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精霊と歩む少女 ―古の名を継ぐ者―【主人公視点での物語】  作者: アインス
第2歩 仲間を求めて

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運び屋① 出発

色々あった湯殿から出た私たちが支度を整えると、レイブの待つ一室へ案内された。


「ゆっくり休んだかよ?まあ座りな」

全員が席に着いたのを確認してから目で発言を促した。


――あ、リーダーが発言しろって事?


私たちは一斉にノエルを指差した。


「アタシが聞くわ。続きを話して」


「朝話した通りだが、一つだけ訂正がある。荷物はさっき届いた。今からでも夜明けでも、こっちの準備は完了だ。出発はそっちに任せる」


「一つ聞いていい?」

どうぞ。と身振りで続きを促すレイブ。


「アタシたちが歩いて帰るって言ってたら、どうするつもりだったの?」


「当然の質問だな。いいぞ。準備できたら外で説明してやるよ。見たほうが早い」

「こっちは準備完了よ。案内して」


レイブの案内に従い、城の外まで案内された私たちは、その異様な光景に驚いた。


漆喰と金縁で彩られた大きな車体。

窓ごとに厚布のカーテンが備わり、見るからに貴族の長旅仕様で高そう。

馬車を曳くのは、黄金の角を誇る大鹿――確かゴルドホーンエルク…滅茶苦茶頭が良くて高いって聞いた事がある。


鍛えられた四肢が大地を踏み締め、重厚な車体を曳いても揺れなさそうな、王族や貴族が使うような移動手段だ。


――それが2台。


私と、多分隣にいたピエールとファニーも口を大きく開けたまま呆然としていた。そんな私たちには構わずに後ろで仕事についての話が続けられていた。


「説明は?」とノエル。

「お前らが断ったら2台ともウチの儲けだ。お前らの“ブツ”はあっちだけだよ」


「どっちでも一緒じゃないの?」

()()は同じだ。だが、中身が違う。中身も一部は同じだが、まあそりゃあいい。あっちを指定したのはイツカだ」


「中身を見ちゃだめなら、どうやって運ぶのよ?」

「そりゃあ簡単だ。ゴルドホーンエルクは頭がいい。お前らのケツを追わせるなり、並んで歩くなり、言われた通りにするさ」


「つまり、()()()()()()()()って事ね?」

「そういうこった。国境出たら好きにしな。お前らのトカゲとは別に移動手段も用意した。安心しろ。これも支払い済みだ」


「全部あの“バカ親父(イツカ)”の条件?」

「今回はいい取り引きだったぜ。お前らが断ってくれればもっと儲かるんだがな」


「…もう行くわ。あの“バカ”ぶっ飛ばしてやる」


「成功したら教えてくれやぁ。1週間ぶっ通しで貸し切りの宴会開いてやるよ」

少し間があって、空気が和んだ気がした。


「また来いよ!ソファちゃんつれてなぁ!」

レイブの最後の言葉に私は振り返って頭を下げた。

盗賊団の頭領って言ってたけど、どこかの軍の将軍ってあんな人のことじゃないかな?

…また来てもいいのかな?



◇◇◇◇



「ホンっと頭くるわぁ」

「さっきからずっと機嫌悪いね?」

「気が利いてるじゃない。補給なしで帰れるわよ」


不満ばかりのノエルに対し、

何も気にしていない私たち。


レイブが移動手段で用意してくれたのはカーゴリザードだった。少し大型で、更に食料も十分積み込まれていた。

()()の向こう側ではピエールとファニーが行きのカーゴリザードに乗り3台並んで移動中。


「こっちもそうだけど、あっちの荷物も中々よ?なのにレイブは嬉しそうだったし」


カボブを頬張りながら続きを促すセレナ。


「あっちの中身も問題だけど、こっちの荷物も問題よ!」

「どうして?」


「どうして食料がアタシたちの好みばっかりなの?」

「気を利かしてくれたんじゃ…」

()()()()()()のが問題なの!これ、レイブの仕業じゃないわ」

「それもそうね。イツカの指示でしょうね」

カボブを飲み込んだセレナが頷いた。


一緒に旅をして気付いた事が一つ。

セレナは意外と良く食べる。

特に肉系。アレが秘訣なの?


「酒まであんのよ?しかもアタシが一番好きなやつ」

「これ美味しいよねぇ。私もノエルの好み分かってきたよ」


「じゃなくて!()()()()んじゃなくて、()()()()()んのが丸わかりなの!しかもそれを隠そうともしてない…」

「前から言おうと思ってたけど、ノエルのそういう勘って良く当たるよね」


「…中身見ちゃおっか?」

「またそれぇ?さっき意地でも見ないって言ってたのに」

「私もそれだけは気になるわ」

「え?セレナも気になるの?」

「中身はどうでもいいわ」

「「どういうこと?」」


「今までの話を整理すると、さっき国境を越えたから、もう中身は自由に見ていいわ。普通は気になるから見てみるか、関わりたくないから見ないか、の2択ね」

その通りなので私たちは頷いて続きを促した。


「だとすると、イツカが考えたのも2択よ。同じく見るか、見ないか。この待遇をみる限り、こうやって悩んでるのを想像してて、帰った時の私たちの反応を楽しみに待ってるか…」


「「待ってるか?」」


「絶対に見てほしくない。もしくは見たとしても絶対に持ち帰ってほしいか」


「楽しんでるってのも、想像すると腹立つよねぇ」

「でも帰り道は安心できて、それに私たちは楽しんでるわよ?」

「それはそうだけど…問題はセレナの言う通りだった場合よね」


「そう。だとしたら、私たちを向かわせた理由もわかる」

「「どういうこと?」」


「コードが言ってたじゃない。来るのは()()()()だと思ってたって」

「あの声の大きい人ですよね?」


「そう。コードの予想は正しいわ。()()()()は重装甲で、それに機転も利くから適任なの」


「思い出した!砦の戦いの時もめちゃくちゃ目立ってた」

「間違いなく腕利きよ。アタシもアイツなら余裕でできる仕事だと思うわ」


「でもイツカは形はどうあれ私たちを向かわせた…どうしてだと思う?」

「「どうして?」」


「これは私の想像だけど、仮に来たのが、オリバーや他のギルドの連中だったとして、中身を見た場合、持ち帰られない可能性やそれ以外のトラブルを予想したか、私たちなら、万一中身を見たとしても“荷物を持ち帰る可能性が一番高い”と判断した可能性があるわ」


あの…!

助けて頂いてありがとうございます。

メッセージですか? 

夫が感謝しておりました。


帰り道が心配です。


次回 荷物ってなんなのでしょう?


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