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ある滑稽で臆病な鶏の話  作者: ナッツ
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第1章7部 "新"友

第1章7部 "新"友


小学5年が終わり、最高学年となった。

小学生も今年で終わりだ。早いなぁ…

そして今日は最後の年を共に過ごすクラスの

発表がある。

さて…

配られた紙に恐る恐る視線を下ろす。

ドンッ!

「おお、城谷!同じクラスだな!」

相川め…

今のネタバレはなかなかに邪魔だった。

俺は2組らしいが…小林さんはどうだ……


6年 2組 生徒名簿


1. 相川 健介

2. 伊藤 結実

3. 青木 隆二

4. 青戸 大輝

5. 上野 恵美

6. 江口 颯太

7. 尾崎 晴美

8. 小津 祐人

9. 翁長 芽衣

〜〜〜〜〜〜〜〜

「まじかよ、あ行多くね…」

震えながら独り言を放つ。

「あっ!」

〜〜〜〜〜〜〜〜

10.小野 紗理奈

11.神野 機会

12.小林 美咲

〜〜〜〜〜〜〜〜

うおおおおお!!!

俺は心の中で踊り出した。

やった…やった…

表しきれない喜びがあふれる。

なんと、優馬と山田くんも同じクラスだった。

…ん?

〜〜〜〜〜〜〜〜

15.小宮 凛

16.櫻井 俊明

17.城谷 悠介

〜〜〜〜〜〜〜〜

「櫻井?聞いた事ないぞ…」

大きな独り言をした。

「櫻井って転入生らしいね。」

6番の江口が独り言に答えてくれた。


「皆さん、おはようございます。」

女教師が担任だった。

「クラス関係で思うことはあると思います。

でも、静かにしてください。」

………

「今日から転入してくる子の紹介をします。

櫻井さん、どうぞ。」

スッ…

1人の男子が立ち上がり、前に出る。

櫻井(さくらい) 俊明(としあき)です。よろしく!」


こいつ…なんだ?

席に戻るなり隣の女子と話している。

前の男子とも意気投合した。

なぜか窓の外を眺めている。

なんだ…こいつ……


「おはよう、城谷くんだっけ?」

昼休み、急に俊明に話しかけられた。

「これからサッカーするんだけど」

「ごめん、無理。」

少し食い気味で断った。

「なんでよ、」

「なんでって…運動できないから」

「だよね、そう思ってたよ」

「えっ…?」

「だって、城谷くん運動できなそうだもん」

笑いながら俊明は言った。

なんだ…こいつは…


その日、結局サッカーはしなかった。

次の日も、また次の日も、俊明と会話した。

「今度さ、蒲池(かばち)公園いこうよ!」

「いいよ、帰ったらすぐな!」

数日後、俊明と遊ぶ約束をした。

ひさしぶりだったので、わくわくしていた。

しかし、待ち受けていたのは決して

楽しいことではなかった。


「サッカーの練習しような」

えっ…?

「だから、サッカーは出来ないんだよ」

「わかんないだろ?やってみなきゃ」

「わかるさ。俺は出来なかった。」

「いつ?最後にやったのは」

「小3の時。小指の骨が欠けた」

「まぁ、やってみようぜ」

「嫌だ。」

「なんだよ、やってもないくせに」

………

「わかった、やってやるよ。ただ…」

「ただ?」

「つまんなくても、知らないからな。」


痛い!

俊明のボールが顔に当たる。

「どうやったら顔に当たるんだよ…」

俊明が動揺している。

野球で言うゴロだが、俺には顔に当たる。

「よし、パス!」

俊明のパスは俺の前をゆっくり横切った。

コロコロ…

遠くへとボールは転がってゆく。

「城谷くん…まじかよ…」

「だから言っただろ…つまらないって」

「悪かったよ城谷くん。」

「謝るなよ、悲しくなるだろ」

「俺は城谷くんをナメてた。」

「そろそろ怒るぞ…?」

「君、めっちゃ面白いな!」

えっ…?

「普通あんなバウンドしない!

あのパス取れない人俺初めて見たよ」

「あー、そう…」

「城谷くんは面白い人だ」

「なんか…ありがとう」


こうして、俺と俊明は"新"友となった。

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