プロローグ 結婚式にて
長期連休なので何か書きたくなり、ブックフェア2023宣伝隊長特別キャンペーン『相棒とつむぐ物語』コンテスト用に三話だけの短編を書いてみました。
新婚夫妻なので人生の相棒です。きっと固い絆の夫婦仲が書かれた作品だと思いまス!
「――健やかなるときも、病めるときも――」
ベールの向こう側におりますは、最愛の夫となるまで残り一分弱の平凡な男でございます。なんとも、実に不気味……もとい、不思議な気分だ。
直立不動の生前硬直。そんなにガチガチで大丈夫? 水道水もってこようか?
それにしても、式の最中に本当に今更だけど、マリッジブルー色のウェディングドレスが気に入らない。そんなに青くないはずなのに、妙に青い。ブルーライトをカットして欲しい。
服が気に入らないと、目の前の男まで気に入らなくなってくるから妙である。どうして、私、この男と結婚する気になったのだっけ。
「――喜びのときも、悲しみのときも――」
恋は盲目。
過去の偉人達の金言を馬耳に念仏よろしく素通りさせた結果、私は目前の男と番になろうとしている。人生を歩む相棒。ああ、あのシリーズついに終わってしまうのかしら。
恋の次の段階らしき愛になると、目ん玉を摘出しなければならないのだろうか。うーん、怖い。
「――富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い――」
これって言うな。こんなのでも私が伊達政宗しないといけない男なんだぞ。失礼しちゃう。
「――これを慰め、これを助け、その命ある限り――」
などと供述しておりますが、日本の三組に一組は離婚している訳でして。随分とお安い命ある限り。命の三割引き。きっと、離婚によって命を散らした先駆者達は異世界に転生しているのだろう。社会保険料が毎年増えているのだから間違いない。
結婚式の最中に、どうでもいい事ばかり考えてしまう私は、目の前の男を本当に愛せるのだろうか。分からない。分からない。怖い。怖い。不安。憂鬱。
まだ両親への手紙を読んで号泣させる前なので、今からでも結婚を止め――。
「――真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
一フレーム即答かよ。
うぉぉぉ、さすがは私の男。うちの旦那さんカッケええっ。好きぃぃ。愛している!