世界の管理者、そしてタイムスリップ
久々に連載を始めました!!
「というわけで、ワイの不手際でアンタは、舞鶴伊織という人間は、死んだってわけや」
「おい」
何もない真っ白な空間にて、空中に浮かぶビー玉のような存在に対し、そうツッコミを入れる俺。
「つまり.....本来なら、80歳まで生きるはずだった俺が死んだのは、アンタの入力ミスってことか?」
「そゆこと」
「いや、ビー玉のくせにノリ軽くね?」
「ビー玉やない!!ワイは世界の管理者や!!それに、ワイにはラプラスって名前があるんやで!!」
俺の言葉に対し、そう反論するビー玉....もとい、ラプラス。
というか、名前があったのか。
しかも、何かカッコいい名前だし。
「世界の管理者.....ってことは、神様なのか?」
「YES!!」
「マジか」
このビー玉が......神様!?
「正確に言えば、世界のアレコレ.....まぁ、要は人類の出生率とかを操作したり、定期的に戦争の火種をばら撒いたり、あとは、たまに魂を転生させるのがワイの仕事や」
「何か物騒な単語も入ってる気がするんだが?」
「仕方がないやろ、人類はややこしいデータの塊なんやから」
ややこしいデータの塊て.....
「人類の数を調整するのも、世界の管理者の仕事なんや。そこのところ、理解してや」
「ビー玉のくせに、それっぽいことを言うんだな」
「だからビー玉やないって!!」
プンプンと起こりながら、そう言うラプラス。
そんなにビー玉扱いされるのが嫌なのか。
「お前、人間なのに敬う気持ちゼロやん!!」
「喋るビー玉のどこを敬えと?」
「ムキー!!」
そもそも、関西弁を喋るビー玉が目の前にいること自体、夢だと思いたい。
「ところで....さっき、魂を転生するのも仕事だって言っていたけど、俺の魂も転生出来るのか?」
俺が、興味本位でそう言うと
「出来るで」
ラプラスは、ドヤ顔でそう言うのだった。
.....なんかムカつくな。
「ただし....異世界転生・転移は人気がありすぎて、今は閉店ガラガラなんや」
「あ、そうなんだ」
やっぱり、異世界転生は人気が高いのか......
「けど、タイムスリップすることは出来るで」
「タイムスリップはOKなのかよ」
「ワイに支障が出なければ、万事OKや」
「ゆるゆるじゃねぇか」
そんなで世界の管理者が務まるのか....(呆れ)
「あ、言っとくけどな。アンタがタイムスリップして、歴史を改変したところで、その世界はパラレルワールドに分類されるや。そうしたら、ワイの管轄外になるんや。この言葉の意味、分かるか〜?」
「つまり、改変した世界線に切り替わるから、アンタには影響がない.....てことか?」
「そや!!ちなみにその世界には、別の管理者が派遣されるから、安心してや〜」
なるほど、そういうシステムなのか。
「てか、管理者ってたくさんいるんだな」
「そりゃ当たり前やろ!!ワイが一人でパラレルワールド込みで管理しとると思ってるんか?」
「そうだけど?」
「酷い!!」
俺の言葉に対し、ショックを受けるラプラス。
......世界の宗教家達が、この光景を見たらどう思うんだろうな。
「ビー玉、とりあえず落ち着け」
「誰のせいやと思っとるん!!あと、ワイはビー玉やないと何回言えば分かるんや!!」
「いやだって.....見た目がな」
「はぁ?何言ってんのや、ワイの見た目はビー玉なわけ.....ホンマや!!」
何でだろう、ラプラスの声を聞けば聞くほど、お笑い芸人っぽい感じるんだが
「お前、気づいてなかったのか」
「うぅ......返す言葉もないわ」
......そこまで落ち込むか?
「あぁ....まさか、自分のアバターを霊体モードにしたまんまやったとは....」
「世界の管理者でも、うっかりミスはあるんだな」
「仕方がないやろ!!ワイだって、失敗する時はあるんやから!!」
俺の耳元で、そう叫ぶラプラス。
「こうなったら....アンタのタイムスリップをさせて、ミスを取り返すで!!」
「なぁ、時代設定は」
「そんなもん、適当に選んでやるわ!!」
それでいいのかよ。
「転移先は.....ドイツで、言語理解の特典をセットしてっと..........よし!!こんなもんでええか!!」
「ドイツ!?俺、外国に転移するのか!?」
「日本に転移するのはテンプレすぎるからなぁ」
「そういう問題?」
俺が、心の中でそうツッコミを入れると.......当然、足元が光り輝き始めた。
嘘ぉ!?まだ心の準備が出来てないんだけどぉ!?
「ちょっ!?いきなりすぎない!?」
「何を言ってるんや。タイムスリップは突然やで!!」
「ラブストーリーは突然にみたいに言うな!!」
「あ、バレた?」
何で世界の管理者が、昔のドラマの名前を知ってるんだよ!!
「というか!!俺の死因をまだ聞いてなかったんだけど!!」
「あ〜、アンタの死因か?確か、食中毒だったはずやで?」
「食中毒!?」
そういや、死ぬ前に腹が痛かったような....?
って、言ってる場合じゃねぇ!!
俺の体が粒子になってきてるぅ!?
「あ、もうそろそろやな」
俺を見つめながら、あっさりとした様子で、そう言うラプラス。
「ほな、短い付き合いやったけど、頑張ってな〜!!」
そんなわけで......ラプラスが、そう言った後、手を振る光景を見ながら、俺は粒子化するのだった。
「ふぅ......にしても、タイムスリップ転移かぁ。この案件をやるのは、何年ぶりやろなぁ?」
お読みいただき、ありがとうございます!!
投稿ペースは一週間〜一ヶ月に何回かの不定期?になるかも?
あと、いいね・感想が作者の励みになりますので、よろしくお願いします。