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4話 山道 Ⅱ

 


 目の前には山道を塞ぐ巨大な壁ーーもとい、木があった。他には道はもうなく、ゴールのない迷路のような状態になっていた。


 「これ、詰んだんじゃね?」


 おそらく少し前まではこんな木は倒れていなかったのだろう。そうでなければこの状態のままになっていることはありえない。どちらにせよ学校に行けなくなったことに変わりはなかった。


「よし、次は魔法について説明しようか」


 先生はそんなことは全く気にしていないかのように話を続けた。


「魔法には初級、中級、上級の魔法に分かれている。初級は魔術師なら使えて当たり前。使えなかったら一般人と同じようなものだからな」


 そう言いながら手を前に突き出した。


「中級は初級魔法の応用だ。初級魔術師には使えないやつもいるかも知れないが、中級になってくると全員が使える」


 先生の手の平から謎の陣が出現する。


「魔法を使うには基本、魔法陣が必要になってくる。手の平から魔力を流して陣を描くっていうイメージかな。魔法陣を使わなくても魔法を発動できるやつもいるが、それはかなりの熟練魔術師か天才だな。」


「じゃあ詠唱は必要ないんですか?ほら、漫画とかでよく見るじゃないですか」


 魔法は今まで詠唱をして発動させるというイメージがあったのでちょっと意外だった。


「あぁ、使うやつもいる。詠唱と魔法陣を両方行うことで発動までの時間が半減されるからな。」


 あ、やっぱり詠唱はあるんですか


「でも、使わない人もいるんですよね?時間を半減できるなら全員使うんじゃないんですか?」


「いや、メリットは確かにあるが、デメリットのほうが大きくてな」


「・・・デメリットなんてあるんですか?」

 

 魔術師にとって、魔法陣を作り、発動させるまでの時間はかなりの隙が生まれる。その隙が勝ち負けを左右することもあるはずだ


「デメリットは詠唱により、使う魔法がバレることだ。バレてしまうと対策されてしまうからな。防がれたあとに再び魔法を展開するのには時間がかかる。だから詠唱によって時間半減させるより、何を発動させるか分からない無詠唱のほうがリスクが少ないってわけだ。」


「・・・ふーん」


 先生の魔法陣が一際輝き、2層に増えた。


「初級魔法は約3秒、中級魔法は約7秒、上級魔法は約15秒間、魔法陣による魔力の装填が必要となる」


 10歩ほど後ろに離れてこう言った


「急いで壁から遠くの場所へ走れ」


「!!!」

魔法を撃ち込むと理解し、走る。壁からだいぶ離れたところで止まり、後ろを振り向いて先生の方を向く。


 次の瞬間先生の魔方陣が大きくなり、回転した。

そしてボソッとつぶやいた。


「中級魔法 氷柱(こおりばしら)


巨大な氷の柱が木を貫いた


そして再びつぶやく。


「上級魔法 水雷(すいらい)


そうつぶやいた瞬間、氷は水へと変化した。


 え、それだけ?

そう思ったのもつかの間だった。


 爆発音が周囲に鳴り響いた。地面も地震かのように揺れている。

 

「うわぁぁぁ」

もともと足元が安定していない山道だ。揺れてしまっては、なす(すべ)もなく転んでしまった。


「いたたたた・・・」


 ぶつけた場所をおさえながら、先生の方を見た。


 煙が多く、最初は何も見えなかったが、時間が経つと煙がだんだんとなくなり、徐々に前方が見えてきた。そして先生の声が聞こえてきた。


「今のは二重魔法陣。その名の通り2つの魔法を連続して発動させることができる。これを使う時は詠唱して時短させるのもありだ。1つ目は対策できても、2つ目までは対策できないだろうからな」


煙が完全に無くなった。


 前方には木のかけらもなく、周囲をまるごと消し去ったかのように跡形もなくなっていた。


「これ、道も無くなってるんじゃないですか?」

 さっきまであった山道も今ではどこにあるかもわからなかった。


「んー、まぁここで待っておけば爆音に気づいた誰かが様子でも見に来るだろ」


「雑ですね!初日から遅刻したらどうするんですか!」

「その時はサボれてラッキーだったってことで」

「全然ラッキーじゃないじゃないですか!それ、ラッキーだと思えるのは先生ぐらいですよ!」


 そんなことを言い合っていると、上の方から声が聞こえてきた。


「お?凌大じゃん。こんなところで何してんの?」


浅井の声だった






 








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