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序章 小さな出来心
序章 小さな出来心
大人は言う。学生の恋心なんて…と。
それを俺は否定したい。なぜなら、学生の恋こそが
最も複雑な心境である時期にこそ起こる
貴重で、小さな小さな出来心なのだから…
いつ頃からだっただろうか。
あんな感情が芽生えたのは。
眠い、楽しい、苦しい…そんな感情とは全く違う何か。
それが何かすぐ気づけるほど、俺は大人ではなかった。
毎日がわくわく…いや、ドキドキするような日々になる。
そんなあの感情は5年前の俺には理解できなかった…
そうか。あれを恋と呼ぶのか。