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9話 初任務 Ⅰ


 「ふわぁーあ」

 小鳥のさえずりによって目が覚めた。目を擦りながらベッドから降りる。


 「今日は学校かぁ」

 昨日は自分の部屋に来てすぐに寝てしまった。だから風呂にも入っていないし、服も着替えていない。

 

・・・・・・流石に風呂には入っとくか

 

 凌大は寝癖を整え、玄関に向かう。

 靴箱から靴を取り出して履いた。そしてドアを開ける。廊下には誰もいなかった。

 凌大は廊下の奥へと進んでいく。廊下の奥に "大浴場→" と書かれた看板を見つけた。看板の指示通りに右へと進んでいく。

 

 しばらく歩くと大浴場と書かれた立て札が見えた。どうやらここが大浴場の入口らしい。凌大は暖簾(のれん)を手でどかし、中へ入った。

 そして、凌大は脱衣所で服を脱いで大浴場へ行く。


 湯につかる前に体を洗わないと。


 シャンプーや石鹸等で泡を立て、シャワーで流した。昨日の汚れが全て落ちたような気がしてとても気持ちがいい。

 凌大は一通り体を洗ったあと、湯へと向かった。


 トプン


 湯に足をつけた。湯はちょうどいい温度だ。

 

 凌大は足からだんだんとつかっていき、肩までつかった。寝ぼけた頭が覚醒していくような感じがする。

「やっぱり朝風呂はスッキリするな」


 背伸びをしながらつぶやいた。




 ******



「よぉ、凌大」

「浅井か」

 後ろから声をかけられたので振り返ってみると浅井がいた。これから教室へと向かうようだ。

 凌大も今、支度を整え、教室へと向かおうとしている最中だった。 


 二人は寮を出て、教室へと向かい始めた。


「よく寝れた?」

「俺の部屋寄り広かったし、ベッドも俺のより良かった」

「ふーん」


 他愛もない会話をしながら桜で囲まれた道を二人で歩いていく。気づけばもう靴箱まで到着していた。

 

 寮と校舎の距離、相変わらず近すぎだろ。

 

 二人は靴を脱ぎ、スリッパに履き替え、教室に入った。教室には既に3人ともいた。


 「おはようございます!」

「おはよう」

雪乃に軽く挨拶を返し、席に座った。


 「お前ら全員そろってるな?」

 少ししてから先生が教室に入ってきた。いつも通り朝の話が始まる。


 「今日も魔法練習を―――」

 ゥ゙ーゥ゙ー


 先生が話していると急にスマホが鳴った。先生はポケットからスマホを取り出し、電話に出た。

 

 どうやら先生のスマホが鳴っていたようだ。


「誰だよ。何か用か?」

 話を中断され、不機嫌そうな声だった。


『侵入者です。担当職員は対処をお願いします。これは任務です。繰り返します。担当職員は対処をお願いします』

 その声には感情はなく、機械の音声だった。


 先生は"侵入者"という単語を聞いた途端、呆れと面倒くささが混じったような声を出した。

 「侵入者ぁ?」


 電話はすぐに切れた。先生はポケットにスマホをしまい、ため息をつく。


 「アホかよ。反魔師のやつら、学校敷地内に入ってきたやつの中で無事に敷地内から出れたやつは一人もいないっていうのに。何企んでんだ」

 「今までにも侵入してきた奴らいるんですか?」

 「いるにはいるが、最近はセキュリティが強くなってから全く来なくなったんだけどなぁ。面倒くせぇ」


 セキュリティが強くなってたのか。待てよ、そんな中で来たということはそいつら強いんじゃないか?


 先生のスマホはまた震えた。今度は電話ではなくメールのようだった。

 

 「上級反魔師1体と下級反魔師3体の捕獲、または抹消の任務だそうだ。場所はこの前の第一魔法訓練所の近くだ」


 上級反魔師がいるのか。厄介そうだ。


「お前ら行くぞ。初任務だ」

「え?俺らもいくの?」

 浅井が驚いたような声を出した。


 まぁ、俺も先生が一人で行くものだと思ってたけど。


「当たり前だ。これは実践練習だ。」

「そんなこと言って、ただ楽したいだけなんだろ?」

 円が呆れたといった表情をした。


「ごちゃごちゃ言うな。行くぞ」

 そう言って先生は教室を出ていった。


「はいはい」

 凌大たち5人は仕方なく、先生についていくことにした。





 -第一魔法訓練所付近-


「こんなガキ共の集まりみたいなところ襲撃して何がいいんだよ」

 赤色に染められた髪の毛をボリボリとかきながらぼやいた。


「会長から話は聞いただろ?ここには入学したてで、まだ魔法もろくに使えない雑魚魔術師がうじゃうじゃいる。そいつらが強くなる前に潰しておくと後々楽ってことだ」

 また別の人物が言った。その男は金髪で眼鏡をかけており、真面目そうだった。


「あんな子供を手に掛ようとするなんてな。会長は恐ろしいお方だ」

 もう一人の仲間がつぶやいた。この人たちはいつも3人で反魔師としての任務をこなしていた。




 魔術師を束ねる魔法研究庁があるのと同様に、反魔師を束ねる組織も存在する。

 

 その組織は反魔術師協会と呼ばれ、魔術師を潰すことを目的としている。一般人にも手を出し、悪事を働いているため、問題視されている。

 魔術師の中での任務はほとんどが反魔術師協会によって起こされた出来事の解決だ。



 この三人組も反魔術師協会に属している。


「お前ら今、会長の悪口言ったか?」


 そんな三人組に冷酷な視線を送ったのは反魔術師協会、幹部:三条百済(さんじょうくだら)だ。階級は上級、しかも上級の中でもトップクラスの実力を持つ。最上級魔術師でも勝てるかは怪しく、危険人物とされている。


 「い、いや、気のせいですよ」

 

 そんな人に睨まれて平気なわけがなかった。3人は冷や汗をかいた。



 「まぁいい。さっさと任務を終わらせるぞ」

「了解!」

 3人声を合わせて返事をした。


「お前らさぁ、アホか?何でこんな堂々と侵入してくるんだよ」

 急に前方から声が聞こえてきた。


 草木をかき分けながら出てきたのはボサッとした髪に印象的な緑色の眼をした男性がいた。


 こいつ教員か


 目にした瞬間に教員かどうかはすぐわかる。一般人ならこんな山の中でスーツなんて来ているわけがない。


「先生、挑発しないでくださいよ。俺たちが戦わないといけないんですから」


 そう言って教員の後ろから赤い眼をした生徒が出てきた。その生徒に続くように複数の生徒も出てきた。


 教師と生徒が束になって来たか。見たところ入学したての生徒だと思われる。


 こいつはいい。わざわざ生徒の方から殺られにくるとはな。


「先生、なるべく穏便に済ましませんか?」

 銀髪をした女子生徒が恐る恐る尋ねた。その目には恐怖が浮かんでいた。


 「お前は馬鹿だな。反魔師は殲滅だ」

 冷酷な緑色の瞳が睨みつけてくる。その目には明確な殺意が込められていた。

 







 

 





 


 

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