Epilogue
ローファンタジー寄りの恋愛物語、いよいよ完結です。
応援してくださった皆様、並びに読んでくださっていた皆様、本当にありがとうございました。
「おじいちゃん、これなぁに?」
幼児が押し入れの中から引っ張り出してきたアルバムをみて、老人は目を細めた。
「これはな、おじいちゃんが若いころにいろんなところに行ったときの写真だよ」
「いいなー!」
幼児は外の世界が気になる年頃なのか、アルバムのページをめくっては目を輝かせている。
「人探しをしていてな。日本中、海外まで行った……が、見つからないうちにこんな年になってな」
「すきなひとってこと?」
「そんなところ」
なごやかな空気が流れる中、廊下をドタドタと走る音に、老人は眉をひそめる。
襖を音を立ててかけた開け放った女は、おおわらわで口を開いた。
「旭さん!さっき生まれた!赤ちゃん、無事に産めたって!!」
「おお。理沙さんのところか。性別は?」
「女の子!名前ね___」
___優羽、にするつもりらしいよ!
老人は目を見開いた。
畳敷きの部屋の中を、そよ風が吹き抜けていく。
「やっと、みつけた」
老人のつぶやきに、幼児が不思議そうな顔をした。
「なにを?」
「なんでもないよ」
いつも通りの声音で対応した老人は、嬉しそうに目を細めた。
空は、一面に晴れていた。
なんでもない、のどかな午後の日のことだ。
閲覧ありがとうございました。
ここまでお付き合いくださった皆様に、心からの感謝を申し上げます。