5話 鹿児島県立魔法高等学校
ー山を登る前ー
「浅井遅くないか?」
先生との約束通り公園で二人を待っていた。
「まぁ、待ってればいつかはくるだろ。最悪遅刻したらラッキーってことで」
「いやいや初日から遅刻はまずいですよ」
和澄先生は先に公園についていた。そして、先生は初めて会ったときと同じベンチに座り、スマホをいじっていた。僕は立ちながら話を続ける
「それ何してるんですか?」
「あぁ、ポ◯モンGOだ」
「あーそれ面白いですよね」
そんなことを話しているとスマホが震えた。
「ん?メール?浅井からか」
スマホから目を離し、先生もこちらを見る。
メッセージアプリを起動し、浅井のプロフィールをタップ。そして、トークをおす。
『知り合いの魔術師が学校まで送ってくれることになったから先に行っといて』
「は?」
「なんて送られてきたんだ?」
スマホの画面を先生に見せる。
「随分とマイペースなやつなんだな」
「先生も人のことは言えませんけどね」
そう言いながらメッセージアプリを閉じ、スマホをポケットにしまった。
「それじゃあ、浅井を待つ必要は無くなったんで、そろそろ出発しましょうか」
背のびをして、リラックスした。
さぁそろそろ出発するか!
そう思い、歩きはじめようとした。すると肩を後からつかまれた。
「待て、今ちょうどいいところなんだ、このポ◯モンを捕まえるまで待ってくれ」
「・・・さっき先生が言っていた言葉、そのままあなたに返しますよ」
ー現在ー
「お?凌大じゃん。何してんの?」
「何してるって、学校に向かってる途中に決まってるだろ」
「いや、そうじゃなくて、さっきの爆音とこのえぐれた地面は何かって聞いてるんだよ」
あ、そっちのことね。
そう思いつつ返事を返す
「先生が倒木を魔法で壊してくれたんだよ」
ちらりと先生を見た。
先生はドヤ顔をしていた。
「先生ー、ドヤ顔やめてください、気持ち悪いですよ」
「気持ち悪いって言うな!お前入学と同時に退学させてやろうか?」
半ば脅しのような形で浅井を黙らせ、再びドヤ顔をした。
「俺もその顔やめたほうがいいと思うよ?」
浅井の後方から声が聞こえてきた。そして言葉を続けた。
「ちぇー、面白くないねーせっかく道を通れなくして俺以外の新入生全員遅刻させてやろうと思ったのに…」
「お前は問答無用で退学だな。退学届を持ってきてやるから、そこで待っとけ!」
あの倒木はどうやらあの若干サイコパスを感じる新入生の仕業のようだった。
「待ってくださいよ!冗談ですって、木を倒したのも悪気はなかったんです!退学届だけは辞めてくださぃー」
そう叫びながら、先生の後を追いかけていった。
取り残された浅井と凌大は一瞬、ぽかんとした後。すぐに学校に向かって歩み始めた。
「このまま真っすぐ行けば学校にたどり着くのか?」
「ああ。あと5分もかからないぞ」
だいぶ近くまで来たようなので、迷うこともないだろう。
安心して真っすぐに進んでいく。
「てかさ、さっきの生徒誰か知ってるか?」
「いや、知らねぇな、新入生ってことはさっきあいつが言ってたから分かるけどな」
俺たちと同じ新入生・・・・・・あんなやつがいる学校なんて大丈夫なんだろうか、同じクラスにならない限りはそうそう問題ないだろうが、同じ学年にあいつがいると思うだけで不安になってくる。なにせ面白さのためだけに大木を倒し、全新入生を遅刻させようとしたやつだ。問題を起こさないわけがない。今はとにかく違うクラスになることを祈るか
「ほら、ついたぞ」
色々と考えていたらいつの間にか学校についていた。目の前にあるのは校門。堂々と「鹿児島県立魔法高等学校」とでかい字で書かれた表札があった。
門を通り、靴箱に行く。
靴箱を見た感じ、3学年3クラスのようだった。
「クラスってどこに書かれているんだろうな」
浅井が聞いてくる。
「知らねぇよ。」
校門から靴箱まで通ってきたがそれらしきものは今まで全く見当たらなかった
「1年生の教室のドアにあってありますよ」
後ろから声が聞こた。
振り返ると銀髪のショートヘアー、同級生だと思われる女性がいた
「もしかして同じ新入生の方ですか?」
「はい!今年度入学することになる如月 雪乃と申します!今後よろしくお願いします!」
にっこりと微笑んでお辞儀をした。
「こちらこそよろしくお願いします」
合わせてお辞儀をした。
これまでろくな生徒、先生に出会ってこなかったので、ここの学校は変人の集まりなのかと思ったが、ちゃんと礼儀正しい人もいるようだ。
「ここの学校には知り合いが何人かいますけど、変人ばっかりがいるってわけじゃないですよ。」
ふーん、と思い聞き流す。
・・・え?今、心を読んだ?
変人ばっかりしかいないというのは思っただけで、口には出してないはずだ。無意識に言ってたのか?
「口に出てましたか?」
疑問に思い質問する。
「あ、申し訳ございません。実は「読心術」という特殊技能を持ってまして・・・人の思ったことを読む事ができるんです」
え?人の心を読める?そもそも特殊技能ってなんだ?様々な疑問が頭を駆け巡る。
「ガチのエスパーじゃん」
浅井がつぶやいた。
「エスパーとも言えるのかもしれませんね。これは生まれつきのものですし・・・」
「とりあえずその話はおいといてクラスを確認しにいきましょうよ」
「そうですね」
考えても仕方がないのでクラスを確認しに行くことにした。
1Aの教室の前に立ち、自分の名前を探す。
「石津…石津………あった!」
どうやら1年A組のようだ。
新入生は計15名、1クラス5名ということになる。
「浅井ーお前何組だった?」
「Aだったぞ。お前は?」
「同じだ。一緒のクラスみたいだな」
浅井もA組らしい。喋れる人がいるとわかり、一息つく。
「私もA組みたいです!」
「おー!じゃぁこの3人は同じクラスか!これからよろしく!」
「よろしく!」
「よろしくお願いします!」
二人が声を合わせて返事をした。
ドアをあけて教室に入った。黒板には座席表があり、前3人、後ろ2人の配置となっていた。座席は下のようになる。
黒板
浅井俊 石津凌大 如月雪乃
滝川円 福井徹也
既に滝川円という生徒は席についており、寝ているようだった。とりあえず座席表通りに席に座る。
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