恋みたいな 缶コーヒー
付き合って3年の彼女が、変なことを言い出した。そこには、どんな意味が込められているのか……。
「 ヘンテコ えんぴつ 」、その後の物語。
「 缶コーヒーってさ、恋みたいじゃない? 」
同棲して半年になる彼女が、微糖の缶コーヒーを飲みながら突然言った。どうやら、商店街の福引きか何かで、貰って来たらしい。
「 は? 何それ? 」
俺は、バカにしたように聞いた。
奈々は高校の時の1つ上の先輩で、いわゆる高嶺の花ってやつだった。卒業してからもアピールし続けて、ようやくオッケーがもらえた時には、天にも昇る気持ちだった。
それも、付き合って3年が経つ今では、奈々の破天荒な発言に振り回されるのが、めんどくさい日もあった。
「 だってね、缶コーヒーって、甘いんだけど、どこかほろ苦くて……小さな缶は、すぐいっぱいになるでしょ? 他にも大きな入れ物は沢山あるのに、小さな缶な事に自分たちだけ気付かないの! 」
「 ん?? 全然よく分からん 」
「だから〜、恋してる時って、そこだけの小さな世界で生きてるじゃん! 他に素敵な人なんて、世の中には山ほどいて、好きーっていう気持ちだって、その缶の大きさが限界じゃないかもしれないのに、それが限界って思っちゃってる……だから、付き合っても他に好きな人ができたり、別れたりするのかな……って言うね、分かる? 」
奈々は、少しムキになって言った。
「 じゃあ、奈々は、例えば俺の気持ちも、缶コーヒーと同じで、大した事ないって、思ってるって事? 」
俺もつられて、ムキになって言った。
「 いや、そういう訳じゃないけど……」
俺は座っていたソファーから立ち上がると、キッチンから家で1番大きな鍋を手に取り、わざと音を立てて奈々の前に置いた。
「 ドン!! 」
「 なんか、怒った? 」
奈々は、戸惑っている様子だった。
俺は奈々から缶コーヒーを奪い取ると、その大きな鍋に残りのコーヒーを全部入れた。大きな鍋には、ほんの少しだけの微糖コーヒーが入る事になった。
「 ……? 」
「 もっと甘くなるように、砂糖足そうか?
それとも、鍋いっぱいコーヒー飲む? 」
俺がニヤけながらそう言うと、
「 アハハ〜、何それ〜!! これ 誰が飲むのー?! 」
奈々が、崩れた顔で大笑いするもんだから、つい俺も気が緩んで、寝室の引き出しから予定外に早く取り出してしまった。
「 奈々、俺と結婚して下さい! 」
来月の奈々の誕生日まで、隠しておく予定だったのに、今日も俺は破天荒な彼女に振り回される。
まぁ、そんなのが一生続くのも悪くない。
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