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看病 下

やばい今回甘ったるすぎるやばい爆ぜろリア充

「ボウルどこやねん……」

 他人ひとの家の調理器具の配置がわかる力を持っているはずも無く、ボウル一つ探すのに三分ぐらいかかっている。

 手当り次第に引き出しを開けているのだけれど、この家ボウルないんじゃねーかって思うぐらいになってきた。

「やっと見つけた…………」

 最後の引き出しを開けると、銀色のボウルがそれぞれ大中小と並んでいて、俺はそのうちの中を手に取り、水を半分まで入れた。

 後は冷蔵庫で精製される氷を入れれば完成だ。

 キンキンに冷えた氷水にタオルをぶち込み、こぼさないように慎重に運ぶ。

 この短時間で美咲希の病状は悪化していないと思うのだが、やはり心配だ。

「入るぞー」

 ボウルを両手で持っているので、ノックができない。だから呼びかけたのだが、応答がない。

 失礼だがここは許可なしで入れさせてもらうぞ。

「おーい美咲希……?」

 呼びかけても反応がない。

 近づいてみると、とても安眠とは言えないが、眠っていた。

「そりゃ返事がないわけだわ」

 タオルを絞り、美咲希のおでこへ置く。看病している間、暇なのでラノベを借りようかな。


 それから何十分経っただろう。もしかすると一時間は過ぎたのかもしれないが、玄関のドアが開く気配がしたので、一度タオルを冷やしてから下へ降りる。

「お、悠眞ただいまー」

「お疲れ様です」

 レジ袋を持っている美香さんが帰ってきたのだ。これで一安心というかなんというか。

「美咲希は?」

「今は寝てます。あ、ボウルと氷勝手に使ったんですけど平気ですか?」

「平気平気。じゃこれ美咲希に飲ませてくれる?」

「えっ、俺ですか!?」

「当たり前じゃ〜ん。ほら早く早く」

 楽しむように俺の背中を押してくる美香さん。

 その姿を見てるとお母さんと言うよりはお姉さんって感じだなぁ……。

「悠眞君上手いこと言うねぇ〜」

 しまった、言葉に出ていたとは。余計な事じゃなくてよかった……。

「五人姉弟の一番上なのよ私。それを見抜くって悠眞君やるね」

 なるほど。だからこんなにも柔らかい人なのにしっかりしているのか。

「ありがとうございます?」

 しかし、素直に喜んでいいのかどうか。からかわれている気がして複雑な気分だ。

「そんじゃよろしく〜。悠眞君好きな食べ物なに?」

「え? ロールキャベツですけど……」

「ほーいおけおけ」

 謎すぎてもうわけがわからない。こういう場合はどう反応するべきなのだろうか。

「じゃ、美咲希よろしく」

「はい」

 しかし、反応する前に美香さんにそう言われたので、従うだけだ。

 そして、俺は階段を上がっていった。

「素敵な子だね。これなら美咲希を任せられるよ」

 そんな美香さんの言葉は、俺に届くことは無かった。


「おい。起きろ」

「んん……」

 再び美咲希の部屋に来た俺は、眠っていた美咲希を起こした。

「ほらこれ。飲んでさっさと風邪治してくれよ」

「ありがと」

 気を抜くと聞き逃してしまいそうなぐらい小さな声なので、結構限界なんだなと思う。

 こく、こくと喉を鳴らしながら薬を飲みおえ、再び寝込む――のかと思ったが、

「ねぇ悠眞……背中拭いてくれない?」

 とか言い始めた。汗で気持ち悪いのはわかるが、俺?

 ほんとに俺がやるのか?

「お願い」

 そんな上目遣いで言われたら断れないじゃん。

「俺でよければ……」

 俺の言葉を聞いた瞬間、美咲希は俺に背を向けてそら色のパジャマを脱ぎ始めた。

 そこまでは予想内だったので問題は無いのだが、

「ちょ……お前ノーブラ!?」

「そ、そりゃそうよ! 家の中でブラ着ける人なんてそんないないわよ。それに、私の場合着けてもあんまり意味無いし……」

 問題はノーブラで。そうだとわかった瞬間何故だか俺はドキッとしてしまった。

 いかんいかん。早く背中拭いてラノベ読もう……。

 美咲希から受け取ったタオルを濡らしてから、音を立てずに背中へと触れる。

「ひゃ……」

「冷たかったか?」

「いきなりきたものだからびっくりしただけ。続けて」

 美咲希の体温は驚くほど熱く、タオルで濡らした部分はすぐに乾いてしまう。

「んっ……あっ、ふぅ……」

 タオルを動かす度、美咲希が甘い声を漏らす。マジで変な気分になるからやめて欲しい。

「……これでいいか?」

「え、ええ。ありがとう」

 そして俺は全力で視線をボウルへ移し、タオルを絞る。

「あ、そう言えばラノベ借りてたけど、いいか?」

「問題ないわ」

 既にパジャマを着直していたので、安心して視線を美咲希に戻す。

 熱のせいなのか、頬は少し赤らんでいる。

「じゃあ俺はラノベ読んでるから――」

「ねぇ悠眞」

「ん?」

「一緒に……ね、寝て……くれない?」

 は? 何言ってんだこいつ? 俺の聞き間違い……?

「ダメ……?」

 聞き間違いじゃなかった。どんなリア充展開だよ。って、そうか、俺ってリア充でした。

 と言うか、一緒にベッドで寝るって相当じゃないか? 俺どうすればいいの。

 とりあえず無になろう。落ち着け俺。道を間違えるな。考えろ、必ず正解はある。

「…………寝ます」

 欲望には抗えないのが人間。つまり俺の行動は当然の結果と言えよう。

 その言葉を聞いた美咲希はおいでーおいでーと布団を持ち上げ、空いた方の腕でぽんぽんとベッドを叩いている。微笑んでいるその顔は心底嬉しそうだった。

 そう言えばまだ脱いでなかったジャンパーを脱ぎ、素早く畳んで、美咲希が空けてくれたスペースに潜り込む。

 美咲希の体温によって暑すぎるほど温められたベッドは、少し狭くて、お互いの身体が触れ合うぐらいだ。

 さらに、何を思ったのか、美咲希は俺の背中に腕を回し、抱きついてくる。

「えへへ……温かい」

 普段は絶対出さないようなうっとりとした声でそう言ってくる。正直萌えるよめちゃくちゃ。

 俺も美咲希の背中に腕を回し、胸に抱き寄せた。

「いいから寝ろ」

 優しくささやくように言ったのだが、その必要は無かったようだ。

 美咲希は既に寝息をたてながら寝ている。

 その表情は先程より幾分か安らいでおり、自分の判断が正しいという事を実感した。

 …………決して欲望に負けた訳では無い。

 それにしても、触れ合って改めて美咲希の体温が高いことがわかる。こりゃ起きたら水分補給だな。

 そうして、俺の意識は次第に遠のいていき、やがて浅い眠りへと吸い込まれていった。

 ――――昼に様子を見に来た美香さんにがっつり見られたのは言うまでもない。

今日から学校なんて認めないぞ!誰だそんな悪質な嘘ついたの!

…………はい。しっかり学校行って勉強します。

作者の学校は先に述べた通り本日から学校で、とても憂鬱な気分になっています。

と言うか、こんなに夜更かしして平気かな……起きれるか不安です。

皆様はいかがお過ごしでしょうか。

よかったらこの小説にブクマや感想など下さると嬉しいです。

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