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ある滑稽で臆病な鶏の話  作者: ナッツ
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第1章8部 45分クッキング

第1章8部 45分クッキング


俊明が来てから1ヶ月が経った。

あれから俺は小林さんと関われていない…

そんなある日、あるイベントがやってきた。


「今度、久しぶりに調理実習を行います。」

担任の山崎先生が言った。

「えー」「よっしゃー」「だる…」「楽しみ!」

様々な言葉が飛び交う。

夏の夜の花火のように。

担任の山崎先生が言う。

「静かにしてください」

………

教室は静かになった。

「来週、調理班を発表します。」

間が空いて、俊明が話かけてきた。

「調理実習なんてあるんだ」

「うん。なんかあった?」

「いや、俺の前にいた学校(とこ)なかったんだよ」

「そうなんだ…楽しめよ。」

「楽しむよ。城谷くんもね」

「ああ。楽しみだよ」


ふあぁぁぁぁ…

大きなあくびをして教室に入ると、俊明が

こっちにやってきた。

「俺たち離れちゃったな」

「なにが?」

「なにがって…調理実習」

「離れたんだ…まあ、しょうがないよ」

俺は続けた。

「ところで、俊明は誰と班なの?」

「えーと…相川くんと」

「相川くんか。あんまり話さないな…」

「あと…小林さん。」

「えっ」

「ん?なんかあった?」

「いや、なんでも」


あーあ、楽しみじゃねぇや。



木曜日ついに調理実習当日だ。

山崎先生が言う。

「今日は、45分間で野菜スープを作って

もらいます。まず、水を…」

……………はっ!

(やばっ…聞いてなかった……)

「どうするんだっけ、城谷くん」

上野さんが聞いてきた。

俺の班は上野さんと小野さんだ。

小林さん…

「えーっと…」

(鍋に水を汲んで沸騰させろ)

後ろで俊明がささやいた。

「サンキュー、としあk…あっ……」

俺の視界に小林さんが入ってきた。

相川は今日欠席なので、俊明と小林さんは

2人きりだった。動揺して、うまく感謝

することができなくなってしまった。


45分後、無事に料理は完成____


できなかった。

調味料を入れすぎてしまったのが原因だった。

「うわっ、しょっぱ…」

「うーん、すっぱい…」

「そう?甘くない?」

3人で感想が分かれてしまった。

それほどこの世のものではないスープができた。

チラッ…

俊明の班のスープを見つめる。

その見た目からは「美味しい」ということが

瞬時に伝わってきた

それほどに綺麗な出来だった。


余った時間でスープを飲む。

俊明と小林さんは楽しそうだ。

あんなに笑って…何が面白いのか……

そんなに、楽しいのか……



俺は俊明を羨ましいと思ってしまった。


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