14話 任務を終えて
「祝!初任務達成!」
凌大たちはグラスをかかげ、コツンとぶつけて乾杯をした。
凌大たちは今、教室で任務達成の祝いをしている。グラスに入っているのはもちろんジュースだ。
先生は暇そうに椅子に座りながらスマホをいじっていた。
「先生はジュースいらないんですか?」
凌大がグラスをかかげながら話しかけた。
「いらん」
ぶっきらぼうな返事をした。
その様子を見ていた円が口を開いた。
「あいつ、逃げられたから飲みたくないんじゃねえの?」
「でも、追い返しただけでも成功じゃないか」
凌大のその言葉を聞いた瞬間、先生はこちらを軽く睨んできた。
「任務は捕獲か抹消だ。逃がした時点で俺は任務失敗なんだよ」
和澄は機嫌が悪いようだ。スマホをいじる手に力が入っている。
先生の機嫌を直そうと凌大は何か声をかけようとした。だが、口を開くと同時に先生のスマホから通知音が鳴った。
「あ?誰だよ、こんなときに」
和澄はそう言いながらメッセージアプリを開いた。どうやら学長からメッセージが送られてきたようだ。
まったく、こんなときに送ってくるなんてよっぽど重要なことなんだろうな?
そんなことを考えながら学長からのメッセージを開いた。
「お」
和澄は声を上げた。苛立っていた表情は消え、その顔からは和澄にとって嬉しい内容だったことが読み取れる。
凌大はジュースを飲み干し、グラスを机に置いてから聞いた。
「どんな内容なんですか?」
「これを見ろ」
和澄はこちらにスマホの画面を向けてくる。そこにはこんな内容が載っていた。
『初級昇格試験について』
今年度の初級魔術師への昇格試験は前年度と同様に予選、本選の二段階で行われます。本選に出場できるのは予選の上位20名となる予定です。推薦枠の方は本選からの出場となり、10名が推薦の方となります。本校から推薦に選ばれたのは以下の5名です。
石津凌大 浅井俊 如月雪乃 福井徹也 滝川円
以上の生徒は任務で成果を残したので、推薦枠に選ばれました。
会場等はまた連絡します。
凌大たちは一通り読み終えると嬉しそうな表情をした。浅井が真っ先に喋り始めた。
「推薦だってさ!予選に出ないでいいってことは楽ができるじゃん!任務で結果を残せて良かった!」
「予選に出なくていいのはラッキーだけどさ、本選からだと強いやつがたくさんいるんじゃないのか?」
予選からなのは普通に嬉しいが、本選からだと慣れてないまま強者と戦わないといけなくなるような気がする。
「中級魔法使えるやつが何いってんだよ。初級昇格試験で中級魔法使えるやつが出場したこと今までで一度もないぞ?」
「え、その程度のレベルなんですか?」
「あのなぁ、絶対お前がおかしいって」
円が呆れたように言った。
「まぁ、その話は終わりにして、今日はさっさと寮に戻って休め」
「ちょっと待ってください!」
和澄が話している最中に雪乃が口を挟んだ。
「・・・なんだ?」
「一つ聞きたいことがあるんですけど」
雪乃がキラキラした顔で和澄を見つめた。
あ、雪乃の質問攻めが始まりそうだ。
雪乃は魔法に対して異常な興味を持っている。凌大はその表情と声の雰囲気から質問攻めが始まると感じた。
そしてその予想は見事に命中した。
「和澄先生の階級って何ですか?」
「階級?言ったことなかったか?」
「はい!なので教えてください!」
相変わらず雪乃はキラキラした目線を和澄に向けている。
和澄はやれやれとした表情を浮かべたあと、話し始めた。
「階級なんてどうでもいいと思うけどな。一応言っとくと"最上級"だ」
「え」
5人声を揃えてこの言葉を発した。5人が思ったことはただ一つ。
先生が最上級なんて世も末だな。
当然そんなことは口にできず、黙り込んでいると先生が口を開く。
「どうした?もう少し褒めてくれてもいいんだぞ」
まるで褒めてくれと言わんばかりに。
「え、えーと。さ、さすが先生ですね。格が違いますよぉ〜」
福井が自分の株をあげようと先生を褒め称えた。だが、先生は予想とは真逆の反応をする。
「お前に褒められても何も嬉しくない。次!」
さすがに福井が可愛そうだろ。
先生は褒められるのを待っているようだが、無視して荷物をまとめ、さっさと教室を出た。もちろん4人共だ。
何やら教室の方から呼び止めるような声が聞こえてきたが、もう授業終わりの時刻だから帰っても何も問題はない。
凌大たちはそのまま寮へと向かった。
「・・・おい」
「あ、はい!何ですか?」
教室に残された和澄と福井は気まずい雰囲気になっていた。
「お前も帰るならさっさと帰れ」
「了解す!じゃ、さよなら〜」
いそいそと福井は教室を出ていった。
「どうしてこうなった・・・」
和澄は頭を抱えた。
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