波乱万丈の夏休み④
今回は大悟目線です。暖かい目で見ていってください。
「へぇ……悠眞の好きな人は小野塚ちゃんか……」
しかも実は両思い、とかどこのラブコメだよ。
「俺が入る隙はない、か……」
誰に聞かせるわけでもない独り言は、暗闇の中に消えていく。
そして、大悟は眠りにつく。
大きなあくびをしながら、大悟は起きる。
まだ眠いが、せっかくの夏休みだし楽しまないと。
大悟は、中学時代の友達と遊ぶ約束をしている。
もちろん、そこには悠眞もいるわけだが。
『今日来る?』
一応、メッセージを打ってやると、秒で返ってくる。
『行くぞー』
悠眞はいつも着信が来た時に表示される通知で読んで、未読スルーをするか、既読をつけるかのどっちかなのだが。
『多分高嶺と高木起きてない笑』
『俺もそんな気がする。高木の方を起こしに行くか。高嶺起こしに行くのめんどくさいし』
高嶺と高木ってのは中学時代の友達だ。俺と悠眞を含めた4人はクラスが一緒で、休み時間ではほとんど一緒にいた。
休みの日もよく遊んでいて、ゲームやサッカーをやったりした。
今日はまたそうやって遊ぼうぜって悠眞の提案で、近所の公園で遊ぶことになっている。
高嶺と高木について少し説明しておくと、高嶺はコミュ障で、人の話をよく聞かないが面白い奴である。
高木は肉まんみたいな体型をしていて、中学の頃そうやっていじられていた。高校ではどうか知らないが。
この2人を合わせると、ネタが無限に増えて手に負えなくなる。しかも自分たちで考えたネタを忘れることもあるし……
そんなあいつらだけど、一緒にいて楽しいから遊ぶ。たまに釣りだって行くこともある。その時は悠眞がたくさん釣る印象があるな……
そして、準備が終わった俺は悠眞の家に向かう。
『今から家出る』
とだけ送る。多分送った瞬間にあいつはこのメッセージを読んでいる。しかし、既読はつかないし、もちろん返信もこない。
そして、数分後、悠眞の家に着く。
「よし、じゃあ行くか」
悠眞が静かに言った。
高木の家は集合住宅で、起こしやすいから遊ぶ時はよく高木の家にくる。
すると、悠眞は壁に耳を当て、スタ爆(SNSアプリで、スタンプを連打して送ること。現実でやるのは嫌われるのでやめた方がいい)をしている。
そして、スタ爆をしばらくして、悠眞は壁から耳を離す。
「あいつ、携帯の充電切れてる!」
といって、何のためらいもなくインターホンを押す。
インターホンを押して数秒、家の中で人が動く気配があった。
扉の先にいたのは、高木だった。
「なんだ、お前らか」
「さっさと準備して高嶺起こしに行くぞ」
命令口調で悠眞が告げる。
こいつ、全然変わってないな。
「お前全然変わってないな……大悟も」
「俺も変わってないかな?」
「なんも変わってない。中学思い出すわ」
そういって扉を閉じ、数分後準備を終えた高木が出てきた。
「じゃー、お前ら行こうぜー」
「そうだな、高嶺起きないから起きるの待つしかねーよな」
そういって、この2人は先に公園に進もうとする。
ほんとにいいのかよ……と思いながらも、俺は2人のあとを追う。
それで、悠眞の家の近所の公園に進んだ俺らは、キャッチボールを始める。
俺と悠眞と高木は同じ野球部だった。
なので、ほとんどノーミスでキャッチボールが続く。
「やっぱ感覚鈍ってるなー」
そういったのは高木である。
それ対してそうか?と言っているのは先日野球部の助っ人をした悠眞。
俺は時々、壁あてや素振り、現役野球部のキャッチボールに付き合ったりなど、色々していたので多少鈍ってはいるがそこまでではない。
「お前が動いてないだけじゃね?」
笑いながら俺が言うと、そうかもなーと高木が答える。
そして、キャッチボールに飽きた俺達はサッカーをする。
程なくして、高嶺が到着する。
「悪いお前ら、寝てたわ」
いつもどーりですねわかります!!
俺がキレ気味で心の中で呟くと、
「いつもどーりかよ……お前も変わんないな」
と、悠眞がつっこむ
すると、不意に高峯が
「へい松!」
始まったよ。へいSiri!みたいな感じで、モン〇トのクエストの適正を調べるために、俺の携帯を使う事が春休みにあった。それがまだ続いてるとは……
「36階適正」
「ちょっと待って」
そう言って俺は検索アプリを起動し、慣れた手つきで36階適正と調べ、検索結果を高嶺に見せる。
「さんきゅ」
それで、サッカーをやるやつ、モ〇ストをやるやつというカオスな風景が出来上がった。
昼頃、いい感じに小腹が空いた俺の心を読んだのか、高木が突然
「腹へんない?」
と言ってきた。すると高嶺が
「おっそうだな」
ここからはカオスだった。
「この辺にラーメン屋の屋台来てるらしいから夜行かね?」
始まったよ。
「夜じゃおせぇよ!!」
悠眞が全力でつっこんでくれた。ナイス。
そのつっこみによって、場の空気は更に和やかになった。
「お前最近小野塚ちゃんとはどうだ?」
俺の発言で、場の雰囲気は一気に重くなる。と思いきや
「小野塚ちゃんって誰だよ?彼女か?」
高嶺が陽気な声で悠眞に絡んでいた。
「まあ……うん。彼女」
照れくさそうに答えてる悠眞。その様子を見て高木が
「爆ぜろ。爆裂魔法撃ち込むぞ」
と真顔でなんか言っていた。
それから、暗くなるまで騒いで、各自帰宅。
LINEのグループ電話でモン〇トや近況報告をして、その日は幕を閉じた。
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