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7話 魔法授業 Ⅱ

 手の平に魔力を集中させ魔法陣を描く。3秒間魔力を貯め、初級魔法を発動させた。

 「できた!」

 

手の平の上に火が生成されていた。

 

 火/火の初級魔法は火の生成、およびその操作だ。魔法の基本中の基本である。


「生成ができたなら、次はその操作だな。あの的に向かって飛ばしてみろ」


 火を回転させて勢いをつける。そして的へ向けて一直線にとばした。


 先生みたいに真ん中には当てられなかったが、的のはしに当てることができた。


「始めてにしては上出来だな」

「やった!」

「浅井はできたか?」

凌大が聞く。


「あぁ!光をぶつけるなんてできないと思ったけどわりと簡単にできたよ」

 浅井の属性は光/雷だ。

 凌大は火を出せたが、浅井は光を出せるのだろう。


「雪乃はどうだ?」

凌大がきいた。

「・・・・・・」

反応はなかった。


少ししてから口を開いた。

「あの・・・的壊しちゃったんですけど・・・大丈夫でしょうか?」

「え?」


 雪乃の的を見てみると彼女が立っているところから生えた植物が的を貫通していた。

「これどうなってんの?」

浅井が不思議そうにいった。


「銀髪の属性は自然/土だったろ?自然/土は植物を生やしてそれを操るのが主な戦い方なんだよ」

「へぇー」

「あの、これ弁償しないといけないんでしょうか?」

「平気平気、学長はそんなことじゃ怒らないから」

雪乃はほっとしていた。


そして浅井が言った。

「先生!一回本気で的に攻撃してみてくださいよ!」

「あ?なんでそんなめんどくさいことしないといけないんだよ?」

不満そうに言った。


「いいじゃないですか先生。僕も先生の本気見てみたいですし」

凌大が言う。

「そうか。一回だけだからな」

そう言いながら魔法陣を描いた。


「危ないから5mぐらい離れといてくれ」

「え?そんなに」


 そこまで離れる必要は無いと思ったが、一応駆け足で3人は先生の後方へ走っていく。


「じゃあ撃つぞ」


魔法陣が1一重、二重、三重と増えた。

そして回転を始め、より大きくなり、輝いた。


「中級魔法 氷柱

 中級魔法 水圧操作

 上級魔法 水雷

 三重展開!」


そう言った次の瞬間魔法は発動した。


 まず氷柱が勢いよく的へ向かって突き進み、的に当たる前に水へと変化した。


 そして、2段階目の水圧操作が発動し、密度が上がる。


「出力最大 "水雷"!」


 水魔法の最高峰である水雷が最高出力で的に当たる瞬間に発動した。


 その瞬間、辺り一面が閃光に包まれる


「うおぉぉぉ」

浅井が叫んだ。


 ものすごい爆風が押し寄せてくる。立っているのも辛いほどだった。


しばらくして煙が無くなった



「・・・まじかよ」


  -記録-

 2023年4.12

  

 最上級魔法師 和澄悔が授業中に最高出力の三重展開を発動させる。

 被害は周囲1kmへの爆風、魔法の発動方向への直線5km上にある建物、森等全てに及び、森を半壊させた。


 

    * * * * * *


「君はなにをしているんだね」

学長 北里賢三(きたさとけんぞう)が言った。


「何って、生徒の要望に応えただけですが?」

和澄悔は答えた。


 山を半壊させた後、すぐに周りにいた他の教師に捕まえられ、学長室につれてこられていた。


「手加減ってものがあるだろ」

「知りませんよ。」


「本気をだしてって言われたら全力で応じる。それだけですよ」


 学長は呆れた顔をした。


「全く、常識がないやつだな。今回の損害は魔法研究庁が弁償してくれことになった。だが、次はない」

「弁償しろって言われたら数億円程度なら払えますから。何も問題はないですよ」


 まじか、っていう顔をした後、再び学長は喋り始めた。

「お前程の実力があれば天災級なんてすぐなれるだろうに」

「いや、今は無理ですよ。あんなイカれた基準を突破出来るやつが異常なんですよ」

「今は、か」

「・・・・・・」

少しの間沈黙が続けた。


「お前、特殊技能はあるとは伝えても今まで一切その詳細を明かしたことがないそうじゃないか。」

「・・・・・・」

和澄は沈黙を続ける


「それに今回の件だって最大出力の"水雷"をしたんだって?あれは普通単体でも全ての魔力を消費してしまい、魔力枯渇が起こる。命に危険がせまるため、本来自爆として使う技だぞ?」

「俺は魔力量が多いいんで」

「それだけじゃない、中級魔法を2つも挟んだ三重展開で発動させたんだろ?」

「ええ」


「人間が持てる魔力量じゃない。どうしてそんな魔法を使ったあとも魔力枯渇を起こしていないんだ?」


和澄は再び沈黙を続ける。

「何か隠した技を持っているんだろ?例えば・・・そうだな、その緑色の―――」

「詮索はやめろ。何も答えるつもりはない」

 和澄は学長の話をさくようにして喋った。そして、そのまま学長室をでていった。


「ビンゴかな?今の反応は」

学長はほくそ笑んだ。



 この世界には魔眼と呼ばれるものが存在する。それぞれ赤、青、黄色をしており、世界でたった一人しか持つことはできない。持ち主が死んだ場合はその時ど同時に産まれた子に魔眼は宿る。

 赤色は魔赤眼(ませきがん)、青色は魔青眼(ましょうがん)、黄色は魔黄眼(まこうがん)と呼ばれる。


 凌大の眼にもこれと同じものが宿る。赤色の魔赤眼だ。魔赤眼の効果は"魔法構築時間減少"。つまり魔法陣による魔力をためる時間を自由に縮めることができるのだ。よって、魔法陣なしでの魔法の発動が可能となる。


 魔青眼の効果は"魔法及び特殊技能の性能上昇"だ。そして、魔黄眼の効果は"魔力即回復"。つまり魔力切れが無くなるのだ。


 学長は和澄の眼は魔眼の類いだと考えていた。魔黄眼の"魔力即回復"があればいくら魔法を使っても魔力枯渇を起こすことが無くなるからだ。


 しかし、一つだけあてはまらない点がある。

それは和澄の眼が黄色ではないことだった。

 

 和澄の眼は変わった色をしているが、魔眼のどの色にもあてはまらない。謎は深まるばかりだった。








 






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[良い点] 7話 魔法授業 Ⅱまで全部読みました。誤字脱字もなく日本語はきちんとしており、なろうのルールに則って表現も工夫されてます。いくつかが改変で編集されているので頑張りが見えます。魔法については…
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