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看病 上

一日に二話投稿できました!いぇい!


 新クラスになってから一週間、北村達を中心にクラスのアニメが好きなやつらを集め、軽くグループが出来ていた。その中には美咲希や卓已もいて、結構賑やかになっている。

 小中学校にありがちな二次元批判派はほとんどおらず、俺がブチギレることも無い。平和な日常を過ごしている。

 そして今日は新クラスになってから初めての日曜日だ。

「あら? 美咲希どうした?」

 いつも当然のようにいるものだから、居ないとなると少し違和感がある。

「んー、わかんない。メッセージも来てないし、どうしたんだろ」

 確かに、遅れるならメッセージの一つや二つ飛ばしてくるのに、何故か今日は無い。

 寝坊……か?

「ねぇおにい。美咲希さん、昨日何時に寝るって言ってた?」

「二十二時」

「寝坊は有り得ないね」

 そもそも美咲希が寝坊するところをまだ見たことがない。用事があるならメッセージ飛ばしてくるだろうしな……。

 なんだか嫌な予感がして、気づけば俺は出掛ける準備をしていた。

「おにい外寒いよ」

「おう。なんとかなる」

 焦る気持ちが勝ってしまっていて、俺はドアを開け外へ出た。

 春だと言うのに恐ろしいほど寒く、思わず身震いをした。

「確かこっちの方だよな。あそこの辺りに行けば思い出せると思うんだが」

 そういえば、俺が美咲希の家に行くのは初めてだったなと思いながら進み出した。


「ここだ。間違いないな」

 春休みに美咲希を送った時にちょっとだけ立ち寄ったので、しっかりと覚えている。

 緊張しながらインターホンを押す。指先が少し震えているが、そんなもんに構っていられない。

 ――ピンポーン。

 一回鳴らすと、応答があった。

『どちら様?』

「川崎悠眞です。えっと……」

 恐らくは美咲希のお母さんだろう。そんな人に娘さんの彼氏ですなんて言える度胸は俺には備わっていない。

『悠眞……? ああ! 美咲希の彼氏君でしょ?』

 そんな俺はお構い無しに美咲希のお母さんらしき人はそんなことを言ってきた。

 おもわず吹きそうになったじゃねぇか。

「はい、そうです」

『娘がいつもお世話になってます。美咲希の母親の美香です』

「どうもです。こちらこそいつもお世話になってます」

 どうやら美咲希のお母さんで合っていた様だ。

『今ドア開けるから待っててね〜』

 ……なんというか、柔らかい人だな。突然訪問した俺を迎えてくれるなんて、少しびっくりした。

 やがて、ドアがガチャリと開けられた。

「おはよ。さ、上がって上がって」

「お邪魔します」

 余程上機嫌なのか、鼻歌を歌いながら俺を案内してくれる。

「ごめんね〜。今ジュースとか無くて。お茶でいい?」

「あ、はい。全然大丈夫です」

「りょーかい」

 そう言うと、美香さんは粉末緑茶をカップに三杯分いれて、ポットからお湯を出した。

「どぞどぞ」

「ありがとうございます」

 目上の人とどう接すればいいのか全くわからない俺は、少し緊張している。

 要するにコミュ症発揮状態だ。

「そんなにかしこまらなくてもいいよ〜」

 いや、そう言われてもなぁ……まだ俺には出来そうもない。

「で、今日来た要件なんだけどさ……美咲希でしょ?」

「はい」

 凄いな。やはりどの家でも母親はエスパー並みの力を持っているらしい。

「今日なかなか起きてこないから様子見に行ったらすごい熱出してたんだよね。あの子が熱なんていつぶりだったっけなぁ……」

 そういう事か。じゃあ本当に俺邪魔じゃん。

 お茶飲み終えてから帰ろうと思った俺に、美香さんは。

「でさ、今うち市販の薬切らしててさ。病院行くのも面倒臭いからどうしようと考えてたんだけど丁度悠眞君来たから。言いたいことわかる?」

「なんとなくは。つまりはこの家の留守番ですよね?」

「ご名答〜。病人一人にするのは流石にね。だから頼める?」

 断る理由なんてあるはず無く。むしろこの約一年間、美咲希には色々世話になったのでそのささやかな恩返しも出来るのではと考えているわけで。

「もちろんです。自分でよければ」

「ありがとね。巻き込んじゃったのに。美咲希の部屋はそこの階段上がってすぐ右だから。多分行けばわかるよ」

「わかりました。しっかりと留守番します」

 敬礼をしてながら俺がそう言うと、美香さんは笑い、じゃ行ってくるねと言って出ていった。全く、初対面の人に留守番を頼むとか物凄い人だよな。

 入れたとおり、俺は階段を上がり、美咲希の部屋へと向かった。

 行けばわかるとはどういう事だろうか。疑問に思いつつ、階段を上がってすぐ右の部屋のドアに向き合う。

 ……確かに行けばわかるなこれ。部屋の前に【misaki】という文字が書かれたプラカードの取っ手の部分がないものがぶら下がっていた。

 わかりやすいと言うか、なんというか。

 俺は軽くドアを二回ノックする。流石にいきなり無言で入るとか無礼極まりないからな。

「……どうぞ」

 弱々しいが、確かに聞こえた声に俺は反応する。

 心の中で失礼しますと言いながらドアを開け、部屋の中へ踏み入れる。

 まず、俺から見て正面に見えるのは本棚だ。様々なラノベが置いてあり、その数は実際に数えるのが億劫おっくうになるほどだ。

 左の壁にはテレビがあって、それと対になるようにベッドが置かれている。テレビの横にはクローゼットもある。

 そして、俺のすぐ右隣には勉強机があり、とても綺麗に整頓されている。流石は女子といったところか。

 床はもの一つ置かれていなくて、カーペットが敷かれている。

「よ。大丈夫……じゃなさそうだな」

「あまり大丈夫じゃないわ」

 けほけほと咳き込みながら、美咲希はそう言った。

 本当に大丈夫かこいつ?

「なんで……いるの?」

「お前の見舞いに決まってんだろ」

 吐き捨てるようにそう言うと、美咲希は嬉しそうに微笑み、やがて。

「マルちゃんが待ってるでしょ? もう帰って――」

「お前黙らないと怒るぞ」

 美咲希の言葉を遮り、少しキレながら俺はそう言った。

 マルには申し訳ないが、今日は美咲希の看病をするから一日家に戻らないつもりでいる。

 葉月に美咲希が風邪をひいていたとメッセージを送り、看病へ移る。

 美咲希のおでこには濡らしてあるタオルがある。それがちゃんと冷えてるか確認するために手を伸ばす。

「な、なに?」

「気にするな」

 何分前に濡らしたのかわからないが、タオルは既に体温によって温められていた。

「冷蔵庫とボウルと水使ってもいいか?」

「構わないけど……何するの?」

「ちょっとな。お前は寝てろ」

 タオルをひょいっと持ち上げ、一階へ向かう。

 ま、美香さんが来るまでの応急処置みたいなものをやるだけなんだけどな。

もうネタ切れ……

そう言えば、夜でも暑いですよね。寝てる間に脱水症状とかよくある話なので寝る前にしっかりと水分補給しましょう。

あ、この作品への感想やアドバイス貰えたら嬉しいです

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