魔王アルヴィスと勇者アドニス
それは1万2000年前、
人間、魔族、精霊、天族等多くの種族たちが争っていた。
人間の代表者である勇者アドニスは精霊や天族等と力を合わせ
魔王アルヴィス・エーデルワイスを倒すために魔王城に足を運ぶ。
魔王城ディルヘヴィアで魔王アルヴィスは勇者アドニスを待ち構えていた。
「ほぅ、女勇者だったのか」
中世的な容姿だが女性らしい柔らかい体格だった。
男性らしいアドニスと言う名前は育ての親より強い子になって欲しいと
いう願いを込めてつけられたという。
「戦うか?人間のために」
アルヴィスの言葉にアドニスは首を横に振る。
「いいえ、人間のために交渉に来たのです。貴方もそうでしょう?」
アルヴィスは目を細めた。戦いに疲れていた、アドニスは心優しき勇者。
本来なら剣を手に取り戦うつもりは無かったと言うのに…。
「アルヴィス・エーデルワイス、貴方はきっと今までの魔王とは違う。
だって貴方は民の言葉に耳を傾けることが出来る素敵な王様だから」
アドニスは心の底から彼を褒め称えていた。そんなこと、初めてだ。
誰かを殺して上に立つ魔王を人間が褒めたりしないのだから。
「勇者がお前であったのなら良かった。もう俺は疲れたんだ。次は
もう少し平和な世に生きたいものだ…そうは思わないか?アドニス」
「何か策があるのですね!やりましょう、私に出来ることなら何でも
致します!!」
二人の命を引き換えに種族間に壁を作った。
その壁は1万2000年後の今も消え去ってはいない。