1.リセット
「2020年日本の死亡総数は137万人、その後も死亡者の総数は徐々に総数は増え、49年には200万人になりました。しかし、50年に数は急激に減り、死亡者総数は0になりました。」
「そうこの出来事こそが、『タナトスの軌跡』。あるものの願いが神に届き、人は不死となり、どんなにひどい怪我をしても次の日になれば傷は癒、寿命に達したら細胞が若返り一生60歳以上の歳を取らなくなる。人口は減ることはなくなり、死という行動で悲しむものはいなくなりました。皆が幸せになり・・・」
またこの話だ。『死』ってなんなんだよ。人が死ぬわけないだろう。そんな昔の話なんて聞いてられるか。
くだらないことを考えていたら、授業終了の鐘が聞こえた。
「はい、今日はここまで次はこの続きからな」
「今日どこに行く!?」
「カラオケでパァーと行っとく?」
またこの時間だ。
学校じゃこの時間が一番地獄だ。周りの人間が授業という地獄から解放され、放課後という天国という時間を仲のいい人間同士で過ごす。そして、明日を楽しく生きるために、最高の時間を過ごすらしい。
そして、
「今日も度胸試し行っとくか。」
「今日は誰が『リセット』する。お前行っとけよ。」
「え〜、また今日も俺かよ、、
まぁいいか、体が半日動かなくなるだけだしな。」
この度胸試しも、最近の若者の流行りだ。
誰が一番高所から飛び降りれるか競いあうらしい。
最高にハイな気分になれるらしいが、馬鹿馬鹿しい。
俺も友という人物がそうゆうことをしていたんだろうが、
俺はいつも1人だ。
話かけてくれるやつはいたが、特に話すこともなく「あぁ」「そうか」みたいにな言葉で一蹴してしまう。別に好きでやっているわけではない。ただそういう風に生きてきた。ただそれだけだ。信頼できる人物はおらず、仲良くしようとしてくれる人間に対しては、裏切られることが怖く近付く勇気がでない。
だから、俺は早く1人で死にたい。
どうせ誰とも心を通わせることができないのであれば、このまま誰にも知られず、誰にも悲しまれずに死にたい。
しかし、どっかの誰かさんのせいで、自分の心の臓にナイフを刺しても、この痛みも、この思いもリセットされる。
そうリセットされる。先ほどの話の時代で言うと『自殺』という行動らしい。
しかし、『タナトスの軌跡』が起こったせいで、『リセット』という1つの行動になった。
人間は『リセット』を行うと辛い記憶、痛み、思い全ての負のものがリセットされる。
世界中ではこの行動は善とされ、誰もリセットという行為を否定するものはいなかった。
だから、俺は『孤独』という辛い想いを消すのために、忘れるために、今日も家に帰り、リセットする。
この世界から逃げるように、、、