3/3
2.孤独
「、、、、」
ゆっくり自分の家のドアを開ける。誰もいない家。やはり1人じゃこの2階たてのこの家は広すぎる。
あの日から、俺には親というものはいなくなった。
怒号が響き、泣き声が轟き、毎晩居心地が悪い空気に心を悩ませていた。
ガラスの破片が散らかっている部屋、その空間の隅っこが俺のスペースだった。
日が経つにつれ、発する音は小さくなり、
そしては、無音な世界の出来上がりだ。
その日から、家族と呼べるものはいなくなった。
繋がりというものは人を傷ける。
しかし、人間は孤独を嫌い、繋がりを求める生き物だと考えている。
かの俺も孤独を嫌っているだろう。
放課後笑いながら楽しく喋っている友人、
手を繋いで帰り今日の夕飯の話をしている親子。
いつ間にか、羨望の想いは憎悪に変わり、
なにも出来ず、ただ見ていた自分の弱さを知った。
そして、弱さを忘れるために、全てを忘れるために、リセットを行う。
誰もいない部屋、今日も人を殺していた道具で自分の胸を貫く。
「今日も逃げることしかできないのか。」
「、、、、」
真っ白い部屋は赤色で塗りたくられ、
1人の少年の1日が終わった。