第七話
それは事務所に戻る途中の車内での会話であった。
「・・・・・・で、どうするんだ?」
カケルが突然、アシェルに聞いた。
「何がだ?」
「このガキの事だよ。お前が預かる予定か?」
「そのつもりだ。だが・・・・・・」
「だが・・・・・・?」
「少し心配なんだ。いくら何でも俺が抱えるには謎が多すぎる。」
「それはつまりどういうことだ?」
「俺らは黒崎敏郎にこの子の護衛を頼まれただろ?要人の護衛なら何度も経験済みだからわかるが、この子にはあまりにも天敵が多すぎやしねえか?何より病院のテロ事件は謎だらけだ。一体誰が、こんな事件を起こすんだって話だ。」
「確か・・・・・・奴ら、自らを青年革命隊って呼んでたな・・・・・・」
「何か情報はあるか?」
「何もだ。ただ二つ解ってることがある。奴らは確実にここらのストリートのギャングと格が違うってこと。そして奴らはその目的を『過去への清算』って言ってたことだ。」
「『過去への清算』ねぇ・・・・・・。なあカケル。」
「なんだ?」
「この一件、長くなりそうだ。お前も手伝ってくれないか?」
「はあ!?俺にガキの世話をしろと!?」
「そこまでは言ってない。ただ黒崎敏郎も言ってた通り、俺だけで護衛するのには不安がある。もともと黒崎敏郎もカケルが護衛しろってお願いしていたからな。報酬はこっちからも出す。あと、黒崎裕子の面倒は俺がみる。だから一旦黒崎裕子をカケルの事務所で引き取ってくれないか?万が一襲われた場合に俺だけだとどうしても不安だからな。俺もしばらくはカケルの事務所に住まわせてもらう。」
「はぁ・・・・・・マジかよ・・・・・・」
「安心しろカケル。これが終わればあのスーツケースの札束はすべてお前と俺のモンだ。そう考えたら容易いもんじゃねえか?」
「それは・・・・・・そうだが・・・・・・」