本家本元を応援し隊
「隣、座るぜ。レイチェル・レギンレイヴ」
レイチェルは二人の男子生徒に挟まれていた。一人はアルヴィス・エーデルワイス、
もう一人は濃い赤紫色の髪をした男子生徒。黒い制服は純血の証だ。
「俺はルージュ・カリギュラ、よろしくな」
天災世代の一人、破壊の拳闘家と呼ばれている。勿論、魔法も扱えるらしいが
彼の恐ろしさは魔法ではない。小柄な体からは想像できない破壊力を持った拳。
大抵の魔族に対して彼は握手を求めたりはしない。だが彼はレイチェルに握手を
求めた。レイチェルの細く脆い手をルージュの骨張った手が握った。
少し痛いが彼なりに加減はしてくれているらしいし、無下には出来なかった。
「ルージュ君は皇族派とか純血主義とかはどうでもいいの?」
「あぁ?ンなの弱肉強食だろ。混血だろうが純血だろうが強者には従う、
それが俺を含めてカリギュラ家のルールなんでね」
「ほぅ、つまりレイチェルを強者として認めたということか?」
口を挟んだアルヴィスの言葉にルージュは頷いた。
「そういうこった。何でも聖域守護ってのは
勇者しか使えない技だって話だ。そんなのを使ってるって時点でそんじょそこらの
魔族とは違うってことだろ」
周りと違うのは血での差別はしないということだ。実力があれば平等に接する、
それがルージュだ。
「あ、あの!アルヴィス様、レイチェル様!!」
「え、様付け!?」
慣れない呼び方で呼ばれてレイチェルは驚いた。そこにいたのは数人の混血女子たち。
混血たちが多く所属する派閥、混血も純血も平等に扱うべきという考えの元
集まっているのは「混血主義」または「平等主義」という。彼女たちはその
平等主義の集まりでアルヴィスが本物の魔王だと信じて疑わない。
で、集団のリーダー格である少女の名前はミッシェル・ジェーシーを含め彼女たちが
レイチェルを様付けで呼ぶ理由は魔王アルヴィスと共に戦争を止めるために
死力を尽くしたから。
「私の従兄弟がその歴史を詳しく調べている考古学者なんです」
「凄いね。でもなんで私が勇者の転生者ってなってるの?」
「当たり前じゃないですか!!聖域守護を扱えるのは正真正銘の勇者しかいないのです!
つまりレイチェル様は勇者アドニス様の転生体なのです!!!」
部活動や同好会が集まる塔、組合塔に彼女たちは
真打同好会として活動している。
「ミッシェル、グラヴォスさんがもうすぐ到着するって」
電話の受話器を置いて真打同好会の会員の一人リアナ・イースンはそう伝えた。
「グラヴォスさんって?」
「私の従兄弟ですよ。私が言っていいのかどうかは分かりませんが見ててくださいよ。
めっちゃイケメンですから!」