第1章5部 平穏
第1章5部 平穏
2泊3日の自然教室は、終わった。
3日目は帰るだけ。バス車内はつまらない。
小林さんは右に3つ、前に…と言ってもわかりずらく
なるので言わないが、とにかく遠かった。
見ることすらできなかった…
日曜日の夕方、俺達は小学校に戻ってきた。
月曜日の朝______
いつもなら土、日と休みなので、多少元気だ。
しかし、自然教室のため、休みはなかった。
気分はなかなかに良くない。企業なら赤字レベルだ。
今週は特に何も行事はなく、自然教室の
振り返り授業ばかりだ。小林さんと話したい。
なにか楽しいことはないのか…
いつも通りの6時間授業。
誰とも会話せずに終わる休み時間。
学校生活が、マンネリ化してしまってきた。
家に帰って、机に向かった。
今は12月の中頃。もうすぐ今年が終わる。
毎年目標は立てるが、実現できない系男子の俺は
今年も達成できない目標を立てることにした。
俺は裏紙を前にして考えた。
さてと____。
スラスラと俺は書き綴った。
『新しい友達を作る』
「うーん…ああ……」
俺は紙をくしゃくしゃにしてゴミ箱へ投げた。
そして、ジュースを取りに行くついでに、的を外れた紙をゴミ箱に叩きつけた。
さらに数週間が経ち、ついに大晦日。
23:32と示した時計が青白く点滅している。
父親が話しかけてきた。
「悠介、来年の目標は決まったのか。」
めんどくさいことを聞くじゃないか…
四十代後半の父親は、特に特徴はない。
さえないおじさん、と言えばニアピンだろう。
「特に決まってない。」
少しぶっきらぼうになってしまった。
「そうか、目標は決めておくべきだぞ。」
「わかってるけど…」
そう言って俺は3杯目の年越しそばを盛りに行く。
《3 …… 2 ……1 …… Happy New Year!!》
ぼんやり光るテレビで芸能人が騒いでいる。
また、新たな年が始まった。
友達なんて、作れるのかな…