魔王城と聖域守護
翌日、担任の教師の名はイリアナ・ブランディ。
がちがちの純血主義だ。こういった教師は差別が激しい。
「混血の皆さんは周囲に迷惑をかけないよう努力してください」
差別意識を包み隠さず見せている。特に彼女は魔族の血が一滴も流れていない
レイチェルを嫌っているようだ。それに気付いていながらレイチェルは
無視し続けていた。
この学園は実技が多い。最低5人の班を作って実技試験を行うのが普通だが見事に
混血のアルヴィスとレイチェルは残り物にされてしまった。
「行かなくていいのか」
「あのね。そんなにガツガツ行けるわけないでしょうに。火に油を注ぐことは
したくないから」
酷い冷遇にも負けない強い精神力をレイチェルは持っている、アルヴィスはそう
考察した。クラス1、鋼の精神という言葉では片付けられない。
試験場には二つの城が出来上がった。一つは純血たちが作り出した城、もう一つは
レイチェルが作り出した城。それは味方全体の力を底上げし、守るための魔法。
名前を「魔王城」
その魔法は魔王だったアルヴィスが作り出した魔法。それの元になっているのは
勇者アドニスの魔法「聖域守護」
そう、つまりレイチェルは。
「レイチェルはそのまま城で待機していろ。俺が向こうの城を叩く」
レイチェルは頷いた。守りに徹することにした彼女を見てアルヴィスは色々
思考を張り巡らせた。
レイチェルはまだ実力を出し切れていないように感じる。実際に前線に立つことだって
出来そうだが…。
「魔王城」の名前を付けたのは魔王本人ではなく勇者が
名前を付けた…らしい。