだ。
「「ちゃんと書くんだぞ」」
なっ。これからも仲良くしようじゃねえか。鍋は持って来なくていいからな!




