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遅弁

新年あけましておめでとうございます!

今年もこの作品と、私いかすみぱすたをどうぞよろしくお願いします

 全速力で教室に戻ったため、授業開始まではまだすこし時間がある。

 だが…………。

「おい卓巳。時間あんまりなくね?」

「わかるそれな。ほんとな」

「絶対思ってないだろ」

 そう、弁当を食べるには時間があまりないのだ。

 このままだと弁当食べながら授業を受けるなんてことも有り得る。

「まぁ、どっかの誰かが女子と楽しく会話してたからなぁ」

「お前いつまでそれ言ってんだよ」

「その話詳しく」

 1番話を聞かれたくない人に話を聞かれてしまったようだ。いや、やましいことなんてひとつもないからいいんだけどね?

「いやー、それがな? 悠眞のやつが廊下ですれ違った女子と楽しくおしゃべりしてるもんだから遅れちゃってな?」

「おい黙れ」

「へぇ……女子と楽しくおしゃべりねぇ」

「ちょ、美咲希さん!?」

 ダメだこれ。完全に俺の話は聞かないパターンだ。

「浮気かしら?」

「なわけあるか。そろそろ俺の話を聞いてくれよ」

「言い訳を聞いてあげるわ」

「すれ違った女子ってのは葉月と美鈴だよ」

「あ、なら安心ね」

 美咲希の中ではその2人は大丈夫らしい。それを知っているのか、卓巳はすごくからかってくる。

 というか、知らずにからかってたらこいつタチ悪いぞ。

「それ本当にどういう理論なの? 俺は不思議でしょうがないよ」

「俺もわからん」

「私がルールよ」

「神かよ」

「そうだけど何か?」

「何か? じゃないだろ。どう考えたってこの会話おかしい」

 頭が狂いそうな会話をしていた俺達に対し、卓巳がツッコミを入れてくる。反応は塩っぽいのだが、しっかり話を聞いているあたり優しさが溢れている。

「そうか? これ割と日常的」

「は? こんなのが日常的に行われてんの? だからお前らそんなにキチガイなの?」

「別にキチガイではないだろ」

「大分キチガイだぞ。自覚しろ」

「そんなことよりキチガイって何だかかっこいい響きだよね!」

「こいつまじかよ」

 やばい、人生楽しくなってきた。俺頭いかれてるかもしれない。

 そんなことを考えていた時。

 ――――キーンコーンカーンコーン。

 授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。

「あっ、詰んだ。俺この授業空腹で過ごさなきゃいけないじゃん」

「はっ! 俺は授業中に食べるぜ?」

「お前1番後ろの席だからいいだろ! しかもパンだし」

「これが勝ち組と負け組の差だ」

「うるせぇどっちも負け組だ」

 てかこいつもなかなか頭おかしいよな。俺が言うことでもないけど。

「お前ら落ち着け。授業始めるぞ」

 先生が入場しました。


 ◆


 あと数分。あと数分で。

 俺は地獄から開放される……。

 ただ、こう思うとこのあと数分が恐ろしく長く感じられる現象に陥る。出来ればこれに名前付けたいな。

 先生がなにか喋っているが、極限状態の俺には何も聞こえてこない。寧ろ聞けという方が無理な話である。

 昔誰かが邪念を捨てれば大丈夫と言っていたが、これは生理現象であって、邪念を超えるものであるため、邪念を捨てたところで意味が無い。

「ん、そろそろ終わりか。今日はここまで。じゃあ号令よろしく」

 よっしゃ! と、俺は心の中で叫ぶ。

 気をつけ、礼と号令係が言った瞬間に、俺はスタンバイしてあった弁当を机に広げる。

 やっと、やっとご飯が食べれる。

「準備早すぎない? どんだけだよ」

 北村の問いかけに対し、俺は

「そりゃあな。卓巳のせいで飯食えなかったからしゃーない」

 その噂の卓巳は自分の席でひれ伏して爆睡している。マイペースというか、なんというか。

 しかし、奴はそれほど寝ていても確実に平均点を大幅に上回る点数を取ってくる。家で勉強をしているのだろう。

「いただきます」

 でも、マイペースという部分は俺もそうかもしれないのであまり人の事は言えない。

「ものすごい勢いで食べてるわね……」

 美咲希にそう言われるが、気にしない。気にしたら負けだ。

 空腹の時の食べ物は、すごく美味しい。涙が出るほどだ。

 少し大袈裟かもしれないが、俺は3大欲求の中だと食欲を第一に考える主義なのだ。許してほしい。

「ふぅ……」

 やがて、弁当を米粒1つ残さずに平らげ、俺は一息ついた。

「食べるの早すぎん?」

「腹減ってたからな。どっかの不良と違って、俺は真面目だから授業中に食べることもしなかったしな」

「いやいや、俺は不良じゃないから。食べれる環境を作ってる方が悪いから」

「何言ってんだこいつ」

 少なくとも常人の思考ではないことはよくわかった。

 いや、急にちんことメッセージを送ってきたりするようなやつがまともなわけあるはずないのだ。そこの所を俺は忘れていたのかもしれない。

「すっごいいい匂いなんだけど。お腹空いてくるわね」

「そうか?」

 確かにいい匂いはしたが、そこまでお腹が空くような強烈な匂いではないと思う。もしかしたら俺がそう思っているだけで、実際は結構匂っているのかもしれない。

 ま、過ぎてしまったことなのでもう気にしても遅いんだがな。

「よーっす。……なんか揚げ物の匂いしない?」

「お前犬か何かなの?」

 すると、教室の外へ出ていた北村と諸橋が二人揃って帰ってきた。

 両者ともペットボトルを持っているので、恐らく自販機でジュースでも買いに行っていたのだろう。

 しかし、こいつら妙に一緒にいるな。

「犯人は悠眞だ。恨むならこいつな」

「人を売るんじゃない」

 二人の関係性について思考していたら、卓巳に全ての罪をぶつけられた。

 間違ってはいないんだけどね。それでも少しはフォローしてくれたっていいと思う。

「早弁ならぬ遅弁だ。それで、二人は付き合ってんの?」

「は、はぁ!? 川崎何言ってんの? そんなのあるわけないし」

「そうそう。今日だってこいつが一緒に――むぐっ!?」

 即行全否定する諸橋に同意した北村。しかし、何かを言いかけた北村に対し、諸橋は北村の口に手を当て、喋れないようにしていた。

 おまけに諸橋の顔はほんのり朱色に染まっている。これは近いうち一波乱あるぞ。多分。

「何ニヤけてるの? 控えめに言って気持ち悪いよ?」

「うるせぇモロヘイヤ」

「モロヘイヤ言うなっ!」

 俺と諸橋のやり取りを聞き、周囲は笑いで満たされていた。

 この時間はなんとも幸せで、どこにでもありそうな日常で、俺にとっては忘れたくない思い出になるだろう。

 ――――キーンコーンカーンコーン

 すると、そこで授業の始まりを知らせるチャイムが鳴った。

「は? 俺の許可無しに鳴ってんじゃねぇよ」

 半ギレでチャイムに言う俺。

「ついに……時が来たか」

 厨二病全開なのが卓巳。

「やっと俺様の力を見せる時が来たようだな!」

 何かに燃えている北村。

「うち、この授業終わったらトイレに行くんだ……」

 何かのフラグを建てる諸橋。

「現在ツッコミ役不在でお送りしてます」

 ナレーションを入れる美咲希。

 チャイムが鳴った時の反応はみんなそれぞれで、中には何を言っているのか分からないものまである。

 1つ、やり終えた後に何か述べるとするなら……。

 何やってるんだろう。俺達。

アドバイス、応援等ありましたら、コメント、評価の方お願いします。

今年も書き続けて、1人でも多くの人の心を明るくしていきたいと思います。

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