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予兆

投稿遅れました。

少し長いですが、暖かい目で見ていってください。

 マルが来てから2日目。

 俺は寝ているところを起こされた。

「お兄ちゃん!あそぼあそぼ」

 ……これが大悟ならブチギレていたが、こうも無邪気だと怒るに怒れない。

「……マルは随分早起きなんだな」

 あくび混じりにそう言うと、マルは

「何言ってるの?もう11時だよ?」

 と言った。

 マジか、もうそんな時間なのか。

 昨日寝たの何時だっけ。

「結構寝たな。葉月は怒ってた?」

「葉月ちゃん怒ってなかったよ〜。えっとね、『おにい起こしに行ってくれない?』って言ってた」

 うーむ、それだけだと怒ってるのか怒ってないのかよく分からないな。

 ここはマルを信じて怒ってないと思う事にした。

「じゃあ少し遊ぶか」

 携帯で時間を確認したら本当に11時だった。

 この時間から朝ごはんを食べると昼ごはんが食べれなくなるので、少し我慢して遊ぶ事にした。

 それに、マルとの思い出も作りたいしな。

 たった5日間の付き合いなんだから。

「やった!じゃあ1階で待ってるね!」

 そう言って、ぱたぱたと去っていくマル。

 本当に犬みたいな少女だな。


 マルに起こされてから着替えを終えて、リビングへ向かった。

「おはよう」

 おはようが言える相手がいるってことは、幸せだよな。

 それも、今日は3人いる。

 葉月とマル、それに美咲希だ。

「ほんと、お寝坊さんね」

 いつも通りのやり取り。

 それに、心地よさを覚える。

「別にいいだろ。冬休みなんだし」

 多少ぶっきらぼうになりながらそう言う俺。

「生活リズムしっかりしてないと、新学期辛いわよ?」

 痛いところをついてくるな。

 確かに、このままだと新学期完璧に遅刻する。

「そうだなぁ、そろそろしっかりしないとやばいかもな」

 本心でそう告げるが、きっと明日も同じ生活リズムだろう。

 反省しないやつだ、と自分でも思う。

 葉月はテレビゲームをしていて、なんか一人でブツブツ言っている。

 いつもの事なので、特に気にしないが。

「葉月何分前からやってるんだ?」

 俺の問に答えたのはマルだった。

「なんかね、『おにい起きないからゲームやる!』って言ってね、1時間ぐらい前からずっとやってるよ」

 ああ、怒ってるな。なんて詫びよう。

「葉月、隣いいか?」

 紳士的に言った俺に対して、葉月は無視をしてくる。

 こうなれば実力行使。葉月の横に座り、ゲームに割り込む。

「……誰かと思えばバカおにいじゃないですか」

「おやおや辛辣ですね葉月さん」

 それ以上俺らが言葉を交わすことはなく、真剣にゲームをする。

 このゲームはレースゲームで、キャラクターと好きな車・バイクを選んで競い合うものだ。コースも自由に決められる。

 俺と葉月の対戦成績は五分五分で、どちらが勝つかわからない。

(下手したら負けるかもな)

 特に賭けてはいないが、俺の矜持が負けを許さない。

 それは、葉月も同じようで、ふざけている時は気分でキャラを選んでいるが、今は得意のキャラと乗り物を選んでいる。

 もちろん、それは俺も同じだ。

「美咲希ちゃん、これから何が始まるんですか?」

 ただならぬ空気を察したのか、マルが美咲希に疑問を投げつける。

「これから始まるのは……戦争よ。よく見ておいた方がいいわよ」

 そんなマルに、美咲希は真剣な顔してそう言う。

 まぁ、間違ってはいないんだけどさ。

「戦争、ですか?」

「そう、戦争。とっても凄い戦争よ」

 それきり、マルと美咲希の間には会話は無く、俺らの一挙手一投足を見逃さずに見ている。

「じゃあ始めようか」

 俺の言葉に、葉月は無言で頷いた。


「くそ。負けたか」

 ゲームの結果は、俺の負け。

「ふっふっふ、まだまだですねぇおにい」

 ……いちいちムカつくやつだ。

 途中までは俺が優勢だったのだが、中盤以降葉月が怒涛の追い上げをしてきた。

 俺はそれになす術なくして負けてしまった。

「次は負けないから覚えとけ」

 本気で悔しい。

 全力でやって勝てないとか、泣きたくなるぜ。

 しかし、葉月が機嫌を直してくれたので、そこは良しとしよう。

「全く、悠眞マルちゃんの事忘れてゲームするなんて、どんな神経してるのよ」

「美咲希ちゃん、大丈夫ですよ!いいものを見せてもらいました!」

 なんて優しい子なんだろう。

「ごめんな、マル。後で遊ぼう?」

「うんっ!絶対だよ、約束だよ」

 優しいがゆえに、自分のことは後回しにする。

 そんな人達が苦しんでいる姿を見て見ぬ振りをして、そこにつけ込んで利用する奴らもいる。

 俺は、マルにはそうなって欲しくないと願う。

 だが、俺には何の力もない。だから、俺に出来ることは道を示すこと。時には自分の意見を突き通してもいいということ。

 まぁ、たった5日間では無理だろうけど。

 ヒントを与えるので精一杯だな。

「ああ、約束だ」

 俺がそう言うと、マルは小指を差し出して、

「指切りしよ」

 と言ってくる。

「おっけー」

 指切りなんていつぶりだろうと思い、俺も小指を差し出す。

「「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます」」

 ほぼ同時にそういった俺ら。

 これでもうこの約束は破れなくなったな。

 そんな俺達のやり取りを見て、葉月と美咲希は微笑ましそうに見てくる。

「美咲希さん。なんか、親子見てるみたいですよね」

「そうね。将来、あの光景が日常になるかもしれないわね」

 美咲希の言葉に、俺は聞いていないふりをする。

「じゃ、何してあそぼっか」

 話を変えるため、強引に訊いた俺に、マルは満面の笑みで答えた。


「なぁマル、本当にいいのか?」

 マルが要求してきたのは、ス〇ブラだった。

 しかも、全力でやるという条件付きだ。

「うんっ!絶対全力でやってね」

 マジか。

「わかった。手加減はなしだ。やるぞ」

 ゲームが始まった瞬間、マルは初心者のように突っ込んできた。

 俺は、マルの攻撃を避け、反撃する。

 それにマルは何も出来ずに場外へ吹っ飛ばす。

「やっぱ手加減しようか?」

「ダメ!全力!」

「……わかったよ」

 俺は諦め、心を鬼にする。

 2回戦目。

 今度、マルは様子を見てきた。

(戦い方変えたな。なんて学習能力だ。でも、所詮初心者)

 俺はさっきのマルみたく、突っ込んでいった。

 それを見て、マルはさっきの俺の行動をとる。

(知ってたよそれをやることぐらい)

 だから、俺は寸前で立ち止まり、マルの回避行動が終るのを待って、吹っ飛ばす。

 悔しがるだろうなと思い、マルの方を見ると、無言でテレビ画面を見つめている。

 真剣ってわけか。上等じゃねーか。

 3回戦目。

 俺はマルを場外へ吹っ飛ばすのに30秒かかった。

(……気のせいか?)

 気のせいじゃないとしたら、この子とんでもないぞ。

 恐らく、そのうち俺を超える。それぐらいのポテンシャルを秘めている。

 4回戦目。

 もう秒単位では吹っ飛ばせなくなった。同時に、少し反撃を食らう。

 間違いない。この短期間で俺の技を盗んでいる。

 それだけではなく、状況把握能力と判断力が並じゃない。ゲーマーの素質がある。

「はぁ、楽しかったぁ……」

「もういいのか?」

「うんっ!疲れたから休憩」

「なるほどな。それにしても、マル強いな。美咲希よりも強いんじゃないか?」

「あら、それは無いんじゃないかしら?なんなら、マルちゃん後で殺り合う?」

「いえいえ、マルなんて相手になりませんよ」

「トーナメントをやろうぜ。メンバーはここにいる人全員と、大悟と凛花」

「いいわよ」

「うんっ!」

「はぁ……私に拒否権ないんでしょ。勝手にすれば」

 誰も異論はなかったので、俺は大悟と凛花に連絡をした。

感想、アドバイス等下さると嬉しいです。

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