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17話 初級昇格試験 前夜祭 【後編】


 反魔師たちは皆、気がつくと見慣れない不気味な公園にいた。

 そこはいつまで歩いても端にはつくことがない。

 反魔師たちはこの場所が異常だと理解するまでにそう長くはかからなかった。


 彼らは公園の一箇所から道がのびていることに気がついた。

 パッと見た感じ、その道は永遠と続いているかのように思えた。だが、それ以外に行く道はない。

 反魔師たちはみな、その道を歩み始めた。


 道の両端には公園でよく見る時計が並べられており、より一層不気味に感じる。




 歩いても歩いても続いていく道。どこかに辿り着く気配は全くと言っていいほど無い。


 歩き始めてから何時間経っただろうか。

 1時間?2時間?5時間?10時間?1日?


 そんなことを考える気力も無くなるほどあるき続けている。

 途中で倒れるものもいた。

 それでも尚、この道は続く。



 「・・・鳥居?」 

 歩き続けてしばらくが経ち、3名を除いて全員が倒れてしまった。


 このまま俺等も倒れるのか。


 そう思っていた。

 だが、不意に目の前に建物が現れた。真っ赤な鳥居だ。


 その鳥居を見た瞬間、身体に鳥肌がたっていくのを感じる。まるで身体がそれを通るともう二度と戻ってこれないと訴えかけるように。



 逃げよう。

 その意思とは裏腹に、身体は勝手に鳥居へと進んでゆく。三人は逆らうことができず、そのまま鳥居をくぐった。



 「珍しいねぇ、ここに到達するやつがいるとはな」

 前方から声がして、顔を上げると5人の男性がいた。

 高校の制服を着ているので高校生だろうか、そのうち一人は教師のように見える。


 「誰だよ、お前ら」

「んー、死人に名前を聞くなんて野暮だね」

「死人?」

「お、君知らないのか。ここはあの世さ。死んだやつの魂がここに集まるの」

 「あの世!?」


 俺達は死んだのか、まぁ仕方がないな、あの攻撃を受けて生き延びれるわけがない。


 ここは神社のようなところだ。周りは木々に囲まれており、鳥の鳴き声も聞こえる。

 現実世界だと言われても信じてしまうほどだ。


 「この世の人間はね、死んだあとは永遠にこの世界で生きるんだよ。今の僕たちの姿は生前、一番幸せだった頃の姿になっている」


 そう言われ、三人は自分の手を見た。その手は明らかに若い時のものだった。

 しわも怪我も無い、綺麗で何も汚れていない純粋な手だ。


 「馬鹿だなぁ・・・俺、何でこんなことをしてたんだよ」


 いつからだろうか、俺達が手を血で汚し始めたのは。


 魔術師達が俺達に先に何かしてきたか?いつも仕掛けていたのは俺達反魔師じゃないか。

 何も悪くない、逆に優しさの塊とも言える人達。彼らの命を理不尽に意味もなく奪ってしまっていたことに今更気づいた。


 俺はそれを楽しんでいたのか・・・


 我ながら、取り返しのつかないことをしてしまったなぁ。

 これからは初心に戻って、ここで誰も殺めることなく、暮らすとしよう。

 ・・・それが俺達のせめてもの謝罪だ。


 反魔師たちは皆、そう思い、反魔師の世界から完全に縁を切ることを決意した。

 今、彼らの心の中には、今まで、いや、反魔師になってから一度も感じたことのなかった罪悪感で満たれていた。






 「悔のやつ、相当強くなってんな」

 謎の五人の男性は雑談をしている。その話題となっているのは今、最上級魔術師として活躍している和澄悔についてだった。

 彼らは昔を思い出すように空を見上げている。空と言っても、真っ暗で星も何も見えないが、現世で暮らしていたときのクセだろう。


 「昔は特殊技能と体術に頼ってばっかで、魔法を全然使わなかったのにな」

 「そりゃぁ、あんなことがあったら嫌でも鍛えるだろ」

 「面倒くさがりなところは変わってないけどな」

 5人は笑った。満面の笑みを浮かべて。


 「俺のことまだ忘れてねぇよな、あいつ」

 一人が心配そうにつぶやいた。

 彼の眼はキラリと輝いた。その眼は凌大と同じで、真っ赤な色をしている。

 顔つきは和澄にものすごく似ていた。


 「ハハッ!」

 「何だよ、笑うなよ」

 「いや、だって笑うだろ」

 笑いをこらえながら4人は話を続ける。


 「兄であるお前を悔のやつが忘れるわけ無いだろ」

「・・・そうかな」

 彼は下を向いた。その口元には微かに笑みがあった。








 「ハクシュ!!」

 和澄は冷たい風が鼻にあたり、くしゃみをした。


 「ちょっとやりすぎたかなぁ」

 和澄は周囲を見回す。何も無い。あるのは大きなくぼみと何かの残骸だけだ。

 というか、山一つを丸々跡形もなく吹き飛ばしてしまったので残っているわけがない。我ながら凄い威力だな。


 「一応、威力は最小限に抑えたんだがな」

 頭をボリボリとかき、荒れた地面を歩き始めた。


 何はともあれ、反魔師共は全滅させたし、任務完了だな!うん!


 さっさと帰るとしよう。今日は帰ったらすぐ寝るか。大技出して疲れたし。



 あ、明日は初級昇格試験だ。明日に備えて色々準備しておかないと。

 どうせ俺は会場の警備に回されるだろうからな。


 和澄はさっさと学校へと向かい始めた。


 


 最後まで読んでくださり、ありがとうございます!次回からは初級昇格試験編を始めていきますのでお楽しみに!

 面白かったらいいね等をしてくださると励みになります!

 それではまた次回でお会いしましょう。

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