学び、歓迎、決意
あれから30分はたった、自己紹介をしたがそれ以降会話をしていない・・・気まずいな。風景は変わらないし、まともに話も切り出せない・・・。しかし、いろいろ気づいたことがある。
この世界は割と静かなようで、ここがサバンナだと私は語ったが何故だろう、転移したときに見たイノシシもどきの姿がない、なぜ。てっきり襲ってくるものだと思っていたが意外と温厚らしい。隣にいるエシレアさんに色々聞いてみるとしよう。
「あのぉ、エシレアさん・・・」
響がしゃべった瞬間、エシレアはすぐに反応した。
「魔法とか私みたいな転移者って使えたりするんですかね・・・」
正直気になっていた、エシレアさんは最初合った時後ろをついてきている白犬を魔獣と呼んだ。魔獣ってことは、魔法がらみなのだろう。魔法ない世界に魔獣はいないと思うし・・・
「あぁ魔法は誰でも使えるよ、魔力が一ミリでもあって空気中にエネルギーがあればだけど」
エシレアは魔法のことを話してくれるが、頭にはてなを浮かべて聞いてくる。
「私たちの世界は魔法とかは常識さ、でもどうして?響たち転生者の世界には魔法がないと聞くし、不便じゃない?」
そんなこと聞かれても・・・使ったこともないからわからない・・・、と思うとエシレアはにこにこしながら言う。
「まぁ、使ったことないんだしね!仕方ない!!色々教えてあげる」
今思うと、とても良い人に会えたなと響は感動する。
するとエシレアは真剣な目つきで、両手を広げた、すると両手から、マジックのように水が現れ水の塊を作る。水が宙を舞いエシレアの手の動きに沿って形を変える。エシレアは自慢げに語りだす。
「魔法は自身の魔力量により強さがかわるの、魔力が大きい人ほど上位種の魔法を使え、低い魔力だと下位の魔法しか使えない。それでも物は考え方よ、魔力がいくら低くても工夫によっては大きく進化したりもする」
ものすごく興味が湧いた私は質問をしまくる。
それに対しエシレアさんは嬉しそうに教えてくれた。エシレアさんの教えることに私も「うんうん」と返す。そんなやり取りをしていると大きな街が見えてきた。名前は「ジール王国」といい、国王が国民からものすごく名声を得ているらしい。
エシレアさんは別の大陸の騎士団だが、ジール王国を一度魔の手から救ったとかで顔がよく知られているらしい、何度も思う、とても良い人!!どうやらエシレアさんは私をここに滞在させてくれるらしい、なんとも国王は転移してきたものは歓迎してくれると聞く。
私はお気楽気分になりジール王国の門をくぐった・・・今になって思う、不思議な点は結構あったなと。
ジール王国は、よくある洋風な王国って感じで明るく、街並み全体商売などで盛り上がっていた。エシレアさんの後をついていくとすぐに城についた。真っ白い壁面が横にずぅーーと広がっている。
まぁデカい城ですこと・・・
エシレアさんは城の門番と顔を合わせると、すぐに道は開かれる。こ・・・これが顔パス・・・!城の中に入るとたくさんの扉がある、私はこの風景を知っている・・・幼い時していたゲームのマ〇オ64のピ〇チ城にそっくりだった。もしかしたら絵画の中に入れるかもしれない。
と、興奮しているとでかい扉が目の前に現れた。扉が開かれ広々とした部屋の中央に一人座っている、その真横には鉄の甲冑をきて大きな槍をもっている人がいた。
真ん中の人は「ガルト二ア・ジール国王」だとエシレアさんが教える、さすがに国王なのはわかる。
エシレアさんが来たとわかると、国王はガハハハッと笑い気楽に迎えた、別の国の騎士団一人にこんなにも別の国の王が仲いいと、気が緩む。
エシレアさんが転生者の私のことを話す。すると国王は目の色を変えて私のもとに走ってくると親戚のおじちゃんレベルで話し出す。
「お~~転生者の響ちゃん・・・!!色々大変ながらによく来てくれたの!!!今回は泊っていきなされ・・・もしよければ色々話を聞かせてくれんか・・・!!」
怖い怖い!!!
異世界では転移者は歓迎されてるのは本当らしい、いやぁなんもしてないのに・・・照れる・・・、ジール国王は気の緩い人らしい、国民には名誉もあり国王すごい・・・私は気持ちを込めて返す。
「来てくれたって、そんなことないです・・・、私は行く当てもなかったのにもかかわらず、エシレアさんに助けてもらい、ジール王国に泊めていただける・・・!本当に感謝しかないです!!」
そんなこんなで、私は国王の計らいにより一晩ジール王国に泊まることとなった。
どうにかしてこの世界から出て元の世界に戻ろうと、そう決意した。
そんな私は、異世界の闇を知ることとなる。