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12話 初任務 Ⅳ


 凌大たちに振り下ろされた氷の刃は急に出現した氷の刃が受け止めた。


 後ろから声が聞こえ、振り返るとそこには和澄がいた。


「・・・・・・誰?お前。邪魔すんなよ」

「俺の生徒が殺られそうになって邪魔しない先生がいるかよ」

「あっそ、どうでもいい。お前も死ね」

 三条は熱波を放った。そして氷の壁を溶かし、そのまま熱波は和澄に突っ込んでいった。


 和澄は大量の水を生成し、熱波を打ち消した。ジューという音を立てて熱波は消滅する。


「おい、お前ら、さっさと捕まえた奴らを連れて学校に逃げろ」

「でも先生は?」

「あいつの相手をするに決まってんだろ」

「先生勝てんの?」

浅井が疑うように聞いた。


「当たり前だ。さっさと行け」

「・・・はい」

 先生が本当にやってくれるのかは不安だったが、ここは信じるしかないだろう。

 凌大たちは縛った三人組の反魔師を引きずりながら学校へと向かって行った。


 

 和澄は5人が逃げたことを確認し、再び三条の方を向く。


「若い芽摘んで何が楽しいんだよ」

「備えあれば憂いなしだ。摘んでおいて損はない」

「ハッ!」

 和澄は馬鹿にするような笑みを浮かべた。


「ビビってんの?」

「・・・・・・あ?」

 さっきまで冷静だった表情は一変して怒りへと変わった。刀を握りしめ、素早く和澄に斬りかかる。


 和澄は氷で刀を作り、受け止めた。そのまま弾き返し、距離をとる。


「最上級魔具か。この世に10個しか存在しないのによく手に入れられたな」

「会長に頼めばこんなの楽勝だ」

「会長か……」

 和澄は氷の剣を投げ捨て、空を見上げた。


「なつかしいな。 ・・・会長に伝えといてくれるか?」

「あ?」

「お前の時代は終わりだ」

 再び三条と向かい合い、ニヤリと微笑んだ。そして中級魔法"氷柱"を発動させる。


「そう伝えとけ」


 和澄は氷の柱を三条に向けて放つ。三条は軽々と避けた。そしてそのまま刀に魔法陣を描いた。

 三条はこれまでほとんど魔法陣無しでしか魔法を発動させていない。

 魔法陣無しのメリットは言うまでもなく溜めをなくすことによる不意打ちだ。デメリットは威力が落ちること。

 三条はデメリットを魔力量によってカバーしている。なのに魔法陣を描き発動させるということは魔法陣が無いと発動できないほどの大技が来る可能性が高い。


 膨大な魔力放出を感じ、和澄は身構えた。


 三条は和澄に向かって刀を振り下ろすと同時に剣先から魔法を発動する。

「上級魔法 雪崩」

 

 剣先から膨大な雪が流れ出ていく。雪には魔力が込められており、触れるだけでもそこそこダメージを喰らう。

 雪崩は和澄を包みこんだ。そのまま勢いを緩めることなく森を飲み込む。

 周囲の木々はあっという間に消え去り、一面開けた土地へと変わった。


 三条は少ししてから雪崩を消した。

 流石にあれに飲み込まれて生きているわけがない。そう高をくくり、凌大たちを追いかけようと学校の方向に歩き始めた。

 数歩歩くと急に後ろから声が聞こえてきた。


「属性合ってないのにすごいな」

 その声の主はやはり和澄だった。


「どうやって防いだ?」

「氷と水を組み合わせて簡易的なバリアみたいなものを作ったんだよ」

 仕組みとしてはまず内側にかなりの魔力を込めた氷でバリアを作る。その外側を水で囲うことで衝撃を緩和し、雪崩もある程度を溶かすような感じだ。


 三条はそんなことは聞かず、もう一度別の魔法陣を描いた。

 先程と同様に膨大な魔力放出を感じる。


「上級魔法 熱弾」

 三条からまた上級魔法が放たれた。先程とは違い、本人の魔力属性のものだ。

 熱弾は和澄を目掛けて飛んでいき、危険を察知した和澄はバリアを展開する。


 バリアと熱弾がぶつかると同時に閃光が放たれた。


 熱と水がぶつかったことにより、激しい爆音と衝撃が周囲に広がっていく。


 熱弾は命中したところから半径50m以内に即死の温度を浴びせ続ける。それは発動させた本人が解除するまで消滅することはない。

 和澄は今、即死の温度を浴びせ続けられている。


 ・・・・まずいな

 

 魔法に対抗するには魔法しかない。だが、属性の相性が悪すぎる。水も氷も熱によって消滅してしまうからだ。今はバリアがまだ溶けきってないから死には至っていないが、それも時間の問題だ。


 和澄の属性は氷、水/水の特殊な魔力をもつ。だが、今この状況ではどちらの属性も役に立たない。

「参ったなぁ」

 和澄は頭をボリボリとかき、ため息を付いた。そしてその瞬間バリアに穴が空き、熱が入ってきた。


 バリアは全て溶けてしまい、和澄を守るものは何も無くなる。和澄は熱に包まれた。



「大して強くねぇじゃん」

 失望したと言わんばかりにため息を付いた。


 バリアが溶けてからしばらくした頃、三条は発動中の熱弾を消し、服を手でパンパンと払って汚れを落とした。


「呆れたね」

 もう一度大きなため息をつき、顔を学校へと向けた。


「あの赤い目のやつ、凌大とか言われてたかな?あいつを優先しようか」

 刀を鞘へと収め、軽く伸びをした。



「疲れてんだろ?もう帰れよ」

「いや、会長が直々にくださった任務だ。必ずやり遂げ―――」


!?


 三条は声がした方向から咄嗟に離れる。


「第2ラウンドといこうか」

 和澄は前髪を手で上げた。そして魔法陣を手のひらに浮かべる。

 和澄は微笑みをこぼした。






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