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10話 初任務 Ⅱ




 和澄先生と5人の生徒たちは魔力による感知によって割り出された位置に向かっていた。

 第一魔法訓練所のその先にある森の中から反応はあり、今は森の中を突き進んでいる真っ最中だ。予想よりも草木が生い茂っており、足場はあまり良くない。木の根でたまに転びそうになるぐらいだ。

 そんなところを歩きながら凌大は先生に話しかける。


「先生、反魔師に出会ったらどうしたらいいんですか?」

「あ?決まってんだろ、殲滅だ」


 その言葉は冗談ではなく、本気だと分かった。なぜならものすごい殺意が込められていたのだから。


 捕獲または抹消じゃなかったっけ?捕獲のほうがよくない?

 

 そう思ったが、先生の機嫌を損ねてしまう気がしたので黙っておく。


「そうじゃなくて、出会ったときに俺たちはどう動けばいいんですか?」

「お前らは下級3体を二人で対処してくれ。2対1ってことだ」

「でもそれだと一人余りません?」

「・・・・・・まぁ凌大、君が一人で戦え」

 肩に手をポンとおいてニコリと微笑んだ。


「いやいやいや、それは嫌ですよ。初戦闘で勝てるわけ無いですから」

「よし、決定!みんな、任せたぞ!」

「人の話を聞けよ」

 

 凌大の言うことは完全にスルーされ、凌大は一人で戦うことになる。つまり、対戦は下のようになる。



    凌大  対 下級反魔師

  円+雪乃  対 下級反魔師

 浅井+福井  対 下級反魔師


「上級はどうするかなぁ・・・」

「え?流石にそれは先生がやるんじゃないんですか?」

 雪乃が驚いたような声をだした。


 まさか・・・・・・先生・・・なにもしない気か!?


 そんなことを考えていると後ろを歩いてきてた福井が口を開いた。

「先生!それぐらいはしないとクビにされますよ」

 福井の口調から焦りがみえた。やはり彼も上級は怖いのだろう。


「そうだなぁ、お前ら全員が束になって行けば勝てるのでは?」

「先生!俺の話聞いてましたか?」

「大丈夫だ。死にそうになったら変わってやるから」

「それ、何も大丈夫じゃないじゃないか!」

 福井が大声で叫んだ。

 

「うるさいなぁ、そろそろ遭遇するんだから静かにしてろ」

「ヒィィィ!」

 福井が一気に後ろに下がっていった。


 先生は逃げ惑う福井の首を掴み、強引に前に進んでいった。福井は引きずられるようにして進んだ。


 この森は魔力をばら撒かれているからなのか、異様に不気味な雰囲気を放っている。まるでホラー映画に出てくる森のような雰囲気がする。

 そのせいなのか、異様に耳が敏感になっている気がした。小さい音でもよく聞こえる。


 少し歩くと何やら話している人たちがいた。先生は気づいた瞬間、そこに向かって一直線に進んでいった。


 


 ******



「反魔師殲滅ぅ?寝言は寝て言えよ」

「殺される覚悟はできてるんだろうなぁ?」

 

 三人組が戦闘態勢になった。


「凌大は一番右のやつ、円と雪乃は真ん中、浅井と福井は左のやつを任せた」

「先生は?」

「高みの見物ってやつさ」

「結局サボるんじゃないか」

 福井がぼやいた。



「お喋りとは余裕だな」

「――――っ!」

 凌大に向かって氷の槍が放たれた。凌大はとっさに体をひねり、ギリギリでかわした。


「あっぶねー」


 反応が遅れていれば死んでいた。相手は殺すことをためらわない。気を抜けばすぐそこに死はある。



 攻撃されると同時に先生の指示通りに分散し、凌大は一人で戦っていた。


「一対一はきついって」


 凌大は魔法陣を描き、火を生成した。そして、赤い髪をした反魔師に向かって放った。


「おいおい、遅すぎだろ」


 火は避けられ、後ろの木に命中した。


 後ろの木を見て、ため息を付く。

「これだから、ガキとやっても楽しくねぇ」


 

 かなりの数の氷の槍が凌大に向かって放たれ、全方位を囲まれた。


 魔法陣無しであれだけの槍を生成したのか。こいつ、下級の中でも強いほうだな。


 気づけば逃げ道はなくなっていた。


「詰みだ。じゃあな」


 凌大に向かって全方位から槍が押し寄せてくる。だが、凌大は平然とした顔をしていた。


「なぁ、教わらなかったのか?」

「あ?」

「自分の魔力があるところからならどこからでも魔法陣をかけるってさ」


 そう言った瞬間、背後の木が光った。

 後ろに顔を向けるとそこには魔法陣があった。



 ――――っ!


 なるほど。最初の一手はわざとか!


 あえて外すことで後ろの木に魔力を付与し、俺の隙をつく作戦!!


 まだガキのくせにやるじゃないか。


 ニヤリとした。


 それでこそやりがいがある。





「中級魔法 炎柱」

 魔法陣から魔法が撃ち出された。


 発動したのは中級魔法の"炎柱"。その名の通り炎の柱を生み出す。

 炎柱は高速で反魔師を目掛けて突き進み、そのまま包みこんだ。そして、凌大の周りにあった氷の槍を熱で溶かす。


「形勢逆転だね」

 凌大は目の前の炎の柱の前まで歩き、炎の柱にむかってつぶやいた。



 炎の柱の中では反魔師が熱と火によって焼かれていた。







 ――――やられた。まさか中級魔法とはな。


 中級魔法は中級魔術師でも使えないやつもいる。それなのにあのガキはまだ習いたてのくせにもう使いこなしてやがる。

 

 あいつの言うとおりだ。ガキの頃に潰しておかないと、あれは面倒なほどに強くなるだろう。



 炎の中で焼かれ、気を失った。







「そろそろいいかな」

 凌大は反魔師が気を失ったことを確認して、炎柱を消した。

 幸い反魔師はまだ亡くなってはいない。治療をすれば治るだろう。凌大は安堵した。


「お前怖ぇよ」

「え?」

 先生が声をかけてきた。岩に腰掛け、スマホをいじっている。


「なんで教えてもないのに中級魔法が使えるんだよ」

「え、先生の見たからなんとなく分かりますよ」

「それが怖ぇんだよ」


 普通、中級魔法は習得するのに1、2年は必要だ。なぜなら初級魔法とは大幅に難易度が違うからだ。

 

 初級魔法は魔法の属性にあったものの生成及びその操作だ。凌大の場合は火となる。つまり、火を生み出し、操作ができれば初級魔法を習得したと言える。

 だが中級魔法はそれを応用したものだ。

 中級魔法はほとんどが柱を作る魔法だ。火だと炎柱、風だと竜巻、氷だと氷柱を作る。

 まず、魔法陣に火を生成するよう式を書く。そして、魔力を導火線のようにし、渦状に描く。あとはそれらが瞬時に炎と化すように火生成の式を細かく、1mmのズレもないように正確に書いていかなければならない。

 それは決して簡単なことではなく、高度な魔力操作の技術が求められる。立体で発動させるものを平面で描くのはかなり難しい。



 だが、凌大はそれをアドリブでしてみせた。


 やっぱり才能がある。


「まぁ、いいや。そっちも終わったみたいだし、次はボス戦だ」


 浅井たちも二人の反魔師を倒せたようだった。

 三人の反魔師を縄で縛り、最後の上級反魔師と向かい合った。



「今年の新入生は危険だな。習いたてでここまで戦えるとは」


 上級反魔師:三条百済はそばにある倒れた木に座って戦いの様子を眺めていた。

 

 どの生徒もすでに基本は身についており、十分魔術師として活動できるほどの強さだ。

 特にあの赤い目のやつ。あれは後々面倒なことになるだろう。早めに潰しておこう。


 やれやれ、と立ち上がり、戦闘態勢にはいった。

「こいよ。ガキ共」


 その立ち姿は強さを物語っており、さっきまでの奴らとは比べ物にならないほどの威圧感がある。まるで蛇に睨まれた蛙のように体が動かなくなった。





 


 

 


 こんにちは。カレイです。

 ついに10話目達成です。まだまだ書き続けていく予定なので、今後もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回の戦闘シーンの描写はとてもよかったです。 [一言] 期待してます
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