表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/22

18話 久遠の君へ

 

 各々の休日を過ごした後、今日はついに初級昇格試験当日となった。

 試験会場では緊張、不安、やる気など、様々な感情を感じている人々で溢れかえっていた。

 凌大たちは推薦によって本選からの出場となる。本戦に出場できるのは予選の上位20名と推薦枠10名の計30名だ。この中からさらに絞られ、上位10名に初級への昇格が認められる。


 初級昇格試験の幕が開けられた。



 「ん、あ?あぁ、朝か」

 和澄は暖かな日差しを感じて目が覚めた。目の前に広がる光景はいつもと同じ我が家の風景だ。いわゆる和風の家というやつだ。

 障子、襖、畳などなど、最近見ることは少なくなってきたものがたくさんある。


 布団から抜け出し、玄関へと向かう。歩くたびにギシギシと畳が音を鳴らす。その足並みに迷いはなかった。

 ズカズカと玄関まで歩いていき、ガチャリとドアを開け、外へと出ていった。






 チャポン、

 

 蛇口をひねり、バケツへと水を注いでいく。水に勢いはなく、チョロチョロとでるだけだ。それも仕方がないことだろう。なにせここは山奥なのだから。

 和澄が向かったのは山奥にあるお墓だ。いつもこの時期には墓参りに行くことにしている。勿論、この時期にすることには特別な意味があってのことだ。

 水がいっぱいに入ったバケツとひしゃくを手に持ち、とあるお墓の前に立つ。

 和澄は墓石に水をかけた。


 「お前知ってるか?今日は初級昇格試験!魔術師の夢のイベントだ」


 水を注ぎながら、和澄は少しだけ悲しそうな表情をした。


 「今回は俺の生徒たちも出場するんだぜ!今年の1年生はみんな優秀だよ」


 墓石の上にかけられた水は下へ下へと流れていく。最後にはポタポタと地面へと落ちていった。まるで涙のように。

 和澄は墓石に手をのせた。


 「なぁ、浩太(こうた)。俺の生徒たちの活躍、ちゃんと見とけよ」


 和澄はしみじみとつぶやいた。




 「イヤッフー!」

 片手を上に上げて、ジャンプしながら叫んでいるこのお調子者は俺の友達、浅井俊(あさいしゅん)だ。

 俺たちは今、初級昇格試験の会場の入口にいる。見渡す限り人、人、人。初級昇格試験を観戦しにきた客と出場者で埋め尽くされていた。


 「なぁ、凌大!ついに俺が初級魔術師になる日がきたぜ」

 「まだ始まってすら無いのにか?」

 「俺等ならよゆーよゆー」

 そう言いながらニカッと笑った。

 まったく、こいつは朝からテンション高いな。ついていけねーよ。


 そんなことを考えていると、不意に後ろから肩を叩かれた。誰だ?と思い、振り返るとそこにいたのは和澄先生だった。相変わらずボサッとした髪の毛だ。


 「よお、みんな、昨日はよく寝れたか?」

 「昨日は緊張してよく寝れませんでしたよ」

 凌大が返答した。その後、和澄の顔をじっと見つめた。

 「先生こそよく寝れたんですか?くまがありますけど・・・」

 先生の目の下にはくまがあり、目もウトウトしている。どう見ても寝不足のようにしか思えなかい。いつもだらしないけど、こんなことは今までなかったのだ。

 先生は笑って答えた。

 「あぁ、2時間も寝たから大丈夫さ」

「いや、寝てなさすぎですよ!もう少し寝ないと!」

 ピースをしてニカッと笑い、問題なさそうに言ったが、どう考えても2時間は少ないだろう。凌大は和澄を心配そう見つめる。

 「大丈夫だ。心配そうな顔をするんじゃない」

 「そうだよ、凌大。先生の体調よりも試験を気にしろよ」

 浅井がフォローしたが、それは逆効果だったようだ。和澄がものすごい剣幕で浅井を睨みつけた。

 

 評価と感想お待ちしております。面白かったらいいねとブックマークもよろしく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ