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波乱万丈の夏休み①

暖かい目で見てください…

 カレーを食べ終わった俺らは、それぞれ風呂に入る。

 こいつら元から泊まる予定だっただろと思うほど、準備がいい。

 いや、実際泊まる気だったんだろう。

 今思ってみると、全員大荷物だった。恐らく、泊まり道具や海パンなどが入っているのだろう。

「おにい、明日の準備した方がいいんじゃない?水着どこにあるか把握してる?」

「いや、把握してないわ。探してくる」

 そういって俺は、自分の部屋のクローゼットから海パンを探す。

 最後に使ったのは中3の夏休みだ。丁度1年ぐらい前になる。

 その時から使ってないとなると、奥底に眠っているはずだ。

 多少ガサゴソやって、海パンを見つける。

 まあ一般的な海パンだ。

 その海パンをカバンに詰め込み、他にタオル、日焼け止めなど、必要なものも入れて準備は終わる。

「葉月、お前は準備できたか?」

 階段を降りながら、妹に話しかける

「んー?晩御飯食べる前から出来てるけど」

 は?マジで言ってんのかコイツ。

 準備いいなほんとに。


 準備も一段落つき、暇になった俺らは全員スマホを持っていたので、俺の提案により麻雀のアプリを落としてプレイすることになった。

「おらぁ!四暗刻単騎すーあんこうたんきぃ!!」

 いきなりとんでもないものを決めてきたのは、大悟だった。

「は……?お前マジで言ってるの?」

「……ねぇ、四暗刻単騎って、そんなに珍しいものなの?」

 そんな疑問を投げつけてきたのは小野塚である。

「四暗刻単騎ってのは、ポンやチーなしで、自分の引きで3つ1組のものを4つ作って、2つ1組のものを1つ待つ、かなり確率の低い役だよ。」

「へぇ、なんだかよくわからないけど、凄いことはわかったわ」

 そして、またアプリの麻雀が再開される。

「これでいいのかしら?七対子」

 なんだこいつら、運良すぎだろ…

 そうして、この麻雀は俺と麻雀はいいやと参加していない葉月以外全員がロンをした。


 時刻は22:00。俺らは寝ることにした。

 部屋割りは男子部屋と女子部屋の2つ、俺の部屋と妹の部屋で分けられた。

「……なぁ悠眞、お前誰が好きなんだ?」

 いきなりの言葉に、俺は焦る。

「は、はあ?なにいってんのお前。俺に好きな人がいると思うか?」

「お前はそう言ってるけどよ、小学校から一緒にいるとわかるんだよ。で、誰なんだ?」

 俺は、浅いため息をつき

「お見通しってわけか。俺が好きなのは小野塚だよ。最初に図書室で会ってから一目惚れ」

「……ふーん。小野塚さんモテそうだからな。告白なら早めにしとけよ?」

 大悟が少し笑って見えるのは気のせいだろうか。部屋が暗くてよくわからんな。

「余計なお世話だ。明日早いし早く寝るぞ」

 そう言って俺は眠りについた。


 5時30分、全員起床した。

 朝ごはんはコンビニのおにぎり。昼の弁当は女性陣が早起きをして作ってくれた。

 俺と大悟は死んだ魚のような目をしている。眠すぎる。

 始発より二本遅い電車に乗り、2時間半かけて海へと着く。

 そして、大悟の謎の行動力により、俺らはすぐに場所をとることが出来た。

 女性陣は着替えてくるね、とどこかへ言ってしまった。

 俺はといえば、タオルを巻いてその場で着替え始める。

 着替え始めて、10秒も経たずに水着になった俺は、大悟が敷いたシートの上で寝っ転がり、くつろごうかと思っていた。

 そこに、どこかへ行った女性陣が帰ってきた。

「おにい!寝てないで遊ぶぞー!」

 妹に呼ばれて、俺は体を起こす。

 そして、そこにあった光景に感動した。

 小野塚は黒色のビキニ、小鳥遊は謎にスク水、葉月は黄色いビキニ。

 三者三葉でなかなかいい光景だ。

 小野塚って、貧乳なんだな……

「バレーボールしよーよ!ね?いいでしょ?」

 相変わらずうるさい小鳥遊。

 それいい!と誰かがいえば連鎖反応で必然的に賛成になる。

 もうこれ俺空気じゃね?

 なぜか今日、みんなのテンションがおかしい。

 朝と昼の中間なのに、まだ深夜テンションというか、キチガイテンションというか……

 この先が思いやられる。

 バレーボールが終わったあとは、みんなで海に入った。この時期の海は冷たくて、日差しと海水の温度差が心地よい。


 海を満喫した俺らは、昼食を食べることにした。

「なあ、弁当ってなんだ?」

 こいつらのテンションについていけない俺はもう既にスタミナが尽きていた。

「なに、おにいそんなにお腹すいてるの?食べたい?ねぇ食べたい?」

 うぜー!こいつマジうぜー!構っているとさらにウザくなるのでスルーだ。

「おー、そーなんだよ。お前達が作った弁当食べさせてほしいなー」

 若干棒読みになりつつ、そう答えると

「しょーがないなーもう。そこまで言うなら食べさせてあげるよー」

 上機嫌で答える妹に、その後で頷く小野塚と小鳥遊。

 こいつら相当頑張ったんだろうな。

「じゃあ、頂きます」

 俺が言ったあとに、他のみんなも頂きます。と続いた。

 最初におにぎりを手に取り、1口食べた。

「あ、あの……そのおにぎりどうかしら……?」

 小野塚が妙にそわそわしながら聞いてくる。

「……?普通に美味しいと思うけど……」

「ほんとに!?よかった……」

 おっと、これはもしかしてあれですか。小野塚さんが作ったんですか?

「美咲希さん良かったですねぇ」

 葉月がそういった時、小野塚はぼふっ、という効果音が似合うほどの反応を見せた。

 顔を真っ赤に染めて、心なしか頭から湯気が出ているようにも見える。

「だ、だって!美味しくなかったらどうしようって……」

「なに、このおにぎり小野塚が作ったの?」

「ええ、そうよ。でも、美味しいって言ってもらって良かったわ。おにぎり作るのって初めてで……」

 なるほどそういうことか。

 そーゆー反応は勘違いするのでほんとにやめて欲しい。女子はもっと男子がどれほどチョロいのか知るべきだと思う。

 少しボディタッチがあっただけでドキッとするし、よく話しかけられるともしかして?とか思ってしまう。

 リア充は違うのかもしれないが、少なくとも俺はそうだ。

 それからもわいわいすごし、俺らは無事に帰ることが出来た。

 また、俺らの親は新学期が始まるまで戻ってこないので、俺の生活リズムを崩さないようにと、この場にいた全員が夏休みのほとんどを我が家で過ごすとか言い始めた。

 家のことは葉月に任せてあるので、お前が決めろといった結果、全員泊まることになった。うん、何か起こる予感しかしないわ。





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