班決め
すみません、めっちゃ遅れました。待っていてくださった方、いらっしゃったらとても申し訳ないです。
「お、不登校じゃーんおはよ」
次の日、学校へ訪れるとまず北村からそう言われた。
「うっせぇな少し休んでただけだろ」
こいつはいつもこんな感じなので、適当に受け流して自分の席へ座る。
「気分はどう?」
「悪くない。平気そうだ」
「そう。ならいいわ。一時間目は化学基礎よ」
「ごめん訂正めっちゃ気分悪い」
化学基礎は暗号みたいでわけがわからない。数学と同じぐらい嫌いな教科だ。
復活して早々この授業とか厳しすぎるだろ。
…………まぁ俺が休んでたのがいけないんだけど。
「おいおい師匠六時間目は総合だぞ?」
「それで?」
「修学旅行だよ修学旅行!」
ああ、そういえばもうそんな時期だっけか。正直言うとずっと家にいたいんだけど。
「おうおう。で?」
「班決め!」
「あー、あのめっちゃ騒がしくなるやつな。わかるわかる」
班は六人編成で、男女三人ずつ。美咲希と同じ班になるのは確定として、問題は後の四人だ。
卓已を誘うか……いやでもあいつと同じ班とか色々やってられないしなぁ。
「ってことでさ、俺と同じ班なろうぜ」
「渡辺とかはどうした?」
別に嫌ではないのだが、いつも一緒にいるあいつらが気になったので俺はそう質問した。
「んー、ほら、向こう見てみろよ」
そう言われるまま、指さされた方向を見てみると、渡辺と相良、それに卓已が楽しく喋っている光景があった。
「あんな調子でさ。俺が仲を裂くようなことは出来ないから」
「お前って…………いいやつなんだな」
「なんだよそれ」
実はこいつ悪ノリするだけのお調子者だと思っていたなんて口が裂けても言えない。
「いや別に。じゃあ後の男女も集めといてな。頼んだ」
人集めとか苦手だしめんどくさいので全てを北村に任せた俺。もうすぐホームルームが始まる。
「はーいじゃあ出欠とるぞー」
やがて、担任が教室に入ってきた。この人には世話になったから後で礼を言わなければ。と思ったのだが。
「全員出席だな。じゃ、授業頑張れ」
とだけ言い残し、担任は教室を去っていった。
時々朝のホームルームを即行で終わらせ、どこかへ行くのだが、何をしているのかはいくら聞いても教えてくれない、って噂で聞いたことがある。
「さっさと六時間目にならねーかなぁー」
北村がうるさいが、俺もそれは同意である。いくら美咲希が居ると言っても、その他のメンバーが最悪なら修学旅行を楽しめない。任せたぞ北村。
「じゃお前らあとは好きにしろ」
担任がそう告げると、クラスが一気に騒がしくなる。
ざわつきが手に負えなくなるほど膨れ上がり、耳を塞ぎたくなる気持ちになる。
「賑やかね」
「いやもうこれうるさいだろ」
教室の隅っこで、俺と美咲希は肩が密着するほど近づいていた。
本当は触れていたいのだが、そうするとクラス(主に男子)の視線が痛いので、極力避けている。
「それにしてもいい天気ね。今日散歩しない?」
「そうだな。公園行ってみるか」
暖かい日差し、心地良い風。それに、雲一つない空。こんなにいい日はそうそうないだろう。
「あー、はいはいリア充さんたち注目」
北村が俺達に声をかけてくる。
「班員その一諸橋智花。あだ名はモロヘイヤ」
「モロヘイヤ言うなっ!」
一見、清楚なお嬢様的な雰囲気を醸し出しているが、声は美咲希より少し低く、口調もボーイッシュな感じがする。
気になることは沢山あるのだが、まずは……。
「なんでモロヘイヤなんだ?」
これだ。特に深い意味はないのだろうが、一応聞いておきたかった。
「あー、それな。諸橋の“モロ”とこいつの“平野”を合わせてモロヘイヤ」
完全に皮肉じゃねぇか!
なんだろう、聞いてしまった罪悪感って言うか、諸橋が可哀想になってきた……。
「北村。お前後で覚えてろよ」
ジト目で北村を睨む諸橋。普通にそれ、ご褒美にしかならない気がするんだけどなぁ。
「そりゃ怖い」
案の定、北村は喜んでいる様子だ。
とにかく、これで班員は後男女一人ずつとなった。まぁ楽勝だろ。
「悠眞、今フラグ建てたわよね?」
「チョットナニイッテルカワカラナイナー」
「図星ね……」
口には出してないはずなのだが、どうして美咲希はわかったのだろうか。不思議である。
「すみませんした」
「回収さえしなければいいわよ」
実は言うと、俺昔からフラグ建てると回収するって体質でさ。だから今回もやばい気がするんだわ。
「よっし、じゃあ後は悠眞頼むわ」
「は?」
「だから、あと二人集めるとか俺には無理だからコミュ力抜群の悠眞に任せた」
「さっそく回収したわね……」
どうやら俺の予感は的中したらしい。あと二人、俺が集めなければいけないのだが、このクラスで仲のいい人はそこまでいない。
「あー、どうすっべ……」
そして俺は机の中からルーズリーフを取り出し、一面全てを使って『男女一人ずつ募集してます。誰か拾ってください』と書き、それを胸元に広げて教室内を一周回る。
クラスの視線が痛いけど、今はそんなこと気にしても仕方がない。
こうして歩いているだけで人が寄ってくれば簡単なのだが、みんな見て見ぬ振りをしやがるのでなかなか上手くいかない。だから、教室内を周りながら、孤立している人は居ないかを見て、居たら声をかける。
男子の方はすぐに見つかるのだが、女子の方を見つけるのはなかなか困難だ。
「誰かいませんかー……助けてくださーい」
軽く呟いただけなので、クラスの喧騒に打ち消される。こいつらどんだけ騒いでんだよ。
そうやって呆れていたら、一人だけ輪から離れている男子を見つけた。
「よっ。班決まってる?」
「えっ……あの」
「ん?」
よく聞こえなかったので、聞き返したのだが、それが相手に不快感を与えたのか、怖い顔でこちらを見つめたまま、固まってしまった。
「あっ、ごめん。俺の行動になんか嫌な部分あった?」
「そう……じゃなくて。まだ班決まってない」
声が小さく、声色も読み取りにくい。何を考えているのかわからない人物だ。
「俺達もまだ班決まってなくてさ。よかったらどう?」
「え……いいの?」
「もちろん」
一人確保。残り一人。もうここは美咲希に頼るしかないな。
ガンガン書いていこうと思っているんですけどネタが思い浮かばなくて……(言い訳)
でも死んでないです!元気に生きてます!




