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受験勉強会

はい!次話でこの長い1年編も終わります!感想をくださった9名の方々、本当にありがとうございます。

ブクマ登録して下さっている32名の方々もありがとうございます。この作品を楽しみにしてくれているのであれば幸せです。

「受験まで1ヶ月切ったわけですが」

「はい」

「勉強してんのか?」

「……いえ。全く」

 マルを見送って数日経った休日のある日。ちょっとシャレにならないレベルで過去の入試問題の得点が低い葉月と向かい合って座り、こうして会議をしている。

「全教科30点とは」

「誠に不甲斐ないです……」

「お前、今日から家事しなくていいから勉強しろ」

「え、でも」

「いいから。特別講師も付けてやる」

 理系の凛花。地理の美咲希。国語の俺。大悟は……何もできないな。

 英語が不安だが、三人寄れば文殊の知恵。大勢で取り組めば理解出来るだろう。多分。

「むー。逃げ道失ったぁ……」

 入学してくれなきゃ困る。浪人は色々とやばいからな。

「今日は国語だけでいいから。まず漢字な」

 そう言って、俺が去年使っていた過去問の漢字だけを手書きで抜き取り、問題を作った。

 過去問なのであんまり意味はないのだが。

「うぅー……おにいの鬼」

 何そのダジャレみたいなやつ。鼻で笑っちゃうじゃん。

「くそっ、巻き添えを呼んでやる」

 物凄い勢いで携帯を操作し、誰かに電話をかけている。

「あー、もしもし? 今から勉強会しない?」

 勉強会て……お前さっき巻き添えとか言ってたやん。

「あ、まじで! うん、じゃあ私の家に来て。また後でね」

「お前誰呼びやがった」

「へっへー。おにいも援軍頼むなら今のうちだよ?」

 まぁそろそろ呼ぼうと思っていたので、丁度いい。

 すぐにあいつらに連絡をいれる。返事は結構早く来て、全員来れるらしい。

 少し時間がかかるので、今まで葉月がやっていた家事を少しずつやり始める。

 まずは皿洗いだ。まぁ難なく終わる。昔良くやってたからな。

 今日から受験対策の始まりだ。


「だ! か! ら! ここはこれをXに代入だろ!」

「うぇ」

「ちょ、おまこれちゃうねん。ここは三角形の合同条件の1組の辺とその間の角ってやつを使うんだよ」

「ぐぇ」

 俺でもわかる数学の問題を教える。この程度出来ないとマジできついぞ……

 向こうでは美咲希が地理を教えている。社会科は大体出来るらしく、公民などの説明もしている。

 仲が悪いっぽいから心配していたのだが、それは無用だったようだ。

「美咲希先輩って説明上手いですね。わかりやすいです」

「そう?」

「はい。教師とか目指してるんですか?」

「目指してないわ。面倒くさそうだもの」

 葉月が呼んだ相手は美鈴だった。なかなか賑やかなメンツだ。凛花は便乗して理数の過去問を解いていて、大悟は邪魔なので俺の部屋でラノベを読ませている。

「はぁー、終わった」

 突然、声を上げて寝っ転がる凛花。何となく察しはついたが、終わったってまさか……

「は? 何が終わったって?」

「問題集解き終わった」

 バケモノかこいつ。解き始めたの30分前だぞ、それで理数終わらせるってどういうことやねん。

「うん。大丈夫。こんな問題簡単すぎて寝ちゃう」

「いやそれお前に限っての話な?」

 無理すぎるだろ普通に。

「はーいじゃあ採点しまーす」

 凛花の解答用紙を受け取り、答えを開き赤ペンを滑らせる。

「恐ろしいな……」

 採点をしていて、バツをつける場面がない。一年前の過去問は理科が98点。数学が95点。なんだこいつ。

「もういいや。これ返す」

 これ以上採点していると気が狂ってしまいそうになるのでやめる。

「悠眞も解いてみれば?」

「いいよ俺は」

「へー。おにい怖いんだぁ?」

 わっかりやすい挑発だな。でも実力差を見せるためにはやるしかないか。

「わかったよ。やってやる」

 そして、解き始めること15分。

「終わった」

「「はやっ!?」」

「どーぞ」

 解答用紙を渡す。よく出来たんじゃないかなとは思うけど、点数を見ないとまだわからない。

「……ほとんど丸じゃん」

 97点キタコレ。と言っても、去年解いた問題だしな。その時は90点ぐらいだった気がする。

「じゃ、葉月勉強しよか」

「むぅ。おにいがここまでやりおるとは……」

 渋々椅子に座り、問題集を解く葉月。

 順調……とは言えないが、この調子なら全教科30点とかはないだろう。問題は英語なのだが……

「この子何者……」

 突然美咲希が声を上げた。

「どうした?」

 紙を持ったまま固まっているので、あれが原因なのだろう。それを確認するため、美咲希のもとへ向かう。

「なっ!?」

 いやいや、こいつマジで言ってんのか。

 俺らが見たものは――100と書かれた数字だった。教科は英語。都合よすぎんだろ。

「ねぇ凛花。去年の英語って原田先生がなかなか難しいって言ってたわよね?」

「うん。言ってたよ」

 原田先生ってのは恐らく英語の教師なのだろう。その人が難しいと言う英語を100点。高原美鈴恐るべし。

「いやぁ、そんなに褒められると照れますよぅ。でも社会科がてんでダメなんですよねー」

 確かに、社会の点数は50点を下回っている。それでもその英語の実力があれば何とかなりそうな気もするが、美鈴の志望校がどこなのか知らないのでなんとも言えない。

 勉強会はその日だけではなく、受験前日まで続いた。

 葉月も美鈴も苦手教科を理解してきて、得意教科の底上げも出来たので、受かるだろう。

「じゃ、今日はここで解散しようか」

 あんまり詰めすぎると良くないって言うしな。本番の明日に力を出せないと元も子もない。

「地獄の1ヶ月だった……」

 ここにいる高校生全員サドスティックだったらしく、わからない問題に直面した受験生をいじめるのが楽しかった。

「じゃ、明日頑張って! あ、あと葉月ちゃん。俺でも受かったから平気」

 なんだその自虐ネタは。自分で言ってて悲しくならないのかな。

「はい! 皆さんありがとうございました」

 ペコりと頭を下げる葉月。みんなは別にいいよと笑みを浮かべている。

 やることはやったのであとは信じるだけ、か。受験前って不安に押しつぶされそうになるもんな。

「じゃー、私も帰りますね。……そうだ先輩。私の受ける高校、葉月ちゃんと同じです」

「おおそかそか。って、え?」

 こいつ今なんて?

「さよなら先輩。また会いましょう」

 そう言い残し、去っていく美鈴。

 聞き間違いでは……ないな。つまりは俺達の通っている高校を受けるという訳だ。あいつほどの実力がありながら何故このなんの特色もない学校を受けるのだろうか。疑問は深まるばかりだ。

台風って怖いですよね。

風は強いし雨もすごいし……嫌いです。

何はともあれ、今日で8月の二週目が始まりました。熱中症、脱水症状などにお気を付けてお過ごしください。

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